小学生の症例付き 「子どもが漢方薬をのんでくれない……」専門医が教える対処法

子どもに漢方薬を飲ませるときのアイデア 親子のための漢方医学レッスン #3

子どもが顆粒の漢方薬の服用を嫌がった場合、さまざまにアレンジをして飲むことが可能です。 写真:アフロ

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漢方医学で用いられている漢方薬は、大人でも口に合わず、飲むのに一苦労する場合があります。苦味や辛味といった刺激に敏感な子どもはなおさら、飲むのを嫌がることがあるでしょう。

小児科専門医であり、漢方医学にも通じている草鹿砥宗隆(くさかどむねたか)先生は、西洋医学と漢方医学の両視点から診療にあたっている医師です。

漢方薬に関する個別の相談やアドバイスも日々、行っています。子どもに漢方薬を飲ませるときのとっておきのワザや、漢方薬の効果を最大限に引き出す方法などを紹介します(全3回の3回目、#1#2を読む)。

子どもに漢方薬を飲ませるときのアイデア

処方された漢方薬でも顆粒タイプのエキス製剤なら基本的には水、あるいはお湯(白湯)で服用します。子どもに飲ませるのなら、薬をお湯で溶いてから飲む温服(おんぷく)という方法もいいですし、服薬ゼリーを使うのも手でしょう。

とはいえ、漢方薬の独特な味や剤形を我慢できる子どもなら前述の方法での飲み方でも構いませんが、そう簡単に服用してくれないのが子どもです。

子どもに漢方薬を飲ませる場合のアイデアや、やってはならないことにはどんなことがあるでしょうか。

漢方薬と一緒に飲まないように心がけるもの

炭酸飲料:おすすめできません
牛乳:薬の吸収が若干悪くなるので控えたほうが無難

これ以外は好きな水分と合わせてOK

「炭酸飲料で内服すると口の中に不快感が充満するでしょうし、ゲップをしてせっかくの漢方薬を吐くことがあります。また、牛乳は薬の吸収が若干悪くなるのでおすすめできません。

この2つの水分以外なら、基本的に何と合わせても大丈夫です。これは子どもも大人も同じ対応です。

例えば、漢方薬の味をマスクするのであれば、ココアがおすすめです。抗生剤などの西洋医学の薬の味をごまかすのにもココアが推奨されることが多いです。

温かく内服してほしいときには、味噌汁やスープと一緒に内服することもよく提案します。お気づきとは思いますが、炭酸飲料での内服でなければ、あまり気にしなくても大丈夫です。

漢方薬はまずいといって敬遠されることがありますが、自分にとって有益なものと感じられるものは、子どもでも自分で飲むようになります。親御さんはお子さんの好みを踏まえてアレンジしてあげてください」(草鹿砥先生)

草鹿砥先生は「牛乳は避けたほうが無難」とアドバイスしますが、どうしても内服してほしい、体の中に薬を入れてほしいという場合に限り、牛乳やバニラアイスなどの乳製品を使用することを許可するとのこと。子どもが好きなものに混ぜて薬を与えるのは許容範囲だといいます。

処方する医師は症状の改善を期待して薬を出します。そのため、内服の方法に関しては寛容であることも多いようです。また少しでも疑問に思ったら、内服の仕方も質問するといいと草鹿砥先生は話してくれました。

さらに、「漢方薬に慣れたら、漢方薬そのものの香りと味を直接感じながら内服するとより効果的ですよ」ともいいます。

薬を飲ませ忘れたらどうすればいい?

「基本的に飲ませ忘れた場合は、そのままスキップしてください。ただし、飲ませなかったときの子どもの様子はチェックし、次の診療時に医師に伝えてください。

例えばおなかを痛くして漢方薬を飲ませていた場合。飲ませ忘れたときの腹部症状がどうだったか、変化がなかったか、はたまた再び悪化したのか教えて欲しいのです。

これは薬に効果があるのかどうかの判断材料にもなります。服用時とそれ以外のときの症状の差が次の対応を考えるヒントにもなります。

また、内服方法や症状に応じて薬を飲む頓服(とんぷく)のタイミングなどについては、処方医が必ず指示を与えてくれます。それは、薬を内服するタイミングにはそれぞれ理由があるからです。

例えば食後の腹痛に対して処方された漢方薬は、大体の場合、食前か食中内服の指示が出ます。これを食後に内服しては腹痛発現予防効果が期待できません。

さらに内服することで興奮することが予想される一部の漢方薬の場合は、夜の内服をさせないように指導することも度々あります。

漢方薬が処方されたときは、医師の説明をよく聞いて、可能な限り処方箋どおりに内服してみてください。

もし指示どおりの内服ができない場合、あるいはできなかった場合は、必ず担当医に伝えてください。医師は親御さんと一緒にタッグを組んで子どもの症状に立ち向かっているのですから、治療に対して中途半端はいけません」(草鹿砥先生)

「薬の飲み方には意味がある」と先生はいいますが、服用するときの水/お湯の指定もそのひとつです。冷えに対して、体を温める漢方薬を内服していても、冷水で薬を飲んだり、日常生活の中で冷飲食などをしていれば漢方薬の効果は得られません。

漢方薬の保管場所や消費期限とは?

保管に関しては西洋医学の薬と同じ考えです。冷暗所が望ましいでしょう。

また、顆粒タイプの薬は湿気ると固まってしまうので、薬箱に乾燥剤を2~3個入れて保管するのがベターです。梅雨や夏場は高温多湿の状態になるので、湿気には特に注意しましょう。

冷蔵庫で保管する方がいますが、実は湿気やすいので避けたほうが無難です。

消費期限に関しては、半年は服用可能でしょう。とはいえ、その前に湿気って固まったものは服用NGですし、前と味が変わっていてもNGです。漢方薬がサラサラしていればおおよそOKといえます。

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