子どもの「しつけ」はどうするのが正しい方法? 教育学博士が回答
こんなときどうする? 子育てQ&A#43「子どものしつけで優先したほうがいいことはなに?」
2022.04.18
教育学博士:渡辺 弥生
一つずつ言葉や援助で教えていくことだけ考えましょう。
「子どものしつけで優先したほうがいいことはなに?」(2歳・男の子)
「しつける」ってどういうことだろう?
怖い人がいなければまた悪いことをしたりします。
人がなにかを学ぶためには、「見る」「説明を受ける」「援助してもらいながら体験する」「努力を認めてもらう」という体験が欠かせません。
そういうことからも、1~3歳で優先したいのは次の二つです。
◆子どもができないことは、生活の流れのなかで、お手本を見せ、「これは、こうするといいのよ」と、言葉やときには手を添えて教えていく。
◆危険なこと、悪いことをしたときは、「水遊びはお部屋が濡れるからダメ! お風呂に入ったときにやろうね」などと、ダメな理由とどうすればよかったのかという説明をする。
しつけは、この繰り返しにつきます。
現実的には冷静になれずに、厳しく叱ってしまうこともあるでしょう。
でも、この大原則を頭に入れておくといいと思います。
「危険」を避ける方法を最優先で教えていく
危険なことをしたときは、思わず大声で叱ることがあるのは当然です。
その真剣さは間違いなく子どもに伝わります。
ただ、たとえば、「そこを走ると転ぶ(落ちる・車とぶつかる)から手をつないで歩かなくちゃダメよ」というように、かならず、なぜ危ないかという理由をわかりやすい言葉で説明しましょう。
しつけは根気がいりますが、ママが何度も教え続けたことは、子どもの心にきちんと残っていきます。
生活習慣のしつけは時間をかけてゆっくりと
これらは、生活のなかで見て学ぶ要素が強いものですが、それに加えて、子どもが身につけやすくなるような言葉がけや援助が必要です。
たとえば、入浴タイム。
「服を脱いで洗濯かごに入れ、湯かけをして、湯船に入ったあと体や髪を洗う……」といった流れのなかで、清潔は健康を守るために必要なことなどを話してあげましょう。
また、ときどきは「ママのまねっこしてね」といって、脱いだ服をかごに入れさせたり、体を洗わせてみたりするといいですね。
それで、できたら「できたね」とほめてあげるといいでしょう。
何度もいいますが、しつけで優先したいのは、お手本を見せ、説明し、支援しながら体験させてあげること。
そして、できたときは、ほめてあげたくなりますね。
その気持ちをそのまま言葉にしてあげたらいいのです。
急ぐ必要はないので、子どもの成長を楽しみながら時間をかけて進めていけば、「しつけ」は100点です。
文/宇野智子 写真/Adobe Stock
げんき編集部
幼児雑誌「げんき」「NHKのおかあさんといっしょ」「いないいないばあっ!」と、幼児向けの絵本を刊行している講談社げんき編集部のサイトです。1・2・3歳のお子さんがいるパパ・ママを中心に、おもしろくて役に立つ子育てや絵本の情報が満載! Instagram : genki_magazine Twitter : @kodanshagenki LINE : @genki
幼児雑誌「げんき」「NHKのおかあさんといっしょ」「いないいないばあっ!」と、幼児向けの絵本を刊行している講談社げんき編集部のサイトです。1・2・3歳のお子さんがいるパパ・ママを中心に、おもしろくて役に立つ子育てや絵本の情報が満載! Instagram : genki_magazine Twitter : @kodanshagenki LINE : @genki
渡辺 弥生
大阪府生まれ。1983年筑波大学卒業。同大学大学院博士課程心理学研究科で学んだ後、筑波大学、静岡大学、途中ハーバード大学客員研究員を経て、法政大学文学部心理学科教授。同大学大学院ライフスキル教育研究所所長兼務。教育学博士。専門は、発達心理学、発達臨床心理学。主な著書に『まんがでわかる発達心理学』、『11歳の身の上相談』(講談社)、『親子のためのソーシャルスキル』(サイエンス社)など。
大阪府生まれ。1983年筑波大学卒業。同大学大学院博士課程心理学研究科で学んだ後、筑波大学、静岡大学、途中ハーバード大学客員研究員を経て、法政大学文学部心理学科教授。同大学大学院ライフスキル教育研究所所長兼務。教育学博士。専門は、発達心理学、発達臨床心理学。主な著書に『まんがでわかる発達心理学』、『11歳の身の上相談』(講談社)、『親子のためのソーシャルスキル』(サイエンス社)など。