「虹はどうしてできるの?」子どもと一緒に虹を作って学んじゃおう!

気象予報士・増田雅昭さん「子どもに伝える お天気の不思議」#3

虹を見つけると、大人も子どもも嬉しい気持ちに。
写真:アフロ

雨上がりの空に浮かび上がるカラフルな虹。子どもと一緒に見つけたら、親もうれしくなってつい「見て見て!」「きれいだね〜」などとはしゃいでしまいますよね。

生活に密接しているけど、詳しいメカニズムは知らない人も多い「天気」。子どもからの素朴な疑問に答えられるよう、気象予報士の増田雅昭さんに教えてもらいます。

増田さんはTBSテレビ・ラジオ等で活躍中で、子ども向けのお天気出前授業や実験イベントなども行っているお天気の専門家。

第3回目は、虹が7色に見える理由や出現しやすいタイミング、おうちで虹を作って楽しむ方法を、気象予報士の増田雅昭さんに教えてもらいました。(全4回の3回目/#1#2#4を読む)

虹が見えるのはどんなとき?見える条件は?

虹は雨上がりに架かるイメージがありますが、いつでも見られるわけではありませんよね。そもそも、虹はどのようなときに出現するのでしょうか。

虹が出るためには、「太陽の光」と「雨粒」が必要です。

太陽の光は白っぽく感じますが、実は「赤・橙・黄・緑・青・藍・紫」の色が混ざったものです。そして、光には「水の中を通ると折れ曲がる」という性質があります。太陽の光が雨粒に当たって折れ曲がるとき、色によって曲がる角度が違うので7色に分かれます。

つまり、太陽の光が雨粒に当たって、7色に分かれて見えるのが虹なのです。

ですから虹を見るためには、太陽が自分の背面にあり、前方には雨粒があることが条件になります。よくたとえられるのは映画のスクリーン。雨がザーッと降っているのがスクリーンで、そこに太陽の光が当たって、跳ね返ってできた虹を見ている、という位置関係です。

ちなみに、この雨のスクリーンの雨粒が多く、自分との間の空気がきれいに澄んで、クリアに晴れていると、虹は濃くきれいに見えます。

太陽の光が水滴で反射すると、色によって曲がる角度が変わるので、7色に分かれて見える。
画像出典:『天気のしくみ』森田正光・森さやか・川上智裕(共立出版)

もうひとつ、虹が見える条件として「角度」があります。太陽の進む方向に対して、角度が42°になる場所に虹は現れます。夏の日中など、太陽の高度が50°以上のときに見ることはできません。

太陽の高度が50度以上だと虹は見えない。

この角度が崩れると虹は見えなくなるので、残念ながら、虹に近づいて根元にたどり着いたり、真下から虹を見上げたりすることはできないのです。

つまり虹が現れやすいタイミングや場所は…

ここまで解説した虹が見える条件をまとめると、こうなります。

①太陽の光があり
②空気中に雨粒があり
③太陽と反対方向の
④太陽の進む方向から42°の角度に見える

簡単に言えば、太陽の高度が低くなる朝や夕方、夕立や天気雨の後に、太陽と反対の方向に虹は現れやすいということです。

夕立のとき、太陽は西にあります。夕立を降らせる積乱雲はさほど大きくなく、たいていはすごい速さで西から東に動きます。

夕立が通り過ぎて自分のいる場所が晴れたとき、太陽を背にして雨雲が通り過ぎた先を見ると、そこが雨のスクリーンになっていて、虹が見える可能性があるのです。

通り雨が多い地域は虹が出やすい

ハワイのカウアイ島にかかる見事な虹。通り雨の多いハワイは虹の名所でもある。
写真:アフロ

他に虹が出やすいのは、通り雨が多い地域です。

有名なのはハワイ。周囲が海で、湿気を含んだ空気が山にぶつかって溜まり、雲ができます。そしてその雲がザーッと通り雨を降らせながら移動するので、しばしば虹が見られます。

日本で多いのは、秋から冬の初めの日本海側です。寒気が来ると日本海では雲ができます。その雲が北風に乗って日本海側に流れてきて、サーッと小雨を降らせてすぐ晴れると、虹が出るのです。

ただし寒すぎると、降るのが雨ではなく雪になってしまいます。雪は雨粒と違って光を反射させないので虹はできません。

親子で試してみよう!おうちで虹を作る方法

屋外で水遊びや水まきをしていると、偶然、小さな虹ができることがありますよね。でも「自分で作ろうとして水をまいても虹ができない」ということもあるでしょう。この小さな虹も、虹ができる条件を踏まえると、出現する可能性がぐーんとアップします。

まず大事な条件は、よく晴れていること。そして太陽を背にして立ったら、前に向かって水をまいてみてください。

できるだけ水が細かい粒になるように、霧吹きを使うか、シャワータイプの口にするか、ホースの先を指でつぶしましょう。太陽が高い位置にあると、光が進む方向に対して42°を作りにくいので、午前中の早めの時間か、午後の太陽が少し傾いた時間がおすすめです。

虹ができないときは、水を出す高さを調整してみて。太陽が高めのときは、足元付近の低い位置に虹が現れるでしょう。

虹には夏っぽいイメージがあるかもしれませんが、一年中でつくることができます。ぜひお子さんと一緒に虹探しや小さな虹づくりを楽しんでみてくださいね。

取材・文/片桐はな

ますだ まさあき

増田 雅昭

気象予報士

気象予報士。株式会社ウェザーマップ所属。TBSテレビやラジオ等に気象キャスターとして出演中。企業へのオーダーメイド予報や気象相談、アドバイザーも担当。災害から身を守る気象情報の使い方についての講演や、子ども向けのお天気出前授業・実験イベントなども行っている。通称「天気が好きすぎる気象予報士」。 【主な著書】 『TEN-DOKU クイズで読み解く天気図』(ベレ出版)

気象予報士。株式会社ウェザーマップ所属。TBSテレビやラジオ等に気象キャスターとして出演中。企業へのオーダーメイド予報や気象相談、アドバイザーも担当。災害から身を守る気象情報の使い方についての講演や、子ども向けのお天気出前授業・実験イベントなども行っている。通称「天気が好きすぎる気象予報士」。 【主な著書】 『TEN-DOKU クイズで読み解く天気図』(ベレ出版)