お金を欲しがる子 難しい「お金」の話を絵本で解決できるって本当⁉

【 絵本でお悩み解決!?】 テーマ03「お金を欲しがる…どう伝えたらいい?」

げんき編集部

500冊以上の絵本作りに参加している編集者・装丁家の小野明がDr.オゥノーに扮して、子育てにまつわるお悩みを「絵本」で解決!? 聞き手のポン子と掛け合いながら、様々な絵本を紹介します。 イラスト/tupera tupera

【研究テーマ 03】子どもがお金を欲しがる。どう伝えたらいい?

お悩み相談者 マネエさん
【Dr.オゥノー】
またの名を小野明。これまでに2万冊以上の絵本をよんできたツワモノ。絵本で読者のお悩みをちょこっと解決? すべく研究している。

【ポン子】
Dr.オゥノーの助手。とにかくポンコツ。ドクターの肩たたきをして、日銭をかせいでいる。ひとたたき10円の報酬にはちょっと不満。
ポン子(以下:ポ):「最近娘がお金に興味を持ちだしました。お金について教えられる絵本って、ないですか?」 ドクター、こんなお悩みが来ていますよ。 うんうん、わかるなあ! お金、欲しいですよねえ。

Dr.オゥノー(以下:D):ポン子くんは、どうしてそんなにお金が欲しいの?

:だって、たくさん欲しい物が手に入るじゃないですか。

D:よし、それならまずは、こんな絵本を紹介しよう!

切実な「ほしい」の気持ちがぐっ…とくる『へろへろおじさん』

作:佐々木マキ 福音館書店
:アイスクリーム1つだけを、どうしても買いたいおじさん……。なんか、お金の使い方が切実です……。

D:​お金に余裕が出てくれば、いろんな物が買える。それは嬉しいことに違いないけど、これだけはどうしても買いたいっていう、その気持ちを大事にしたいよねえ。

:うう、たしかに……。大切なのはお金そのものでなく、かけがえがない、必要だから欲しい、という気持ちですね。

D:もちろんお金は絶対に必要なものだから、興味を持つのはいいと思うよ。

:はい。そもそも、お金ってなんなんでしょう?

D:お金っていうのは、何かと交換することに価値がある。でも、たとえばこの絵本のように、必ずしもお金を使わなくても、とっても幸せな形の交換もあるよね。

お手伝いを通して欲しいものの価値を知る『ペレのあたらしいふく』

作・絵:エルサ・ベスコフ 訳:小野寺百合子 福音館書店
すごい、お手伝いを対価に、一から服をつくってますね!

D:羊の毛を紡いでもらうかわりに、牛の番をする。こうやって、ただお小遣いで買うのではなく、対価としていろいろなことをしながら、物ができるまでのプロセスを体験してみるのもいいかもしれないねえ。

:お金の話をする前に、欲しい物がどうやってつくられているのか、お子さんとお話するきっかけにできそうですね。

D:うんうん。物の価値を知れば、お金の重みも想像できるよね。あとはこの絵本も、おすすめだよ。安くて手軽に買える一本の鉛筆だって、その背後には、とてつもなくいろんな人の手がある。

たくさんの思いを手のひらにのせて…『いっぽんの鉛筆のむこうに』

文:谷川俊太郎 写真:坂井信彦ほか 絵:堀内誠一 福音館書店
:芯の原料をとる人から、それを売る人まで。手のひらにのるほどの小さな文具だけど、数えきれないほど大勢の人が力を合わせてつくっているんですね。……そう考えると、一本一本がすごく大事に思えます。
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