子どもの「やりたい」気持ちを伸ばす「物をつくる」漫画5選 ファッション・酪農・刀鍛冶・少女漫画…〔マンガミュージアム学芸員が厳選〕

京都国際マンガミュージアム学芸員・倉持佳代子さんに聞く「お仕事漫画」 #4 物をつくる仕事が学べる漫画5選 「ランウェイで笑って」「百姓貴族」「箱庭モンスター」「神田ごくら町職人ばなし」「舞子さんちのまかないさん」

京都国際マンガミュージアム学芸員:倉持 佳代子

4.神田ごくら町職人ばなし

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『神田ごくら町職人ばなし』©坂上暁仁(トーチweb)

あらすじ
桶職人、刀鍛冶、紺屋、畳刺し、左官など、江戸を舞台に活躍する職人たちの手仕事と日常を描いた作品。確かな目と、磨き上げられた技を持つ匠たちの仕事に対する誇りや生き様を、圧倒的な描写力で描き、数々の漫画賞も受賞した話題作。

倉持さん:江戸時代に栄えたさまざまな伝統の手仕事をテーマにした作品です。職人の仕事に対する誇り、驚くべき集中力で仕上げていく姿、卓越した“目”に心震えます。美しく細やかな筆致も圧巻です。ほかにも、桶職人や畳刺し、左官など今や後継者が少なく、失われつつある伝統の手仕事について知ることができます。

──これまでの「学習マンガ」でも、伝統的な仕事について知る機会はありましたが、それらとの違いはなんでしょうか。

倉持さん:学習マンガはできるだけ客観的に、わかりやすく仕事について書くことが優先されますが、この作品は作家の主観を踏まえた、物語性の高さが特徴です。仕事をとりまく人間たちのドラマ、江戸時代の情景や空気まで感じさせて、より心に強く響きますよ。

『神田ごくら町職人ばなし』1巻34ページ。
『神田ごくら町職人ばなし』1巻35ページ。「ものづくりに魂を注ぐ職人の眼差しに、鳥肌が立ちました」(倉持さん)。

倉持さん:全身全霊をかけて取り組む職人たちの心意気と、その仕事に心を動かされる人がいるのは、昔も今も変わりません。ものづくりの尊さを改めて感じさせてくれます。

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