子どもが楽しい言葉の響きと景色がうつくしいホッとする1冊『トコトコバス』読み聞かせのコツ

「本とあそぼう 全国訪問おはなし隊」隊長がお教えします

本とあそぼう 全国訪問おはなし隊

読み手 ーーおはなし隊隊長 窪田泰子
※この記事は、講談社絵本通信に掲載の記事を再構成したものです。
 
キャラバンカーに本をたくさん積んで、全国47都道府県におはなしを届ける「本とあそぼう 全国訪問おはなし隊」。
幼稚園や保育所、小学校や図書館、書店など様々な訪問先で、おはなし会を重ねてきたおはなし隊の隊長さんが、子どもたちに人気の絵本の読み聞かせのコツをお教えします!
トコトコとゆっくりと進むトコトコバス。

言葉のリズムはもちろん、次は誰が乗ってくるのかな? バスはどこへ行くのかな? ということを想像するのも楽しい、読み聞かせにぴったりの絵本です。

子どもたちにとってバスは身近な乗り物でもありますから、小さなお子さんにもおすすめです。「乗ったことあるー!」の声もたくさん聞こえてきます。

みんなで「ぼく」と「おかあさん」と一緒にトコトコバスに乗りこんでみましょう。
『トコトコバス』
作:高橋和枝 講談社
夕暮れから始まるお話です。
ゆっくりとリズムよく、トコトコ読み始めていきましょう。

「バスは おかを のぼりはじめた。」
「トコトコトコ」
という擬態語もおかをのぼるように少し力をいれて読んでみましょう。

「つぎは りーんりーんのバスてい。りーんりーんのバスていです。」
バスはトコトコトコと丘を登っていく
『トコトコバス』より
ここで、あれ? 何かな? と想像する気持ちが芽生えますね。

「りーんりーんの バスていでは」で、一拍おいて、「むしが いっぴき のりこんできた。」と読むと、あ、りーんりーんのバスていだから虫だ! と小さな子どもたちにも伝わって、次は誰が乗ってくるのかな? とわくわくした気持ちになってきます。

「プシュー ブルブルン。」はバスらしく読みたいですね。
バス乗ろうと待っていた虫がいっぴき。
『トコトコバス』より
くねくね道やお花のたくさん咲いた野原。

そんな景色を想像しながら、トコトコトコトコ、バスに乗り、どんな景色かな? 次は誰が乗ってくるのかな? ゆったりと、子どもたちと広がる想像を楽しみながら読んでいきましょう。

だんだんと日が暮れて暗くなってきました。でも、バスからあふれる温かな光がとてもきれいで、わくわくしてきます。

バスは橋を渡りますよ。
「トッコントコトコ トッコントコトコ。」
少しバスが跳ねてますね。

言葉のリズムがかわったことに、子どもたちも気づきます。そういうリズムの変化も子どもたちが楽しめるところです。大切に読みましょう。

なかなか乗って来ない誰かさんのことをみんなは心配しだしました。あれ? 誰のことをみんなは心配しているのかな?

今度は、だんだんもやが立ち込めてきました。またバスのリズムが変わります。
「トッコントロトロ トッコントロトロ。」
白い景色の中を少し注意して、ゆっくりとバスはすすみます。

みんなが心配していた誰かさんも無事に乗って、一気に気持ちも景色も明るくあたたかく、軽やかに。バスのリズムも少し軽やかに読みましょう。
心配してた誰かさんも無事に乗れて、一安心。
『トコトコバス』より
「ぼく」と「おかあさん」を残してみんなは降りていきます。

「プシュー ブルブルン。
『はっしゃします』
バスがはしりだすと」


ここで、少し間を置きます。

そして、ページをめくりながら、「ぽん」を強調して読みましょう。

また少し間をおいて、たっぷりとした気持ちで「ふりむくと そらに まんまるおつきさん」。景色の広がりを感じますね。

さて、お母さんも目を覚ましたみたいですよ。
(そうです。乗ってすぐにお母さんはウトウト夢の中。絵をじっくりみてみると楽しいですね)

「もうすぐぼくのバスていだ。」
このページで、一気に現実に戻ってきたような気持ちになります。夢だったのかな? 想像だったのかな? それともほんとうに起こったこと?

余韻を残しつつ、最後のページまでしっかりゆったりと絵をみせてあげてくださいね。

最後は裏表紙をみせたあと、表紙とつながる景色をみせてあげてください。この、絵がつながってる! っていうのが子どもたちは大好きですからね。

秋にぴったりの絵本ですが、他の季節にも、夜に眠る前のおやすみなさいの絵本にもいいですし、お月さまのきれいな空を眺めつつ、ご家庭でお話しながらページをめくるのも楽しいですね。言葉の響きと景色が美いとても心地の良い絵本です。大人もほっとひと息できますよ。

●今回読んだ本

『トコトコバス』
作:高橋和枝 講談社

●プラス1冊

『とことことこ』
作:やまだ だり

本とあそぼう 全国訪問おはなし隊

たくさんの絵本を積んだ2台のキャラバンカーで各都道府県を巡回し、幼稚園、保育所、小学校や図書館、書店などを訪問している、「本とあそぼう 全国訪問おはなし隊」。1999年7月に、講談社90周年記念事業として、スタートしました。 2007年には第55回菊池寛賞、2018年には、メセナ大賞にも選ばれました。 スタートして以来、通算2万2000回以上の訪問、190万人を超える参加者のみなさん、ありがとうございます。次はあなたの町でお会いできるかもしれませんね! https://ohanashitai.kodansha.co.jp/ X(旧Twitter):@ohanashitai55 Instagram:@kodanshaohanashitai

たくさんの絵本を積んだ2台のキャラバンカーで各都道府県を巡回し、幼稚園、保育所、小学校や図書館、書店などを訪問している、「本とあそぼう 全国訪問おはなし隊」。1999年7月に、講談社90周年記念事業として、スタートしました。 2007年には第55回菊池寛賞、2018年には、メセナ大賞にも選ばれました。 スタートして以来、通算2万2000回以上の訪問、190万人を超える参加者のみなさん、ありがとうございます。次はあなたの町でお会いできるかもしれませんね! https://ohanashitai.kodansha.co.jp/ X(旧Twitter):@ohanashitai55 Instagram:@kodanshaohanashitai