「森のムッレ教室」温度・香り・色のゲームを親子で楽しむ!
北欧の幼児自然教育から学ぼう#4「親子で楽しむ自然遊び」
2021.09.15
自然のなかで遊びながら、子どもの好奇心を育てる「森のムッレ教室」の考え方は、家族で外遊びをするときにも取り入れることができます。特別な知識や経験、道具などは必要なく、誰にでもすぐに実践可能です。
第4回は、「森のムッレ教室」のエッセンスを取り入れながら、身近な自然のなかで親子が一緒に楽しめる遊び方とそのコツについて、北欧の幼児自然教育の専門家である高見幸子さんにお聞きしました。(全4回の4回目/#1、#2、#3を読む)
都会でも大丈夫! どこにでも「子どもが遊べる自然」はある
子どもと一緒に遊べる「自然」は、意外と身近なところにある、と高見さんは語ります。
「『自然で遊ぶ』と聞くと、広大な草原やうっそうとした森など、どこか遠くの大自然へ出かけなくてはいけない……と思うかもしれませんが、そんな必要はありません。
『森のムッレ教室』では、『身近な自然』で遊び、体験を重ねることこそが、子どもの好奇心や自然感覚を育むと考えています。
田んぼや近所の雑木林はもちろんですが、街のなかにある公園や家の庭でも大丈夫。私たちがその存在に気がついていないだけで、都市部にも『小さな自然』はたくさんあります。
少しでも草が生えていれば、木が1本でもあれば、自然と触れ合い、その循環を感じることはできるんです。
行き慣れた公園で『面白いものなんて何もない』と思っても、遊び方の工夫次第で、とても楽しい場所にすることができますよ」(高見さん)
親子でできる! 五感をフル活用した自然ゲーム
では、具体的にどんな遊びがあるのでしょうか。
「とくに手軽にできるものに、自然の感触、匂い、色に関連したゲームがあります。出かけた場所で『3つの温度差』、『3つの香り』、『4つの異なる色』をそれぞれ見つける、というものです」(高見さん)
「『3つの温度差』を探すためには、植物や石や水など、いろいろなものに触ってみる必要があります。
実際に手で感触を確かめると、木の枝や葉っぱはひんやりとしていて気持ちよかったり、大きな石はじんわり温かかったり、見ているだけではわからない、『意外な気づき』があるもの。子どもはうれしくなって、次から次に目に入ったものを触っていきます。
また、雨上がりは葉っぱの上に雫ができているなど、“そのとき”しか見つからないものもあり、『また来たい』という気持ちにつながっていきます。
『3つの香りを探す』ゲームでは、似たような色の花でも、甘い香りの花もあればツンと鼻を刺すような強い香り、あまり匂いがないものもあり、その違いや多様性に目を向けるきっかけになります。
また、匂いを探しながら知らない草花に出合うと、『これは何ていう名前だろう』と興味が広がります。帰宅後に一緒に調べ、深めていくこともできますね。
もちろん、草や土、葉っぱにも、それぞれ独特の匂いがあることに気がつくでしょう。どんな匂いなのか、言葉にしてみるのも楽しみのひとつです」(高見さん)
「『4つの異なる色』を探すゲームは、『色ビンゴ』として遊ぶと盛り上がります。
あらかじめ、画用紙などの紙にボックスを書き、そこに色えんぴつなどで好きな色を塗ったものを用意していきます。そして、自然のなかで、同じ色ものを見つけます。
4つで物足りなければ、ボックスの数を9つにしてもいいでしょう。色を探すなかで、『みどり』や『茶色』しかないと思っていた場所にも実は多くの色があり、多種多様な植物や生きものが暮らしていることに気がつきます。
こうしたゲームは、どれも身近な場所でとても簡単にできますが、五感を研ぎ澄ませて自然と向き合うので、普段は気がつかない『発見』があります。
この葉っぱは裏がベタベタしている、こんなところにたくさん木の枝が落ちていたなど、子どもにとってはどれも新鮮なことばかり。そして、そこからまた新しい遊びが始まります。
ベタベタしている葉っぱをたくさん重ねてみたり、木の枝を集めて人形を作ったり。時にはルーペを持参して、観察してみるのも良いかもしれません。子どもはきっかけさえあれば、どんどん自分で遊びを作り出していけるのです」(高見さん)
「今回紹介した遊びは、『ムッレチャレンジ30』というプロジェクトでも紹介されています。
これは、昨年コロナ禍で外出自粛が続いた際に、スウェーデンの野外生活推進協会が、家にこもりがちな親子のために実施したものです。
家族単位で毎日できる、身近な自然での過ごし方のアイディアがまとめられています。日本版のWEBサイトもありますので、参考にしてみてください」(高見さん)