「探究実践」の達人が考えた「Feel度Walk」 30人に密着取材してわかった親子が夢中になる理由

【今こそ学力観のアップデートをするとき】親子で探究実践#2「Feel度Walkレポート」

「なんとなく気になる」を楽しむことから始まる

最後に、市川さんが参加した大人に向けてこんな話をして、締めくくりました。

「『なんとなくセンサー』をオンにして歩いてみると、いつもは気づかないことをいろいろと発見できますよね。今日みなさんが描いたものは、どれもとても素晴らしかったです! そして、それぞれが異なる視点でなんとなく気になるものを選んだのに、共通点があったり、なんとなくこの地域らしさが浮かびあがっていたりしています。それが『Feel度Walk』の不思議な魅力です。

発見を楽しんでいると、自然と人が集まってきます。  写真:川崎ちづる

『Feel度Walk』を続けると、街や地域という視点でいえば、発見がその魅力や特徴を掘り起こすのに役立ちますし、個人でいえば、『なんとなくセンサー』が強化されることで感度が上がって、いままでは見過ごしていたことに気づくようになります。

みなさん、今日体験して楽しかったですか? 楽しかったですよね(笑)。『Feel度Walk』って、別にみんなで集まらなくてもできるし、近所を歩くだけでも、通勤途中の道でもできちゃいます。私もこうしたイベント以外に、自分で歩いて気になったものをスケッチしているんですよ。みなさんもぜひ続けていただいて、私と『知図仲間』になりましょう!」(市川さん)

#1で市川さんは、「Feel度Walk」は探究学習の「ベース」だと話していました。しかし、実際に体験してみると、子どもたちも、そして大人も、「何かを学んでいる」という堅苦しい雰囲気は皆無です。

普段は素どおりする道端の植物も、じっくり観察すると意外なことが見つかります。  写真:川崎ちづる

単純にみんなで楽しい時間を共有しているだけなのに、気づいたら自分だけでなく、周りの人が発見したものについても興味が広がっている。そして、一緒に歩いた人と自然に仲良くなっている。取材していたライター自身も、心地いい時間の中で普段は押し込めている好奇心が解放されるような、不思議な感覚を味わいました。

第3回は、「Feel度Walk」の効果や探究とのつながりについて、改めて市川さんに解説してもらいます。

取材・文 川崎ちづる

市川 力(イチカワ チカラ)
一般社団法人みつかる+わかる代表理事/慶應義塾大学SFC研究所上席所員
2004年~2017年まで、東京コミュニティスクールの初代校長として、小学生を対象に探究力を育む学びを研究・実践。現在は、全国各地の学校に赴き探究学習の支援をするとともに、地域の多様な人たちがともに好奇心を発揮できるような、学ぶ場所づくりを行っている。主な著書は『探究する力』(知の探究社)、井庭崇編『クリエイティブ・ラーニング 創造社会の学びと教育』(慶應義塾大学出版会)、『ジェネレーター 学びと活動の生成』(井庭崇氏との共著/学事出版)

『【今こそ学力観のアップデートをするとき】親子で探究実践』の連載は全5回。
#1 Feel度Walkとは?を読む。
#3 Feel度Walkの効果を読む。
#4 学校にも広がるFeel度Walkを読む。
#5 問題解決に役立つFeel度Walkを読む。
※公開日まではリンク無効

54 件
かわさき ちづる

川崎 ちづる

Chizuru Kawasaki
ライター

ライター。東京都内で2人の子育て中(2014年生まれ、2019年生まれ)。環境や地域活性化関連の業務に長く携わり、その後ライターへ転身。経験を活かし、環境教育や各種オルタナティブ関連の記事などを執筆している。WEBコラムの他、環境系企業や教育機関などのPR記事も担当。

ライター。東京都内で2人の子育て中(2014年生まれ、2019年生まれ)。環境や地域活性化関連の業務に長く携わり、その後ライターへ転身。経験を活かし、環境教育や各種オルタナティブ関連の記事などを執筆している。WEBコラムの他、環境系企業や教育機関などのPR記事も担当。