「整体的子育て」 子どもの心と身体をほぐす「手当て」の基本を伝授

整体ボディワーカー・山上亮さんに教えてもらう子育て整体#1 日常に取り入れる「手当て」

整体ボディワーカー:山上 亮

撮影:土居麻紀子
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コロナ禍で距離を取る生活が続く中、ストレスを抱えたり、体調を崩したりする子どもたちはまだまだ多くいます。
そこで注目を集めているのが、「手当て」。

「手当て」は、その名の通り手を当てるだけ。しかし、幸せホルモン・オキシトシンが分泌され、癒し効果もあると言われています。

整体ボディワーカーの山上亮さん。
撮影:土居麻紀子

心身に大きな影響を与える「気」を広めた野口整体と、「身体」「心」「頭」の調和が大事だと考えるシュタイナーの思想を取り入れた子育てを提唱する、整体ボディワーカー・山上亮さんに、「手当て」の大切さと、家庭でできる季節ごとの「手当て」について教えてもらいました。(全4回の1回目。第2回第3回第4回は2021年12月2日公開)

※手当ては子どもが痛がらずに心地よく感じる力加減で行ってください。痛みを感じるときは中止し、傷や疾病、身体症状を有する場合は医師の診察、アドバイスを受けるようにしてください。

ただふれることで分泌される幸せホルモン「オキシトシン」

山上さんは、現在子育て中の2児のパパでもあります。 
撮影:土居麻紀子

山上さんが開催されている「子育て講座」では、何かあったらとにかく手をふれていくことを大切に伝えています。

「『手当て』と言うと難しく聞こえるかもしれませんが、ただふれてあげるだけでいいんです。

おなかが痛いならおなかを、足がだるいなら足を。
どこを問わず、ただふれてあげることで子どもたちの緊張感はほぐれていきます。
寝る前にハグしてあげるとか、背中をさすってあげるとかでもいいんです。それだけでずいぶん安心できるんですよ。

最近では、ふれることでオキシトシンホルモンが分泌されて、ストレス解消や安心につながると言われています。

寝る前などに、5分くらいでいいので“マッサージしようか”と言って、おなかや背中などにふれてあげてください。そして最後はハグ。これで終わりです。

かしこまって『整体をやります』、というのではなく、身体にふれてあげて、コミュニケーションやスキンシップを取る感じでいいんですよ」

じゃれあう感じで子どもに触れてあげましょう。  撮影:土居麻紀子

まずは子どもに集中すること、知識はその先に

「整体では、痛いところや気になるところに集中して手を当ててあげることを『愉気(ゆき)』と言います。

ただ、整体として、正しい場所や強さなどを考えながらやっていると、子どものことをあまり見ず、知識を習得するほうに気がいってしまいます。すると子どもは自分に気を向けてもらっている感じがしないわけです。
だから、ただふれているという状態のほうが、整体の愉気としても理にかなっているんです。

ですので、あまり知識ややり方に縛られなくて大丈夫。
何も考えずに、たくさん子どもにふれてあげてください」

ただ、ふれてあげる延長線上に整体的な知識もあると言います。

「ケガや虫に刺されたときに、『化膿活点』を押さえると応急処置になったり、花粉症のときに肩甲骨をゆるめてあげるとラクになるなど、覚えておくと便利な知識もあります。

そういう知識も知っていくと、手当て自体がどんどん面白くなっていきますよ」

ケガや虫刺されのときには、腕にある「化膿活点」を押さえてあげましょう。  
撮影:土居麻紀子

思春期の子どもには「遠くからふれる」

しかし子どもがどんどん大きくなり、思春期になるとふれること自体が難しくなる時期もきます。そんなときはどうすればいいのでしょうか。

「思春期はとにかくナイーブで過敏な時期です。人との距離感を一番敏感に感じる時期なので、”遠くからふれる”のがいいと思います。

例えば、タオルなどの道具をひとつ挟んだり、髪の毛を結ってあげたり。足の指先だけにふれるとかでもいいですね。

手や顔などはさわられるのをいやがっても、背中や足の指先だと間合いが取れます。
すると、『それぐらいならいいよ』という感じでふれるのを許してくれたりするんです。
思春期はそうやって少し工夫して、広い意味で身体にふれてゆくとよいですね」

第2回では、家庭でできる季節ごとの「手当て」の中から、秋と冬に覚えておくと便利な手当てをご紹介します。

取材・文/石本真樹

※手当ては子どもが痛がらずに心地よく感じる力加減で行ってください。痛みを感じるときは中止し、傷や疾病、身体症状を有する場合は医師の診察、アドバイスを受けるようにしてください。

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やまがみ りょう

山上 亮

整体ボディワーカー

整体ボディワーカー。野口整体とシュタイナーの思想から人が元気に暮らしていける「身体技法」と「生活様式」を研究。 整体指導、子育て講座、精神障がい者のボディワークなど幅広く活躍中。 主な著書に『子どものこころにふれる 整体的子育て』、『整体的子育て2 わが子にできる手当て編』、『こどものしぐさはメッセージ』(すべてクレヨンハウス刊)など。

整体ボディワーカー。野口整体とシュタイナーの思想から人が元気に暮らしていける「身体技法」と「生活様式」を研究。 整体指導、子育て講座、精神障がい者のボディワークなど幅広く活躍中。 主な著書に『子どものこころにふれる 整体的子育て』、『整体的子育て2 わが子にできる手当て編』、『こどものしぐさはメッセージ』(すべてクレヨンハウス刊)など。