
「友だちになれるかな?」4歳息子のまっすぐな返答にドキリ 『あらしのよるに』を親子で読んだら…
国民的ベストセラーシリーズ新刊刊行記念 エニママレビュー・半田悠さん
2025.04.11

『あらしのよるに』シリーズは、まっくらな嵐の夜に出会った、オオカミのガブとヤギのメイが、お互いの正体を知らず友だちになり、「食うもの」と「食われるもの」という関係に葛藤しながら、友情を深めていくストーリー。全7巻380万部の国民的ベストセラーで、この度、20年ぶりの新刊が刊行され、発売後即重版がかかるなど、話題になっています。

「あらしのよるに」シリーズを読んだAnyMama編集部のママ、半田悠さんからのレビューをご紹介します。
*AnyMaMa(エニママ)は、株式会社アンダースタンドが運営する、女性たちの就業復帰支援やキャリア創出をサポートする取り組みです。
【エニママ】https://anymama.jp/
深い物語に驚き! 大人になって改めて気づくシリーズの魅力
あまりにも有名な絵本なので、子どものころにも読んだ覚えがありますが、親となって読み返すと物語の深さに驚きました。
「あらしのよるに」は、互いの正体を知らないまま仲良くなってしまった、オオカミのガブとヤギのメイの物語。勘違いを交えたコミカルな会話に、バレるか? バレないか? が多発するハラハラの展開、臨場感・緊迫感が際立つ黒を基調とした絵が魅力です。
シリーズを通して「違いを超えた友情」が大きなテーマですが、ただ美しいだけの話ではないのが深いところ。正体を知った後の葛藤、傷つき傷つけ許し合って理解を深めていく過程、大切なひとを守る駆け引きまでが緻密に描かれています。
反発する周囲にも、オオカミにはオオカミの、ヤギにはヤギの事情があり、スカッとする勧善懲悪だけでは片付きません。2匹は互いを守り合い、時には逃げ、時には立ち向かいながら、落としどころを探ります。

「友達になれるかな?」 迷わず答える息子に「そうか、難しくしていたのは…」
我が家の息子にはまだ難しいかしらと思いつつ、1冊目の『あらしのよるに』を読み聞かせてみると、思いのほか理解した顔。「オオカミとヤギでも友達になれるかな?」と問いかけると、迷う様子なく「うん!」と返ってきました。
まっすぐな声にドキリ。
なれない理由があるのかと、逆に問われたような気がしました。
息子はもうオオカミがヤギを食べるとわかる年齢ですが、ガブとメイはこんなにも仲良く会話したのだから、友達になれないはずがないと、何の疑いも抱きません。
オオカミだから、ヤギだから、友達になるのは難しい。そうやって「難しい話」にしていたのは私のほうでした。先入観やしがらみに染まって、大人になってしまったのだなぁとしみじみ感じます。

息子も大きくなるにつれ「友達になれるかな?」の問いに即答できなくなるかもしれません。「違い」の壁を感じてしまうこともあるでしょう。それでも、幼少期に「うん!」と答えた記憶は、いざというとき、壁を乗り超える背中を押してくれるのではないでしょうか。
「みんな仲良く」「違いを尊重せよ」と謳われる中、具体的な術(すべ)まで教わる場は少ないものです。ガブやメイを通して「こんなときどうする」を疑似体験できるのも、この絵本の魅力だと思います。
成長の節々で読み返せるよう、子どもの本棚にさりげなく紛れ込ませておきたいシリーズです。友情で迷った日に、誰かとの「違い」に戸惑ったときに、何となく心がざわつく嵐の夜に、ふと手に取って読めるように。

新作「あいことばはあらしのよるに」刊行
「あらしのよるに」は種を超えた「友情」を描いた大人気シリーズ、新シリーズはさらに種を超えた「家族の絆」を描きます。いまの時代にこそ読んでほしい新シリーズ第1巻が刊行。

仲良しな2人なのに、実はおたがい隠している秘密が!? 疑いあってしまう2人の友情と新たな命の行方が気になる第1巻。ヤギとオオカミの壁を越えた友情から家族の物語へ……待望の新シリーズがスタート!
「あらしのよるに」シリーズ全7巻はこちら
