2021.06.17

苦手と感じた「ならいごと」は伸びない そのワケと「やめどき」

どんなならいごとを選ぶべき? 見極め方と継続のコツ 〔細田千尋先生インタビュー 第3回〕

脳科学の分野で教育や学習法について研究している細田千尋先生に、子どものならいごとについて科学的な視点から解説してもらう連載第3回目。第1回では「幼児期の脳の発達とならいごと」について、第2回は「ならいごとのはじめる時期」についてお話しいただきました。第3回は「ならいごとのえらび方と継続させるためのコツ」について。ならいごと選びは、子どもが興味を示したものをやればいいのか、親がいろいろな面の能力を伸ばそうと考えて選ぶべきなのか。どうしたらいいのでしょうか?

医学博士・認知科学者・脳科学者の細田千尋先生。  撮影:森﨑一寿美

子どものメタ認知は未発達……だから意外なところに可能性が眠っている?

自分を客観的に認知することを『メタ認知』と言います。大人でも自分のことが意外と分かっていなかったりしますよね。特に子どもは『メタ認知』が発達していないので、本人が興味を持ったことはもちろん、それ以外にも親がやらせてみたいことや、この子には合うんじゃないかと思うことを、多少嫌がってもやらせると意外と上手くいくことがあるんですよ。

そのときに大切なのは、“自分はこれができない”とか“下手なんだ”という思い込みを作らせないこと。例えば、高齢者に記憶力のテストをするとき、「これは記憶のテストです」と先に伝えるとできないのですが、「これは心理学のテストです」と言えば普通にできてしまいます。このように、苦手意識を持つだけで脳にはマイナスに作用することがあるのです。

そうは言っても苦しい時期というのは必ず誰にでもやってきます。親は苦しい時期に苦手意識を持たずに続けさせ、そして一緒に乗り越えてあげることが大切なのだと思います。とは言っても、私もそうですが、そこが難しかったりするんですけどね(笑)

物で釣ってやらせるのはNG! 本人のやる気を引き出そう

では幼児期の子どもが壁にぶつかったり飽きてしまったときはどうすればいいのかについてお話ししましょう。

それは幼児だから難しい部分と、幼児だからこそ上手くいく部分があります。例えば、小学生高学年や中学生になり、自分の意識が出てくると、自らサボることもできてしまいますが、幼児の場合はお教室に入れられると自分ではやめられないですからね。しかし、行くのが嫌だからといって、“物で釣ってやらせる”というのは絶対にやめてください。

なぜかというと、“アンダーマイニング効果”と言って、得られる物の価値と、続けることの価値が逆転し、「もういらないから、やらない」となってしまうからです。大切なのは、本人がやりたいと思う方向へ持って行くこと。そのために、幼児期はならいごとに対しては“ほめ方”を気をつけてあげてほしいと思います。

「すごいね!」のような漠然とした褒め方ではなく、「〇〇ができるようになって、すごいね!」 などのように、細かく具体的にほめることで、モチベーションがコントロールできます。また、できないところを責めるのではなく、どうしたらできるようになるのかを一緒に考えてあげると、親もできるようになるまでの過程を確認できますし、その過程をほめてあげれば、本人には苦しかったことの解になります。

たとえ本人がやりたいと思っていたことや最初楽しかったことでも、嫌になる時期は必ずあるはずです。そのときに責めないで、一緒に考えて、乗り越えて、そのプロセスをほめてあげる。そうすることで幼児でも、自分が必要な行動をきちんと遂行できると認知する自己効力感や達成感が生まれ、「次もがんばってみよう!」となるのです。

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