我が子の不登校「学校を休ませるかLINEで判定」 精神科医や不登校専門家が開発した「チェックリスト」
LINE「学校休んだほうがいいよチェックリスト」が8月に無料リリース
2023.09.01
ライター:石原 壮一郎
チェックリストの「絶対にやめてほしい」使い方
「私たちが『少しでも不安なら休ませたほうがいい』と言うと、『簡単に休ませると怠け癖が付くんじゃないか』と心配する親御さんもいます。そんなことはありません。人間、怠けようと思っても怠け続けられるもんじゃない。
子どもの力を信じましょう。がんばれないときに無理をする必要はないんです。その子の心のエネルギーが失われてしまう前に、親御さんに勇気ある決断をしてほしい」(松本先生)
不安を抱える親にとっては、ある意味“救世主”となるチェックリストですが、使ううえで気をつけたいことも多々あります。
まず、子ども自身が自己診断のために使わないこと。「こういう行動や発言をすると親に𠮟られる(期待を裏切ってしまう)」と考えて、さらに自分を追い詰めることになりかねません。子どもに診断結果を見せて「ほら、こう言われてるよ」と伝えるのもタブーです。
また、不登校の状態にある子どもをせっせと診断して「もう学校に行っても大丈夫かな」と判断するためのツールにするのも、教員がクラスの心配な子どもに対して診断を行ってレッテルを貼るのも、「絶対にやめてほしい」と松本先生は言います。
親が子どもをどう見ているかをチェックする効能も!?
不登校に対する関心や注目は、不登校が急激に増え続けていることもあって、年々高まっています。しかし、本人や親が苦しめられている状況に大きな変化はありません。
「行きたくなかったら行かなくていいよ」と口では言っていても、本心でそう思ってないことが子どもに伝わって、お互いに余計に苦しんでしまうケースも少なくありません。
「子どもを追いつめたいと思っている親はいません。この子には休息が必要なんだ、この子の心は悲鳴を上げているんだ。そのことに気づくために、その判断に自信を持つために、このチェックリストを活用してもらいたい。
多くの親御さんに使ってもらうことで、不登校になった自分に絶望して苦しむ子や、自殺にまで追い込まれる子は減っていくと確信しています」(石井さん)
もしかしたら、このチェックリストの最大の効能は、「学校は絶対行かせなくては!」といった古い価値観や世間体などの雑音に惑わされている親自身が、自分は本当に子どもを見ているか、子どものことを最優先に考えているか、ということをチェックできることなのかもしれません。
石井しこうPROFILE
『不登校新聞』代表理事。
1982年東京都生まれ。中学2年生から不登校になりフリースクールへ。19歳から日本で唯一の不登校の専門紙『不登校新聞』のスタッフとなり、2006~2022年に編集長を務める。これまで不登校当事者、親、有識者など400人以上を取材。不登校にまつわる著作やメディア出演も多数。
松本俊彦(まつもと・としひこ)PROFILE
国立精神・神経医療研究センター 精神保健研究所薬物依存研究部 部長。
1993年佐賀医科大学卒業。2015年より現職。2017年より国立精神・神経医療研究センター病院薬物依存症センター センター長を兼務。現在、日本精神科救急学会理事、日本社会精神医学会理事、日本アルコール・アディクション医学会理事、日本学術会議アディクション分科会特任連携委員。著書に『自分を傷つけずにはいられない 自傷から回復するためのヒント』(講談社)、『「助けて」が言えない 子ども編』(日本評論社)など多数。
松本 俊彦
国立精神・神経医療研究センター 精神保健研究所薬物依存研究部 部長。1993年佐賀医科大学卒業。2015年より現職。2017年より国立精神・神経医療研究センター病院薬物依存症センター センター長を兼務。現在、日本精神科救急学会理事、日本社会精神医学会理事、日本アルコール・アディクション医学会理事、日本学術会議アディクション分科会特任連携委員。 著書に『自分を傷つけずにはいられない 自傷から回復するためのヒント』(講談社)、『「助けて」が言えない 子ども編』(日本評論社)など多数。
国立精神・神経医療研究センター 精神保健研究所薬物依存研究部 部長。1993年佐賀医科大学卒業。2015年より現職。2017年より国立精神・神経医療研究センター病院薬物依存症センター センター長を兼務。現在、日本精神科救急学会理事、日本社会精神医学会理事、日本アルコール・アディクション医学会理事、日本学術会議アディクション分科会特任連携委員。 著書に『自分を傷つけずにはいられない 自傷から回復するためのヒント』(講談社)、『「助けて」が言えない 子ども編』(日本評論社)など多数。
石原 壮一郎
コラムニスト。1963年三重県生まれ。月刊誌の編集者を経て、1993年に『大人養成講座』でデビュー。以来、数多くの著作や各種メディアでの発信を通して、大人としてのコミュニケーションのあり方や、その重要性と素晴らしさと実践的な知恵を日本に根付かせている。女児(2019年生まれ)の現役ジイジ。 おもな著書に『大人力検定』『コミュマスター養成ドリル』『大人の超ネットマナー講座』『昭和だョ!全員集合』『大人の言葉の選び方』など。故郷の名物を応援する「伊勢うどん大使」「松阪市ブランド大使」も務める。ホンネをやわらげる言い換えフレーズ652本を集めた『【超実用】好感度UPの言い方・伝え方』も大好評。 林家木久扇がバカの素晴らしさを伝える『バカのすすめ』(ダイヤモンド社)では構成を担当。2023年1月には、さまざまな角度のモヤモヤがスッとラクになる108もの提言を記した著書『無理をしない快感 「ラクにしてOK」のキーワード108』(KADOKAWA)が発売。 2023年5月発売の最新刊『失礼な一言』(新潮新書)では、日常会話からメール、LINE、SNSまで、さまざまな局面で知っておきたい言葉のレッドラインを石原壮一郎氏がレクチャー。 写真:いしはらなつか
コラムニスト。1963年三重県生まれ。月刊誌の編集者を経て、1993年に『大人養成講座』でデビュー。以来、数多くの著作や各種メディアでの発信を通して、大人としてのコミュニケーションのあり方や、その重要性と素晴らしさと実践的な知恵を日本に根付かせている。女児(2019年生まれ)の現役ジイジ。 おもな著書に『大人力検定』『コミュマスター養成ドリル』『大人の超ネットマナー講座』『昭和だョ!全員集合』『大人の言葉の選び方』など。故郷の名物を応援する「伊勢うどん大使」「松阪市ブランド大使」も務める。ホンネをやわらげる言い換えフレーズ652本を集めた『【超実用】好感度UPの言い方・伝え方』も大好評。 林家木久扇がバカの素晴らしさを伝える『バカのすすめ』(ダイヤモンド社)では構成を担当。2023年1月には、さまざまな角度のモヤモヤがスッとラクになる108もの提言を記した著書『無理をしない快感 「ラクにしてOK」のキーワード108』(KADOKAWA)が発売。 2023年5月発売の最新刊『失礼な一言』(新潮新書)では、日常会話からメール、LINE、SNSまで、さまざまな局面で知っておきたい言葉のレッドラインを石原壮一郎氏がレクチャー。 写真:いしはらなつか
石井 しこう
『不登校新聞』代表理事。1982年東京都生まれ。中学2年生から不登校になりフリースクールに通う。19歳から日本で唯一の不登校の専門紙『不登校新聞』のスタッフとなり、2006~2022年に編集長を務める。2020年から代表理事に。これまで不登校当事者、親、有識者など400人以上を取材。不登校にまつわる著作やメディア出演も多数。 最新刊は『フリースクールを考えたら最初に読む本』(主婦の友社)。不登校の親同士が気軽に話せる親専用コミュニティ「親コミュ」を毎月開催。 【URL】 ●全国不登校新聞 ※不登校新聞の購読は紙版、Web版、note(Web)、Amazonで購入可能。 ●不登校の親専用のオンラインコミュニティ「親コミュ」
『不登校新聞』代表理事。1982年東京都生まれ。中学2年生から不登校になりフリースクールに通う。19歳から日本で唯一の不登校の専門紙『不登校新聞』のスタッフとなり、2006~2022年に編集長を務める。2020年から代表理事に。これまで不登校当事者、親、有識者など400人以上を取材。不登校にまつわる著作やメディア出演も多数。 最新刊は『フリースクールを考えたら最初に読む本』(主婦の友社)。不登校の親同士が気軽に話せる親専用コミュニティ「親コミュ」を毎月開催。 【URL】 ●全国不登校新聞 ※不登校新聞の購読は紙版、Web版、note(Web)、Amazonで購入可能。 ●不登校の親専用のオンラインコミュニティ「親コミュ」