子どもの甘えにしても、周囲の人に「甘やかしすぎなんじゃない?」といわれれば不安になるし、疲れや忙しさのために、つい突き放してしまって後悔したり……。
なにを基準にすればいいのかがわからなくなってしまうこともあるでしょう。
「子どもの甘えにはどこまで応えたらいいの?」(3歳・女の子)
受け入れることと、制限すること
実際の生活のなかでは、ママパパの事情がありますから、いつも理想的な対応ができないのは当たり前です。
でも、このルールを頭に置いて、少しでも心がけていくことができれば、子育てはうまくいくはずです。
子どもの甘えに対応する基本のルール
まず、幼児期の子どもの「甘え」は、心のエネルギー補給ということを頭に置いておきましょう。
不安なときや怖いときにママパパに抱きしめてもらって安心できるから、またママパパから離れて遊びに向かえるのです。
とくに親子の絆(信頼関係)が形成されていく時期にあたる、1~3歳では、子どもが求めてきたときは、むしろ積極的に好意的な応対をしてあげるというのが基本です。
もちろん甘えに応じられないことがあってもいいのです。
ただ、短時間だけでもやさしい気持ちを子どもに向けてあげましょう。
たとえば、料理中に「だっこ~」と、まとわりついてきたときには、「ちょっとお味見する?」などといって、口に食べ物を入れてあげ、「待っててね。すぐにできるよ。甘いかな、辛いかな、おいしいかな~」などと楽しい言葉で関わってあげる方法もありますね。
それでも泣いたとしたら、それもしかたありません。
実際に泣いてもいいのです。
子どもは泣くのが仕事ですが、それと情緒が不安定というのは別問題。
穏やかな精神状態の子に育っていく過程で泣くことだってあるのですから。
◆基本のルール2 子どもの欲求を制限するのも親の役目
また、それとは別の軸として、親としての威厳があります。
たとえば好きなお菓子があるとします。
子どもは「食べたい、食べたい」という欲求しかなくて、適量も、食べる適切な時間もわかりません。
そういうときでも「食べたいよね~」と一度は気持ちを受け止めてあげたいですね。
そのうえで、「食べすぎると、おなかが痛くなって晩ごはんが食べられなくなるから1個だけね」などと、理由を話してコントロールしていくのは親の役目です。
1~3歳で制限が必要なのは、生活リズムを乱して健康に影響が出てしまうこと、人に迷惑をかける結果になることくらいです。
そういうときは、子どものいいなりにならずに毅然とした態度をとりましょう。
文/宇野智子 写真/Adobe Stock
げんき編集部
幼児雑誌「げんき」「NHKのおかあさんといっしょ」「いないいないばあっ!」と、幼児向けの絵本を刊行している講談社げんき編集部のサイトです。1・2・3歳のお子さんがいるパパ・ママを中心に、おもしろくて役に立つ子育てや絵本の情報が満載! Instagram : genki_magazine Twitter : @kodanshagenki LINE : @genki
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渡辺 弥生
大阪府生まれ。1983年筑波大学卒業。同大学大学院博士課程心理学研究科で学んだ後、筑波大学、静岡大学、途中ハーバード大学客員研究員を経て、法政大学文学部心理学科教授。同大学大学院ライフスキル教育研究所所長兼務。教育学博士。専門は、発達心理学、発達臨床心理学。主な著書に『まんがでわかる発達心理学』、『11歳の身の上相談』(講談社)、『親子のためのソーシャルスキル』(サイエンス社)など。
大阪府生まれ。1983年筑波大学卒業。同大学大学院博士課程心理学研究科で学んだ後、筑波大学、静岡大学、途中ハーバード大学客員研究員を経て、法政大学文学部心理学科教授。同大学大学院ライフスキル教育研究所所長兼務。教育学博士。専門は、発達心理学、発達臨床心理学。主な著書に『まんがでわかる発達心理学』、『11歳の身の上相談』(講談社)、『親子のためのソーシャルスキル』(サイエンス社)など。