

子どもと一緒に美術館を楽しみたい──そう思う親御さんは多いのではないでしょうか。でも、「静かに見ていられるかな?」「途中で飽きちゃうかも?」という不安から、子連れで美術館へ行くことにハードルを感じている人もいるかもしれません。
そこで今回は、「Museum Start あいうえの」で、すべての子どものミュージアムデビューを応援する活動を行っている小牟田悠介さん(以下、小牟田さん)に、子連れでアート鑑賞を楽しむためのヒントやコツをうかがいました。
実際に子育て中の私が、気になることをとことん取材。私のように、「親としてNG行動を取っていないか不安」と感じている方にこそ知ってほしい情報が盛りだくさんでした。
大切なのは、5つのポイントをしっかり心に留めること。私自身、「あ、それ、ついやってしまってる……」とドキッとする内容がたくさんありました。
この夏、知らず知らずのうちに凝り固まっていた考え方を少しだけアップデートして、子どもと一緒にアート鑑賞を楽しんでみませんか?
〈今回お話をうかがった小牟田さん〉
「とびらプロジェクト/Museum Start あいうえの」のマネジャーであり、東京藝術大学の特任准教授。アーティストとしても活動。未就学児を育てるお父さんとしての顔も持ち、保護者としての気持ちにも寄り添いながらお話ししてくれました。
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目次
出かける前のひと工夫が重要
ポイント①突然連れていかない
「美術館に着いてから“どう楽しもうか”と考えても、少し遅いんです」と小牟田さん。大切なのは、事前に“いっしょに行く気持ち”を作っておくこと。言い換えれば、親子で合意形成をしておくことだそう。
「大人だって、いきなり“今から行こう”と言われたら、“え、そんな気分じゃないんだけど……”と思うことがありますよね。子どもも同じで、突然連れていかれても気が乗らないのは当然。さまざまな刺激を受け取るためにも、心の準備を整えることが重要です」その準備のひとつが、“行き先を一緒に決めること”だといいます。
「たとえばウェブサイトを見ながら、“今度ここに行ってみたいんだけど、一緒に行かない?”と子どもに聞いてみる。すると、“いいね!”と答えるかもしれないし、“いやだ”とか“こっちに行きたい”と言うかもしれません。そこで“なんで?”と理由を聞き、子どもの希望に耳を傾けてみてください」
子どもが自分で選んだ場所であれば、行きたい気持ちはもう生まれているといいます。気持ちができていれば、当日は朝から「よし、行こう!」と前向きに動けるのもよくわかりますね。
もし突然行くことになった場合は、移動中の電車で美術館の話をするだけでも効果的だそう。「それだけで、“いっしょに楽しむ準備”ができるんです」と小牟田さんはいいます。