
「狭い家に子どもスペースを作りたい!」 部屋割・模様替えのNG “やってはいけない”を〔一級建築士が伝授〕
「家が狭い!」ファミリーを救う“間取り改造”計画【2/3】~部屋作りの見直し~
2025.05.15
一級建築士、模様替えアドバイザー:しかま のりこ
リフォーム&仮住まいは100万円から
一級建築士で模様替えアドバイザーのしかまのりこさんは、これまで約500家庭の部屋作りの悩み相談を受け、解決してきました。
「本当は住まいに対する願望はあれこれ持っていたものの、それが叶わず、あきらめてきたのでしょう。私のもとへ部屋作りの相談に来るママパパの多くは、相談当初は『子ども部屋を作ってあげたい』『リビング学習ができるようにリビングを整えたい』といった要望を1つか2つ挙げます。
ところが、相談を進めていく中で1つ希望を見つけると、徐々に気持ちの奥底に眠っていた理想の住まい像が呼び起こされ『本当はおしゃれな部屋にしたい』『いつも片付いた空間でいたい』『私も一人になれる空間がほしい』などなど、住まい全体を変えたくなるほどの大がかりなリクエストに変わっていく人が多いですね」(しかまさん・以下同)
住まい全体を変えるとなると、リフォームやリノベーションなど大がかりな工事が必要になります。同時に高額な費用もかかることは素人でも察しがつきます。
参考までに、しかまさんが教えてくれた費用目安は、間取りの変更や床・壁・天井の内装工事、水回り設備の交換、収納スペース増設、耐熱性能向上、耐震補強などなど全面リフォームで300万円~1000万円前後。収納改善や仕切りの変更、壁紙や床材の張り替え、水回りの部分的な交換など部分リフォームの目安は100万円~300万円です。
さらに、リフォームの間、別の賃貸物件に仮住まいする費用も入れればもっとかかります。工事不可能な賃貸物件に住んでいる場合も、部屋数を増やすために引っ越すとなると、同額の家賃で抑えても、敷金・礼金・仲介手数料・引っ越し代そのほかで100万円は見積もっておく必要があります。
はたしてこれだけお金をかけて、どれほど生活が改善されるのか? 将来的にもメリットがあるのか? 冷静に検討してほしいと、しかまさんは話します。
模様替えなら10万円でもOK!
「子どものパーソナルスペースが必要なのは、おもに思春期以降です。それは長い人生においてほんの一時期。大学生や社会人になったら巣立っていく可能性もありますし、必ずしも無理して一部屋を与える必要はないかと思います。
それよりもまだまだ教育費がかかる子育て世代は、予算を抑えながら、なるべく間仕切りや配置、収納の工夫でパーソナルスペースを作ることをおすすめします。
模様替えであれば、家具の買い替えをしなければ10万円以内で済みますし、家具の買い替えをしたとしても、50万円以内、高くても100万円以内では収まるでしょう」
家具や配置の固定観念にしばられない
実際、狭い家でも意外とパーソナルスペースは作れることが多いといいます。そのときに必要なのが、柔軟な発想です。
たとえば、「子ども部屋は1人1室」「リビングにはソファとテーブルとテレビを置く」「ダイニングにはダイニングテーブルと椅子を置く」といった固定観念を捨てることが、その一歩になります。
「狭い家の場合、ソファとダイニングの椅子の用途を兼ねた『ダイニングソファ』を置くことで、大きなソファを置かずに済みます。また、いっそダイニングテーブルを置かず、折り畳み式のちゃぶ台を置くのも一案です。
さらに、プロジェクターを使って壁に映像を投写すれば、テレビとテレビ台を置かずに済み、スペースができます」

上下のデッドスペースを収納に有効活用
もし家具の買い替えを検討しているなら、+αの機能がある家具を選ぶのもポイントです。
「場所を取りがちなダイニングテーブルは、テーブル下に書類や小物を入れるスペースを設けたものがおすすめ。リビング学習で散らかりがちなテーブルも、食卓として使うときはスッキリさせられます。
リビングをワークスペースにするなら、椅子はダイニングと兼用すると、椅子1脚分、スペースが生まれます」

また、壁上部のデッドスペースを生かし、天井までの壁面収納を作ることも、狭い部屋では一つの方法です。

