「ハロウィンってなに?」と子どもに聞かれたら一緒に読みたい絵本4選
ハロウィンに読みたい絵本#1基本編 絵本コーディネーター・東條知美
2021.10.15
ハロウィンに欠かせない魔女のすべてがわかる
これまでの2冊を見ておわかりの通り、どうやらハロウィンの主役は魔女のようです。ということで、彼女たちの知られざる日常をもっとも詳しく書いてある1冊をご紹介したいと思います。その名も『魔女図鑑 魔女になるための11のレッスン』(作:マルカム・バード、訳:岡部史)。
出版されたのは1992年で、日本でも長く愛されています。図鑑ですから、はじめに目次がついています。「1章 魔女の家」「2章 魔女の台所」「3章 魔女の庭」……まずユニークなのが、目次の見開きにある注意書きです。
「<作者と出版社からのお願い>本書の内容は,熟練した魔女によって実用可能です。実験にともなう危険について,当方はいっさい責任をもちません。」
一体どんなことが書かれているのか、気になりますね。では、ちょっとのぞいてみましょう。
「魔女の台所」の章では、魔女たちがどんな料理を作って食べているのかがわかります。作り方も載っているのですが、ミミズのスープに毒きのこパイ……恐ろしいですね。とてもじゃないけれど作れません(笑)。
そして、魔女といえば、おまじない。おまじないなら、マネできるかなと思いきや……。
「雨ふらしの法 コップ1ぱいの妖精のなみだに,レインコートのボタンを入れて,かさのえで,よくかきまわし,長ぐつに流しこんで,おまじないをとなえます。」
やっぱりムリ! 妖精の涙なんて、準備できませんよねぇ。そう、ツッコミどころ満載の、とっても楽しい図鑑なのです。
ほかにも魔女のファッションやインテリア、美しさの秘訣など、いろいろ載っているのですが、魔女はハロウィンの主役! もちろん、魔女たちがハロウィンパーティでどんな遊びをしているのかも紹介されています。
「お菓子か,いたずらか」「かぼちゃさがし」といった、楽しそうな遊びもあるのですが、歌を歌いながらこうもりを手渡しする「こうもりわたし」、なめくじを輪投げの輪の代わりに投げる「なめくじ投げ」といった不気味なものも。さすが、本物の魔女の遊びはひと味違いますね。
魔女が持っていそうな表紙の装丁もすてきな1冊。魔女のことは、これでバッチリですよ!
抒情性豊かに綴られる巨大かぼちゃの1年
最後にご紹介するのは、かぼちゃの写真絵本『パンプキン』(写真・文:ケン・ロビンズ、訳:千葉茂樹)。表紙の、収穫された大きなかぼちゃの写真がとっても印象的です。
ハロウィンに大活躍する大きなかぼちゃですが、物語は春から。種まきをして育っていく過程、かぼちゃの花の色や形、待ちに待った収穫のとき……日本ではなかなか見られない風景を、季節の変化とともにていねいに美しく映し出していきます。コンテストに出された450キロ超えの巨大パンプキンは圧巻です。
そして、もちろん、ハロウィンの様子も。人々は農場に出かけて好きなかぼちゃを選んで持ち帰り、かぼちゃのランタンを作ります。下書きをして、のこぎりかナイフで切る。いろいろな本に作り方は書いてありますが、やはり写真だと伝わりやすく、本場の作り方がよくわかりますね。
訳者の千葉茂樹さんは、実はたくさんの物語絵本を訳されている方。非常に詩的な表現を得意とされています。力強くもシンプルな写真に彩りを添え、抒情(じょじょう)性豊かに、心に残るものとして完成されているのは、言葉の力によるものが大きいのではないでしょうか。
まだ文字がしっかり読めないお子さんでも十分楽しめますし、大人も子どもも、幅広い年齢の方に楽しんでもらえる1冊としておすすめです。
取材・文/星野早百合
東條 知美
絵本コーディネーター、講師、コラムニスト。1973年新潟県上越市生まれ。白百合女子大学児童文化学科卒業。在学中は桑原三郎氏(児童文学研究者)、角野栄子氏(児童文学作家)らに師事。卒業後、メディアファクトリー(現KADOKAWA)、国立国会図書館、幼児教育専門学校などの勤務を経て、絵本コーディネーターに。 絵本を題材に各地で講演、イベントを行うほか、執筆活動、保育士や図書館司書を対象とした研修などを手掛ける。コンセプトは「子どもに絵本を。大人にこそ絵本を。」 公式サイト https://www.tojotomomi.com/ ブログ「僕らの絵本」 https://ameblo.jp/bokurano-ehon Instagram @tomomitojo Twitter @TOMOMIT
絵本コーディネーター、講師、コラムニスト。1973年新潟県上越市生まれ。白百合女子大学児童文化学科卒業。在学中は桑原三郎氏(児童文学研究者)、角野栄子氏(児童文学作家)らに師事。卒業後、メディアファクトリー(現KADOKAWA)、国立国会図書館、幼児教育専門学校などの勤務を経て、絵本コーディネーターに。 絵本を題材に各地で講演、イベントを行うほか、執筆活動、保育士や図書館司書を対象とした研修などを手掛ける。コンセプトは「子どもに絵本を。大人にこそ絵本を。」 公式サイト https://www.tojotomomi.com/ ブログ「僕らの絵本」 https://ameblo.jp/bokurano-ehon Instagram @tomomitojo Twitter @TOMOMIT