
子どもの【耳の病気】話し声が大きいは要注意! 耳が聞こえていない可能性アリ 〔耳鼻咽喉科専門医が見分け方を解説〕
癖からわかる 子どもの耳・鼻・のどの病気 #2
2025.06.28

【こんな耳の症状に注意 ②】話し声が大きい場合に考えられる病気
声の大きさは、自分が聞いて心地よい(聞こえる)大きさです。シニアで耳が遠くなった方をイメージするとわかるように、人は聞こえが悪くなると声が大きくなりますが、その傾向は子どもも一緒です。
話し声が大きく、何度注意しても声の音量調節ができない、忘れ物が多い、行動がワンテンポ遅れる、聞き返しや聞き間違いが多いといった場合は、主に滲出性(しんしゅつせい)中耳炎を疑ってもいいでしょう。
話し声が大きい以外に見られる、子どもの様子
授業中にボーッとしていることが多い、忘れ物が多い、行動がワンテンポ遅れる、聞き返しや聞き間違いが多い、うしろから呼びかけても気づかない、テレビの音が大きい、小さな声で話すと相手の口元を見ているなど。
疑われる主な病気
滲出性中耳炎
対処法

滲出性中耳炎は、中耳(主に鼓室)に細胞から滲み出た液体が溜まることで起こり、聴力が低下する病気です。中耳炎の種類には急性や慢性もありますが、これらと滲出性中耳炎の違いは、両耳ともに同時に聞こえが悪くなる場合が多いことです。
お子さんは学校でも、家の中でも、日常生活で不自由しています。子どもの様子に違和感を感じたり、聞き返しや聞き間違いなどが多い、学校から学習態度のことでよく連絡がくる場合は、すぐに耳鼻咽喉科を受診しましょう。
滲出性中耳炎で聞こえが悪い子は、小学生でも学年で数人はいる
滲出性中耳炎で両耳の聞こえが悪い子どもは学年に1~2人はいると工藤先生は話しますが、片耳だけ聞こえにくい子を合わせるとさらに人数は増えるそう。
「低学年であれば、両耳・片耳問わず耳の聞こえが悪い子は、親御さんが考えているよりもいます。
両耳の聞こえが悪い子は、日常生活のいたるところで子どもがサインを出しているので気づける機会がありますが、片耳の場合は、もう片方の正常の耳で聞いて生活はできるので、気づかない場合もあります。
そのため、学校健診の結果も参考にしましょう。聴力検査は、就学前健診(学校入学前)、学校健診(特定の学年や保護者からの希望)で実施されています。
結果は親御さんに渡されますので、それ次第で耳鼻咽喉科を受診し、根気よく治療を受けることが大切です」(工藤先生)
親御さんが子どもを病院に連れていくのが遅くなれば、我が子はずっと聞こえが悪いまま生活しなければなりません。
それは勉強にも影響を与えるので、普段の子どもの様子だけでなく、学校健診にも注意を払いましょう。
次回は、癖からわかる鼻とのどの病気と対処法などを紹介します。
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◆工藤 典代(くどう ふみよ)
耳鼻咽喉科専門医、気管食道科専門医、医学博士
大阪大学医学部卒業後、千葉大学医学部耳鼻咽喉科に入局。千葉労災病院、国立千葉病院、千葉県がんセンターなどで研修する。その後、国保成東病院耳鼻咽喉科初代医長や千葉県こども病院初代部長、千葉県立衛生短期大学(教授)、千葉県立保健医療大学健康科学部(教授)を経て、現在はアリス耳鼻咽喉科の院長。千葉市立中学校や小学校の学校医も務めている。著書に『子どもがかかる耳・鼻・のどの病気百科』(少年写真新聞社)など。
【癖からわかる 子どもの耳・鼻・のどの病気】の連載は、全3回。
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※公開日までリンク無効
取材・文/梶原知恵