子どもの「悪い姿勢3パターン」 理学療法士が教える簡単セルフチェック

理学療法士・武田純一先生「親子の姿勢教室」#2〜姿勢のセルフチェック〜

理学療法士:武田 純一

力を入れずにラクしている3つの悪い姿勢

「1つめは、『背中ぐちゃ』です。背中が丸まり、壁に頭がついていません。肩は丸まって前に出て、いわゆる巻き肩になり、頭も前に大きく出て顎(あご)も突き出した状態です。この姿勢が、一般的に猫背と言われるもの。姿勢が悪い子どもの7〜8割が、この状態と言えます。

頭が壁につかず、顎(あご)が突き出た状態。俗に言う猫背が「背中ぐちゃ」状態。
写真:遠藤るりこ

2つめの悪い姿勢は、『反り腰』。腰が大きく反り返り、壁と腰の間がこぶしひとつ分くらい空いてしまっています。腰を反らせたまま姿勢を固めてしまっているので、これも良い姿勢とは言えません。

新体操やバレエなどを習っている子どもに多く、身体の柔らかい子によく見られます」(武田先生)

胸を張ることで腰が反り返り、壁と腰の間にこぶし一個分以上の隙間ができるのが「反り腰」。
写真:遠藤るりこ

悪い姿勢の3つめは、「かたよった姿勢」。これは、前から見て、左右どちらかに身体が歪んでいる状態です。

「人間はみんな少なからず左右差があるので、極端でなければ問題はないでしょう。でも、片方の肩が大きく下がっていたり、頭が傾いていたりするのはよくありません。

歪んでいるかなと感じたら、首を左右に回してみてください。どちらか一方に回しづらい、回る角度に明らかな左右差があると感じれば、可動域に差があるので問題です」(武田先生)

左右どちらかに肩や頭が傾いているのが「かたよった姿勢」。
写真:遠藤るりこ

これらの3パターンどれもが、身体のどこか一箇所に負担を強いている状態なのだという。

「悪い姿勢は、力を入れずにその姿勢を保持することができる、いわゆるラクな姿勢。ラクだからずっと続けてしまうんですよね。これらの悪い姿勢は、もちろん座ったときにも影響してきます」(武田先生)

次に、座った姿勢についても見ていきましょう。

座位の理想は ちょうど真ん中の姿勢

「座位で説明しますね。みなさん、椅子に座った状態で、ぎゅっと前面に身体を丸めてみてください。次に、極限まで後ろに腰を反らせてみて。

この反復を何度かしてみて、そのちょうど中間地点、可動域の真ん中が、良い座り姿勢と言われるものです」(武田先生)

この真ん中の良い姿勢をしているときは、腹筋と背筋がバランス良く使われている状態だといいます。ただ、この良い姿勢を普段から取れている子どもは、とても少ないそうです。

「良い姿勢は、身体全体を使う。腹筋も背筋も疲れるので、休んでしまおうと、おのずとラクな姿勢に動いていってしまうのです。

でも、それで全然いいんです。一日中100点満点のパーフェクトな姿勢でいるのは難しいし、その必要はない。もっとも大事なのは、良い姿勢をとり続けることよりも、『姿勢が崩れたときに自分で直せること』です」(武田先生)

「背すじを伸ばし胸を張れ」はNG

そもそも、悪い姿勢になってしまう原因はどこにあるのでしょうか。

「背中ぐちゃ」や「反り腰」の場合、見た目で顕著(けんちょ)になるのが、背中の湾曲です。そのため親たちは、「背すじを伸ばして座りなさい」とか「胸を張ってシャンとして」などと、注意をしがち。でも、この声かけは間違っていると武田先生は言います。

「注意をされて一時的に背中を伸ばしただけでは、すぐに元に戻ってしまいます。なぜなら、問題は背中ではないからです。

悪い姿勢を子どもたちがとり続けてしまう原因は、『骨盤』の位置にあります。骨盤が後傾していると『背中ぐちゃ』で、前傾していると『反り腰』。いずれも、骨盤を起因として身体全体がバランスを崩してしまっているのです。だから、意識すべきは背中や胸ではなく、骨盤なのです」(武田先生)

姿勢のポイントが、じつは骨盤にあっただなんて!

「骨盤が正しい位置にいれば、腹筋と背筋がバランス良く使え、それに準じて身体全体のバランスが安定します。良い姿勢となる可動域の真ん中(中間地点)にあるとき、骨盤は『立った』状態にあります」(武田先生)

正しい座り姿勢を保持するコツは、ずばり「骨盤を立たせること」!
でも、子どもに「骨盤を立たせなさい」なんて言ったって、なかなか伝わらないし、親だっていまいちわからない……。そこで、親子姿勢教室では、骨盤の模型やイラストを子どもたちに見せ、骨盤について知ってもらうことからはじめます。

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