子どもの「やりたい」気持ちを伸ばす「物をつくる」漫画5選 ファッション・酪農・刀鍛冶・少女漫画…〔マンガミュージアム学芸員が厳選〕
京都国際マンガミュージアム学芸員・倉持佳代子さんに聞く「お仕事漫画」 #4 物をつくる仕事が学べる漫画5選 「ランウェイで笑って」「百姓貴族」「箱庭モンスター」「神田ごくら町職人ばなし」「舞子さんちのまかないさん」
2024.11.18
京都国際マンガミュージアム学芸員:倉持 佳代子
親子で楽しみながら学べる漫画を、“漫画を読むプロ”に教えてもらう連載4回目。今回のテーマは、「物をつくる仕事」が学べる漫画です。
京都国際マンガミュージアム学芸員・倉持佳代子さんが選んだ5作品とは?
倉持佳代子(くらもち・かよこ)
1983年、埼玉県生まれ。2008年度より京都国際マンガミュージアムの研究員として入職。現在は学芸員として同館に在職。主に少女漫画やエッセイ漫画に関心を寄せ、研究を続ける。館で展示イベントを企画する傍ら、新聞・雑誌にコラムやエッセイなどの執筆業も。
1.ランウェイで笑って
あらすじ
モデルとして致命的な低身長だが、「パリ・コレ」のモデルになることを諦めない藤戸千雪。一方、天賦の才に恵まれながらも生家が貧しく、経済的に恵まれないためにデザイナーを目指して進学することを諦めている都村育人。決して華やかなだけではない、過酷で残酷なファッション業界のなかでひたむきに夢を追う2人の物語。
倉持佳代子さん(以下、倉持さん):少年誌でモデルやファッション業界をテーマに扱う珍しさでも話題になった作品ですが、物語自体は主人公らが成り上がっていく姿を描く少年マンガの王道! スポ根的なストーリーが魅力的で、さまざまな困難に打ち克ちながら夢を叶えていく姿に胸が熱くなります。
この作品を読むと、ファッション業界を舞台にした華やかな世界は才能だけじゃなく努力、運、体力、タイミング、人脈など、すべてが嚙み合わないと夢への道が開かれない、本当に厳しい世界だと唸らされます。
倉持さん:もう一つ、この作品の見どころは、服を作るデザイナーの仕事と、服を着るモデルの仕事の両方がリアルに細かく描かれ、それぞれの業界の裏事情が垣間見られるところです。
デザインやファッションの用語解説もついているので、やや難しい内容も理解できます。主人公の2人が試練やピンチをどう切り抜け道を拓いていくのか、ドラマ性たっぷりの展開にも目が離せませんよ。