5歳娘が発達支援センター受診 自閉スペクトラム症と注意欠如・多動症が違和感の正体 〔『リエゾン』三木先生解説付き〕

「5歳娘の凸凹発見・成長実録記」#5 娘5歳4ヵ月ころの様子

娘ちゃんの診断結果とは……?  イラスト/オヨネ

元看護師ママライターの凸凹娘の実録成長期5回目。

ついに発達支援センターを受診できた長女ちゃん。今までの行動や、言動への違和感の正体がついに判明し、診断名が付くことに。受診の様子や診断結果を受けてのママやパパの心境をお届けします。

また、当時の母子の行動を『リエゾン─こどものこころ診療所─』の監修者でもある、児童精神科医・三木崇弘先生に、解説していただきました。

(全6回の5回目。#1#2#3#4#6

【三木崇弘(みき・たかひろ)】
児童精神科医。国立成育医療研究センターこころの診療部で6年間勤務の後、2019年フリーランスに。以降、クリニック専門外来、公立小学校スクールカウンセラー、児童相談所、保健所、児童養護施設などで活動。2023年4月より地元・姫路へ戻り、児童精神科医として多忙な日々を送る。『モーニング』連載中の漫画『リエゾン─こどものこころ診療所─』監修。

発達支援センター初受診

前回、保育園の担任の先生との面談から1ヵ月後、発達支援センターを訪れた娘と私。0歳の次男とパパも一緒です。

いつもの娘の様子を見てもらうために、娘には、「保育士さんが遊んでくれるところがあるから行こうね」と、検査であることは伝えませんでした。「行くー! おもちゃある?」とウキウキな娘。

発達支援センターは完全予約制なので、待ち時間もなくスムーズに案内されました。

私とパパ、次男は診察室へ。娘は、保育士さんとおもちゃがある別室に。娘は少し緊張した様子でしたが、保育士さんの「一緒に遊ぼう!」という声掛けに、素直についていきました。

私たちは診察室で、医師による問診を受けることに。娘の成育歴や、成長過程で気になったこと、今感じている困りごとについて聞かれたほか、「人見知りはありましたか?」、「同じ行動を繰り返すことはありましたか?」、「勝負事でなんとしてでも勝とうとしますか?」などの質問が20個ほどありました。

医師から質問を受けながら、娘の成長過程をなんとか思い出そうとするのですが、忘れていることも多く……。

「母子手帳や、育児日記に記録しておけばよかった!」と、後悔しながら、パパと「一時期、同じアニメの同じ回ばかり見ていたよね?」。「あったね! CMの同じフレーズをずっと繰り返していたこともあったよね!」などと、一緒に記憶の糸を必死に手繰り寄せていました。

問診は30分~1時間ほどで終わり、その間、娘へは遊びを兼ねた検査が別室で行われていました。検査が終わった娘は、保育士さんに抱っこされた姿で登場。「先生とおもちゃで遊んだよ! 楽しかったー!」とご機嫌でした。

診断結果はひとつだけではなかった

娘の検査結果が伝えられたのは、検査から3週間後でした。前回と同じく、パパと次男も一緒に。娘はまた保育士さんと別室へ。

診察室に入ると、医師から書類が渡されました。発達検査時の娘の様子や診断に至った経緯がずらっと書かれた中に「診断:自閉スペクトラム症(社会的コミュニケーション症)、注意欠如・多動症(混合型)」の文字が。診断名が2つ書かれていたことに私とパパは驚きを隠しきれません。

医師からは「娘さんはコミュニケーションや対人的な交流に問題がみられますが、自閉スペクトラム症とは明確に診断できないレベルです。厳密には社会的コミュニケーション症となりますが、援助方法が似ているので自閉スペクトラム症と診断しました。

また、必要なことに注意を向けたり、注意の持続が難しかったりすること。相手がしゃべっているのに自分の話を始めること。気になるものがあると行動が中断することなどから、注意欠如・多動症(混合型)もあると判断しました」と説明がありました。

イラスト/オヨネ

【三木崇弘先生】
簡単に説明しますと、自閉スペクトラム症は、こだわりや感覚過敏、社会性やコミュニケーションに困難があります。

注意欠如・多動症は、落ち着きのなさや衝動的な行動、不注意さが主な症状で、いずれもとても広い意味での発達障害に含まれます。

社会的コミュニケーション症は、場面に応じた話し方や相槌、ニュアンスの調整が難しく、社会参加に困難をきたす場合があります。

娘に違和感を覚えてから約2年。その正体がやっと明らかになり安堵したものの、聞きなれない診断名が複数あることから、今後の漠然とした不安が入り混じり、内心穏やかではありませんでした。

そんな気持ちを立て直したのは、医師からの言葉でした。

「今の娘さんの状態に名前を付けるならこの診断名になりますが、確定したものではありません。この診断名は、娘さんがこれから受けるであろう支援に必要なものなんです」

そうだ、診断がついたことで支援が受けられるようになったんだ! “診断結果よりも、これから娘にどうしてあげられるのかを考えることが重要だ”。そう、気持ちを切り替えると医師から娘の今後について話がありました。

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