子どものイヤイヤ期 原因は? いつからいつまで? 育児の専門家が回答

こんなときどうする? 子育てQ&A#65「なんでも「イヤ!」の連発。なにが原因? どう対応したらいいの?」

教育学博士:渡辺 弥生

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1歳半くらいから3歳ごろにかけては、なんだか急に「イヤ」「ダメ」といったダメ出し態度をとることが増えてきます。

これは自立のために必要な「自分」という意識が出てきたからで、まさに成長の証なんです。
発達心理学の専門家・渡辺弥生教授が子育ての悩みに答えます。

「なんでも『イヤ!』の連発。なにが原因? どう対応したらいいの?」(2歳・女の子)

なんでも「イヤ!」の連発。なにが原因? どう対応したらいいの? 写真/Adobe Stock

成長の一過程で、この期間はわずかです

わが子が急に扱いにくくなってしまい、親ごさんは心配になったり、困ったりするでしょうが、決して、悪気があって逆らっているわけではありません。

未熟な形ですが自己主張して、「自分」という存在を確認しようとしているのです。

ママパパを困らせる「イヤイヤ期」ですが、言葉の発達が進むとしだいに卒業していきます。

そう長くは続かないので、まずは発達の一過程だと知って、この時期をうまくやりすごす方法を探りましょう。 
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「イヤイヤ期」を上手に乗りきるために

◆時間が許せば、やらせてあげるほうが子どもの成長にプラス!

子どもの「イヤイヤ」にストレスを感じるのは、ママパパに余裕がない場合が多いでしょう。

それで、つい「できもしないのに!」などと思い、うんざりしてしまいがちですね。

ただ、発達心理学の研究では、子どもがやりたがったときに支援して挑戦させ、「できたね」と達成感を味わわせることで、子どもは次の成長段階に進みやすいといわれています。

できれば、子どもと行動するときは、少し時間の余裕をみておくように心がけたいですね。

◆正面からぶつからない

「イヤイヤ」は、ママパパが自分の意向を押しつけようとするほど激しくなります。それを防ぐには、子どもの「イヤ!」に正面からぶつからないようにすることがポイントです。

たとえば、子どもが「イヤ!」といったら、冷静に「イヤなんだ~。わかったよ。じゃあ、これをやろうか。どう?」と気持ちを受けとめ、別の提案をするようないい方にかえてみるのも一つの方法です。

また、「どっちがいい?」と選ばせると、子どもの「自分で」という気持ちを満足させることができるでしょう。

◆「イヤイヤ」が出ることを覚悟しておくと冷静に対応しやすい

「今は“イヤイヤ”いいたい時期」だと覚悟しておきましょう。

すると、「やっぱり“イヤ”っていったわ。よし、じゃあ、まず気分をかえてあげよう」などと落ち着いて対応できて、ママパパのストレスが軽減します。

◆外出時は対策を考えておく 

家で「イヤ」ということが増えているようなら、外出時も同じような状況になるのは自然なこと。

それをあらかじめ予測して外出しましょう。

そして、「イヤイヤ」がはじまったら、こじれる前に即対応!

気分転換できるように、おもちゃや飲みものなどを用意しておけば安心でしょう。
 
それでもおさまらないときは、抱いてその場所を一回離れてみるのも効果があります。
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対応は、ケースバイケースでもかまいません

場合によっては、子どもの気持ちにそえないときもあるでしょう。

実生活の中ではしかたがないことです。

大切なのはバランス。気をつけたいのは、

★子どもの「イヤ」を毎回すべて拒絶しないようにする。

★いったん「ダメ」だといったのに、大泣きされて最終的に子どもの要求を飲んでしまうのは悪循環のもと。


それなら最初から受けとめるほうが得策。

★要求を受け入れられない理由を説明しないまま終わりにしない。

「イヤイヤ」は、子どもや親ごさんが悪いから起こるものではありません。
 
できるだけこれらのことを心がけていけば長引かせることもなく、この時期をうまく卒業していきます。

文/宇野智子 写真/Adobe Stock
※この記事は幼児誌「げんき」に掲載された記事を再構成したものです。
わたなべ やよい

渡辺 弥生

教育学博士(発達心理学、発達臨床心理学)

大阪府生まれ。1983年筑波大学卒業。同大学大学院博士課程心理学研究科で学んだ後、筑波大学、静岡大学、途中ハーバード大学客員研究員を経て、法政大学文学部心理学科教授。同大学大学院ライフスキル教育研究所所長兼務。教育学博士。専門は、発達心理学、発達臨床心理学。主な著書に『まんがでわかる発達心理学』、『11歳の身の上相談』(講談社)、『親子のためのソーシャルスキル』(サイエンス社)など。

大阪府生まれ。1983年筑波大学卒業。同大学大学院博士課程心理学研究科で学んだ後、筑波大学、静岡大学、途中ハーバード大学客員研究員を経て、法政大学文学部心理学科教授。同大学大学院ライフスキル教育研究所所長兼務。教育学博士。専門は、発達心理学、発達臨床心理学。主な著書に『まんがでわかる発達心理学』、『11歳の身の上相談』(講談社)、『親子のためのソーシャルスキル』(サイエンス社)など。

げんきへんしゅうぶ

げんき編集部

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