子どもへの怒りは第2次感情! 専門家が教える「どなる・叩く」をやめる方法

子育てアドバイザー・高祖常子氏「叩かない&どならない子育て2022」#3~「怒る・𠮟る」「甘やかし・甘えさせる」の違い~

子育てアドバイザー・キャリアコンサルタント:高祖 常子

「怒る・𠮟る」「甘やかし・甘えさせる」の違いとは

怒るのと、𠮟るのは違います。

怒る・どなるのは怒りの爆発。𠮟るのは、線を引くこと。「危ないから、やめなさい」という感じです。どなりつける必要はなく、きっぱりと伝えればいいでしょう。

そもそも𠮟ることが多すぎないかを考えることも大事です。「あれやっちゃだめ」「これやっちゃだめ」と毎回言っていると、子どもは自分で考えようとしなくなり、親の顔色をうかがうようになる可能性もあります。

甘やかしと甘えさせることも違います。

「やだ! 買って!」とだだをこねている子に、根負けして仕方なく買ってしまうのが甘やかし。これでは、子どもはいつでもごねたら、意見が通ると思ってしまい、基準が分からなくなり、我慢することも学びません。

「やだ! 買って!」という気持ちをまずは受け止め、次に「そうかイヤだったね。でも今は買えないよ」と寄り添いましょう。

なかなか泣き止まないかもしれませんが、それは自分の買いたい気持ちと、そのとおりに通らない気持ちとが葛藤しているからです。子どもの葛藤を見守りましょう。

叩かない・どならないと決めることで親子関係が変わる

まずは、叩かない・どならないと決めることが大事です。決めることで心に旗が立ちます。

「でも、ついどなってしまった」ということもあるかもしれませんが、決めることで確実に減っていくと思います。

叩く・どなるをやめたパパママのエピソードを紹介します。

あるパパは、小学生の子をときどき叩いていたそうです。家族団らんでソファに座っていたある日、パパが頭をかいたら、とっさに子どもが手で頭をかばうようなしぐさをしたのです。

その姿を見て、パパは「もう叩かない」と決意しました。

叩く選択肢があると、子どもはいつ叩かれるかと緊張します。そんな家族関係ではリラックスできませんし、困ったことがあったときにSOSを出しにくくなるでしょう。

あるママは、お子さんが小学2年生のときに私の講座を聞いてくださいました。そのときは、パパが単身赴任中で、いっぱいいっぱい。子どもを叩くことも多かったと話してくれました。

でも講座を聞いて叩かないと決めてくださり、それ以来一度も叩いていないとのこと。そして、今、お子さんは中学2年生になられました。

思春期ではあるものの、ママの横でべらべらとたくさんお話をするそうです。安心して話せる関係性ができたからだと思います。

次回は「どなる・叩く親を目撃した場合どうしたらいいのか」ということについて、お伝えしたいと思います。

高祖常子(こうそ・ときこ)
子育てアドバイザー・キャリアコンサルタント。リクルートで学校・企業情報誌の編集にたずさわったのち、2005年に育児情報誌miku編集長に就任し14年間活躍。認定NPO法人児童虐待防止全国ネットワーク理事、NPO法人ファザーリング・ジャパン理事ほか各NPOの理事を務める。「体罰等によらない子育ての推進に関する検討会」(厚生労働省2019年度)でガイドライン策定委員ほか、国や行政の委員を歴任。子育てと働き方などを中心とした著書も多数で、全国で講演を行っている。
3児の母。東京家政大学第9回渡邉辰五郎奨励賞受賞。

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こうそ ときこ

高祖 常子

子育てアドバイザー・キャリアコンサルタント

リクルートで学校・企業情報誌の編集にたずさわったのち、2005年に育児情報誌miku編集長に就任し14年間活躍。Yahoo!ニュース公式コメンテーター。 認定NPO法人児童虐待防止全国ネットワーク理事、NPO法人ファザーリング・ジャパン理事ほか各NPOの理事を務める。「体罰等によらない子育ての推進に関する検討会」(厚生労働省2019年度)でガイドライン策定委員ほか、国や行政の委員を歴任。子育てと働き方などを中心とした編集・執筆ほか、全国で講演を行っている。 保育士、幼稚園教諭2種、心理学検定1級など子育てに関連する資格を多数取得。 東京家政大学短期大学部保育科卒、第9回渡邉辰五郎奨励賞受賞。 著書は『イラストでよくわかる 感情的にならない子育て』(かんき出版)、『こんなときどうしたらいいの? 感情的にならない子育て』(かんき出版)、『男の子に厳しいしつけは必要ありません』(KADOKAWA)ほか。 3児の母。 ●高卒常子オフィシャルサイト ●Twitter @tokikok  

リクルートで学校・企業情報誌の編集にたずさわったのち、2005年に育児情報誌miku編集長に就任し14年間活躍。Yahoo!ニュース公式コメンテーター。 認定NPO法人児童虐待防止全国ネットワーク理事、NPO法人ファザーリング・ジャパン理事ほか各NPOの理事を務める。「体罰等によらない子育ての推進に関する検討会」(厚生労働省2019年度)でガイドライン策定委員ほか、国や行政の委員を歴任。子育てと働き方などを中心とした編集・執筆ほか、全国で講演を行っている。 保育士、幼稚園教諭2種、心理学検定1級など子育てに関連する資格を多数取得。 東京家政大学短期大学部保育科卒、第9回渡邉辰五郎奨励賞受賞。 著書は『イラストでよくわかる 感情的にならない子育て』(かんき出版)、『こんなときどうしたらいいの? 感情的にならない子育て』(かんき出版)、『男の子に厳しいしつけは必要ありません』(KADOKAWA)ほか。 3児の母。 ●高卒常子オフィシャルサイト ●Twitter @tokikok