未就学児~小学生【探索絵本や迷路】が大好きな理由 子どもといっしょに大人も読もう! 「見えていなかったもの」が見えてくる効果〔出版ジャーナリスト〕が解説

出版ジャーナリスト・飯田一史のこの本おススメ! 第4回 「迷路・探索絵本」

「乗り物」×「迷路」組み合わせ『乗り物の迷路』

『乗り物の迷路』
著:香川元太郎(PHP出版社)
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子ども、とくに男子は乗り物、なかでも電車やさまざまなクルマが好きなことが多いですよね。それと迷路を合体させています。これでウケないわけがありません。

さらにこのシリーズでは、同じ見開きの迷路の解き方(ルート)が複数あり、隠し絵やクイズまであります。何回も楽しめるようにできているわけです。

本全体をつらぬくストーリーもあります。

子どもはだんだん年齢を重ねていくと、自分で手を動かしたり頭を使ったりするよりも、フィクションのなかに没頭するのを好むようになっていきます。

中高生以上になると、異世界ファンタジーのマンガや小説も人気になります。

一方で、小学生までは、現実世界とつながりがない、フィクション然としたファンタジー作品はなかなか入っていきづらい、という子が少なくありません。

小さいうちは自分以外のさまざまなキャラクターの心理を想像するのが脳の発達段階的になかなかむずかしい。第三者的に物語を読み進めるのはまだあまり得意ではありません。

ですから迷路を解くなどして自分でお話をうごかしている、体験している感覚が得られるほうが、本の世界と自分が今いる世界がつながっているような気持ちになれる。そちらのほうが、入っていきやすい。こういうことだと思います。

もし仮に、名作と呼ばれるような児童文学に見向きもせずに迷路絵本が好きだったとしても、そこはやさしく見守ってあげてください。

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