勉強したのにテストの点がとれなかったら？　【今日の禅語】大愚元勝・福厳寺住職

本記事は現在発売中の書籍『１日３分でしなやかな心が育つ　禅のことば』の一部を抜粋、編集したものです。

「放下」は捨てる、「著」は意味を強めることばです。

これは唐の時代にいたお坊さん・趙州（じょうしゅう）の口ぐせとされています。

趙州は
「いくら修行しても悟りの境地（きょうち）にたどりつけません。どうしたらいいでしょうか」
と相談してきたお坊さんに
「放下著」
と答えます。

でも
「私は修行で悟りの境地にたどりつけました」
と報告してきたお坊さんにも
「放下著」
というのです。

なぜでしょうか。

「なかなか悟れない」
と悩んでいる人も、
「自分は悟れた」
と得意げな人も、どちらも「悟り」にとらわれているところは同じです。

趙州がいいたかったのは、そういう「悟りへのこだわり」をまずは捨てなさい、ということだったのです。

私たちも
「勉強したのにテストの点が上がらない」
と悩んだり、
「テストで１００点をとれた」
と自慢してしまったりします。

どちらも
「テストの点数にとらわれている」
というところで同じです。

もちろんテストの点数は大事ですが、そればかり気にして、ほかの人と比べたり、得意がったりせず、ものごとへの理解が深まっていくことが大切だと、このことばは教えてくれているのです。