「おさる」を30年描く童話作家 今度の「おさる」は「他者の受け入れ」 子どもが多様性を受け入れるには「好奇心」が必要

いとうひろしさん『おさるのしま』刊行記念インタビュー

ライター:山口 真央

最新作は「他者の受け入れ方」を描いた作品

最新作『おさるのしま』の表紙。おさるの表情にほっこりと癒やされる。
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──待望の最新作『おさるのしま』は、過去の「おさる」シリーズと違い、文章が横書きになり、文章も少し長くなっています。

いとう:過去の「おさる」シリーズは、主に「自分」について描いてきました。一方『おさるのしま』は、移民の人たちと接する機会があって、描こうと決めた作品です。つくり方も違うし、今までのおさるの世界とも違うので、自然と体裁も変えることになりました。

プライベートで、日本に移民してきた人たちのお祭りに行く機会があって、いろんな国の人と交流しました。屋台で出していた食べ物が美味しくて「どうやってつくってるの?」と、話したりして。なかには、日本を訪れるまでに、辛い経験をしてきた人もたくさんいました。

しかし恥ずかしいことに、日本には移民者に対して心ない言葉をかける人が、少なからずいます。日本の移民対策にも疑問を感じます。そこで自分のできることは、自分と違うものをどう受け入れるかという本を書くことでした。

誰一人として同じバックボーンの人はいない

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