ハロウィンに欠かせない魔女のすべてがわかる

これまでの2冊を見ておわかりの通り、どうやらハロウィンの主役は魔女のようです。ということで、彼女たちの知られざる日常をもっとも詳しく書いてある1冊をご紹介したいと思います。その名も『魔女図鑑 魔女になるための11のレッスン』(作:マルカム・バード、訳:岡部史)。

これであなたも魔女になれる? 魔女のファッションから、空飛ぶほうきや魔女のケーキの作り方まで。魔女のすべてを詳しく解説したユニークな1冊、『魔女図鑑 魔女になるための11のレッスン』(作:マルカム・バード、訳:岡部史/金の星社)。

出版されたのは1992年で、日本でも長く愛されています。図鑑ですから、はじめに目次がついています。「1章 魔女の家」「2章 魔女の台所」「3章 魔女の庭」……まずユニークなのが、目次の見開きにある注意書きです。

「<作者と出版社からのお願い>本書の内容は,熟練した魔女によって実用可能です。実験にともなう危険について,当方はいっさい責任をもちません。」

一体どんなことが書かれているのか、気になりますね。では、ちょっとのぞいてみましょう。

「魔女の台所」の章では、魔女たちがどんな料理を作って食べているのかがわかります。作り方も載っているのですが、ミミズのスープに毒きのこパイ……恐ろしいですね。とてもじゃないけれど作れません(笑)。

そして、魔女といえば、おまじない。おまじないなら、マネできるかなと思いきや……。

「雨ふらしの法 コップ1ぱいの妖精のなみだに,レインコートのボタンを入れて,かさのえで,よくかきまわし,長ぐつに流しこんで,おまじないをとなえます。」

やっぱりムリ! 妖精の涙なんて、準備できませんよねぇ。そう、ツッコミどころ満載の、とっても楽しい図鑑なのです。

ほかにも魔女のファッションやインテリア、美しさの秘訣など、いろいろ載っているのですが、魔女はハロウィンの主役! もちろん、魔女たちがハロウィンパーティでどんな遊びをしているのかも紹介されています。

「お菓子か,いたずらか」「かぼちゃさがし」といった、楽しそうな遊びもあるのですが、歌を歌いながらこうもりを手渡しする「こうもりわたし」、なめくじを輪投げの輪の代わりに投げる「なめくじ投げ」といった不気味なものも。さすが、本物の魔女の遊びはひと味違いますね。

魔女が持っていそうな表紙の装丁もすてきな1冊。魔女のことは、これでバッチリですよ!

抒情性豊かに綴られる巨大かぼちゃの1年

最後にご紹介するのは、かぼちゃの写真絵本『パンプキン』(写真・文:ケン・ロビンズ、訳:千葉茂樹)。表紙の、収穫された大きなかぼちゃの写真がとっても印象的です。

子ども向けノンフィクション作家、ケン・ロビンズによる写真絵本。ハロウィンに欠かせない、大きなパンプキンの1年を綴った『パンプキン』(写真・文:ケン・ロビンズ、訳:千葉茂樹/BL出版)。

ハロウィンに大活躍する大きなかぼちゃですが、物語は春から。種まきをして育っていく過程、かぼちゃの花の色や形、待ちに待った収穫のとき……日本ではなかなか見られない風景を、季節の変化とともにていねいに美しく映し出していきます。コンテストに出された450キロ超えの巨大パンプキンは圧巻です。

そして、もちろん、ハロウィンの様子も。人々は農場に出かけて好きなかぼちゃを選んで持ち帰り、かぼちゃのランタンを作ります。下書きをして、のこぎりかナイフで切る。いろいろな本に作り方は書いてありますが、やはり写真だと伝わりやすく、本場の作り方がよくわかりますね。

訳者の千葉茂樹さんは、実はたくさんの物語絵本を訳されている方。非常に詩的な表現を得意とされています。力強くもシンプルな写真に彩りを添え、抒情(じょじょう)性豊かに、心に残るものとして完成されているのは、言葉の力によるものが大きいのではないでしょうか。

まだ文字がしっかり読めないお子さんでも十分楽しめますし、大人も子どもも、幅広い年齢の方に楽しんでもらえる1冊としておすすめです。


取材・文/星野早百合

19 件
とうじょう ともみ

東條 知美

とうじょうともみ 絵本コーディネーター、講師、コラムニスト。1973年新潟県上越市生まれ。白百合女子大学児童文化学科卒業。在学中は桑原...

絵本カテゴリーのランキング
人気記事・連載ランキング