PTAと企業をマッチング! 時間&労力減に成功したアウトソーシングの実例とは

PTA専用支援サービス「PTAアウトソーシング」#3 ~マッチングプラットフォーム~

ライター:遠藤 るりこ

PTA’Sで業務をアウトソースする理由は3つ

増島さんは、PTA業務をアウトソースする理由について、こう語ります。

「まずは《保護者の負担軽減》です。子どものための活動なのに、現状のPTAは負担が大きすぎます。負担が大きいと、子どもたちの前で愚痴ってしまったりもしますよね。負担を減らして、楽しんで参加できるPTAに変えていきたいと思っています。

また、《持続可能と安定化》も大切だと思っています。各家庭の生活状況が多様化するなかで、たとえ今、良好な運営ができていたとしても、それがずっと続いていくとは限りません。安定的に運営できる仕組みづくりのお手伝いができればと思います」(増島さん)

さらに、増島さんはPTAが抱える「お金」の問題にも切り込んでいきます。

「理由のひとつに《予算の適正利用》もあります。年度ごとに集めている会費を、使い切れずに繰り越してしまうことがよくあります。けれど、その年度の予算は、その年度の子どもたちのために使い切るのが大原則なんです」(増島さん)

ご自身のPTA経験から、PTAの予算の使い方について、考えるようになったという増島さん。次回はPTAアウトソーシングが解決する《お金》の話について、詳しくおうかがいします。

〈PTAにくわしい労働・子育てジャーナリスト 吉田大樹さんから〉

私が会長を務める埼玉県・鴻巣市のP連(PTA連合組織)への投書にも「アウトソーシングサービスを導入してみては?」という意見がありました。

アウトソーシング導入へ踏み出すか、踏み出さないかは、地域性もあると感じます。都市部だったら核家族も多く、多様な家庭環境があるので、「保護者へ労力をかけないように頼んでみよう」となるのかもしれません。その時点で私の暮らす地域では、サービスを導入するのは時期尚早かなと感じました。

PTAに積極的でない会員のみなさんは、どうしてもネガティブなイメージが先行してしまっていて、「労力」がかかる活動におびえています。しかし、行事の中での見回りやお手伝いなどがそこまでの「労力」になってくるのかなぁと、私は疑問に感じます。

そもそも子育てって、「労力」がかかることじゃないですか。楽しいこともあるけれど、それと同じくらい大変なこともある。そしてそこから得られるものも多くあります。

「不要な活動だ」とか「非効率だ」と言いたくなる気持ちは十分理解できるのですが、これまで何もしてなかった人が食わず嫌いで「労力を一切かけたくない」というのは違うのではないかなぁと思っています。

一度でもいいからPTAの活動に参加することで、その活動について理解し、そこから改善が生まれることを期待したいです。これまで自分事として認識していなかったパパたちには特に、ですね。

PTA活動は子育ての一環だと私は考えていて、今後の子育てしていくうえでの糧(かて)に必ずなると私は思います。自分の子ども相手の子育てなら、それに「労力」がかかると文句をいう保護者は少ないはず。

多少の「労力」なら厭(いと)わない、ポジティブな雰囲気を持ったPTAが増えていくといいですよね。アウトソーシングすることで、ネガティブをポジティブに転化させることができるなら有用だと感じます。

吉田大樹(よしだ・ひろき)プロフィール
労働・子育てジャーナリスト。1977年東京生まれ。NPO法人グリーンパパプロジェクト代表理事。3児のシングルファーザーで、小~高のPTA会長を経験。現在、埼玉県鴻巣市のP連(PTA連合組織)会長。元内閣府「子ども・子育て会議」委員、内閣官房「就学前のこどもの育ちに係る基本的な指針」に関する有識者懇談会委員も務めている。


増島佐和子(ますじま・さわこ)プロフィール
愛知県名古屋市出身。1995年、日本大学経済学部を卒業後、株式会社三晃社に入社。 J.Walter Thompson Japan、株式会社電通、社会福祉法人東京児童協会などを経て、独立。社会課題の解決を目的とする、神奈川県主催のKSAP(かながわ・スタートアップ・アクセラレーション・プログラム)に採択。2021年に「合同会社さかせる」を設立し、同社代表社員に就任(現任)。自身のPTA経験をきっかけに、全国のPTAを助けたいという思いで、アウトソースのサポートなどを行う専用支援サービス「PTA’S」を運営、情報発信や課題解決に努めている。

取材協力/PTA’S(ピータス)
https://ptas.site

PTA’S代表の増島佐和子さん

取材・文/遠藤るりこ

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よしだ ひろき

吉田 大樹

労働・子育てジャーナリスト、NPO法人グリーンパパプロジェクト代表理事

1977年東京生まれ。札幌出身、埼玉県鴻巣市在住。日本大学大学院法学研究科政治学専攻修了(政治哲学)。 2003年より労働関係の専門誌記者として、ワーク・ライフ・バランスや産業保健(過重労働・メンタルヘルスなど)の問題を取材。働き方や生き方の変革を訴える。 2012年7月から2年間、NPO法人ファザーリング・ジャパン代表理事。2014年から労働・子育てジャーナリストとして活動開始。2016年NPO法人グリーンパパプロジェクトを設立。代表理事に就任。2019年5月から放課後児童クラブ「南よつばの願い学童」の運営開始。 これまでに、内閣府「子ども・子育て会議」委員、厚生労働省「イクメンプロジェクト推進委員会推進」委員、経済財政諮問会議「今後の経済財政動向等についての点検会合」有識者などを歴任。 現在、厚生労働省「社会保障審議会児童部会子どもの預かりサービスの在り方に関する専門委員会」委員、内閣官房こども家庭庁準備室「就学前のこどもの育ちに係る基本的な指針」に関する有識者懇談会委員、東京都「子供・子育て会議」委員、鴻巣市「男女共同参画審議会」委員、鴻巣市「鴻巣市PTA連合会」会長などを務める。 著書に『パパの働き方が社会を変える!』(労働調査会刊) 3児(長男03年生まれ、長女06年生まれ、次男08年生まれ)のシングルファーザー。

1977年東京生まれ。札幌出身、埼玉県鴻巣市在住。日本大学大学院法学研究科政治学専攻修了(政治哲学)。 2003年より労働関係の専門誌記者として、ワーク・ライフ・バランスや産業保健(過重労働・メンタルヘルスなど)の問題を取材。働き方や生き方の変革を訴える。 2012年7月から2年間、NPO法人ファザーリング・ジャパン代表理事。2014年から労働・子育てジャーナリストとして活動開始。2016年NPO法人グリーンパパプロジェクトを設立。代表理事に就任。2019年5月から放課後児童クラブ「南よつばの願い学童」の運営開始。 これまでに、内閣府「子ども・子育て会議」委員、厚生労働省「イクメンプロジェクト推進委員会推進」委員、経済財政諮問会議「今後の経済財政動向等についての点検会合」有識者などを歴任。 現在、厚生労働省「社会保障審議会児童部会子どもの預かりサービスの在り方に関する専門委員会」委員、内閣官房こども家庭庁準備室「就学前のこどもの育ちに係る基本的な指針」に関する有識者懇談会委員、東京都「子供・子育て会議」委員、鴻巣市「男女共同参画審議会」委員、鴻巣市「鴻巣市PTA連合会」会長などを務める。 著書に『パパの働き方が社会を変える!』(労働調査会刊) 3児(長男03年生まれ、長女06年生まれ、次男08年生まれ)のシングルファーザー。

えんどう るりこ

遠藤 るりこ

ライター

ライター/編集者。東京都世田谷区在住、三兄弟の母。子育てメディアにて、妊娠・出産・子育て・子どもを取り巻く社会問題についての取材・執筆を行っている。歌人・河野裕子さんの「しつかりと 飯を食はせて 陽にあてし ふとんにくるみて寝かす仕合せ」という一首が、子育てのモットー。 https://lit.link/ruricoe

ライター/編集者。東京都世田谷区在住、三兄弟の母。子育てメディアにて、妊娠・出産・子育て・子どもを取り巻く社会問題についての取材・執筆を行っている。歌人・河野裕子さんの「しつかりと 飯を食はせて 陽にあてし ふとんにくるみて寝かす仕合せ」という一首が、子育てのモットー。 https://lit.link/ruricoe