2022.05.23

ブックマーク

雨が気持ちいい!『どしゃぶり』読み聞かせのコツ

「本とあそぼう 全国訪問おはなし隊」隊長がお教えします

本とあそぼう 全国訪問おはなし隊

読み手 ──おはなし隊隊長 牧野博美

※この記事は、講談社絵本通信に掲載の記事を再構成したものです。
 

キャラバンカーに本をたくさん積んで、全国47都道府県におはなしを届ける「本とあそぼう 全国訪問おはなし隊」。
幼稚園や保育所、小学校や図書館、書店など様々な訪問先で、おはなし会を重ねてきたおはなし隊の隊長さんが、子どもたちに人気の絵本の読み聞かせのコツをお教えします!

どしゃぶりの雨を楽しむ男の子。
誰もが覚えのある夏の午後のひとときを、美しい絵と軽快な文章で綴った共感を覚える絵本です。この絵本を読んだあとは、きっと雨が待ち遠しくなるはずです。

『どしゃぶり』
文:おーなり由子 絵:はたこうしろう

見返しは絵本の世界へのプロローグです。
水色をベースにした雨粒と傘の美しいページが、この先のストーリーへ導きます。

玄関の少しだけ開いたドアから覗く男の子。濃い陰が夏の暑さを表しています。物語が始まる予感を乱さないように、タイトルは静かに丁寧に。

「あっついなあ! じめんが あつあつ!? あっつ あつ!」

大きな真っ白い入道雲。雨の気配はまだ感じられません。<あっつ あつ!> は、少し強めに読むと臨場感が出ます。暑い暑い夏の日の空気やアスファルトの暑さを、思い出しながら読んでください。

まっくろの くも。
『どしゃぶり』より

「ぽつっ! ぽつっ! ぽつっ! あめだ! ぽつっ ぴたん ぽつ ぽつっ! おおきい あめ!」

雨粒が、小さな粒から大きい粒に変化していきます。小さい声からじょじょに声を大きくする事で、雨粒の大きさの変化を表現します。<あめだ!> は、文字の大きさに合わせて際立つように。

あめだ!
『どしゃぶり』より

さらに強く振ってきた雨。勢いよく、スピードを早めて読みます。

文字の大きさに合わせて、大きめの声で。男の子と雨の対話の始まりです。

傘に落ちる音、地面に落ちる音、葉っぱに落ちる音、水たまりに落ちる音……。さまざまな音を表現するシーンです。文字の大きさに合わせて、声の強弱をつけます。ぞれぞれの音を、テンポを変えて読んでみるのもいいでしょう。

いつもの雨、だけど、いつもと違う雨の表情……。そんな感覚を、絵本の男の子と一緒に、読み聞かせを聞いている子どもたちも共有します。

「ぼくのところに あめのこえが ふってくる。」

風景を映した、大きな雨のしずくの美しさ! みずみずしく生き生きとした雨の世界を、じっくりと見せてあげてください。

もう、傘なんてさしていられない! わくわくを抑えられず、男の子が雨の中に飛び出していきます。軽快さや疾走感を出すように、テンポよく読んでみてください。

あめのこえが ふってくる
『どしゃぶり』より

それぞれの文字の大きさにあわせて、読んでみてください。男の子の声に出した言葉、男の子の心の中の言葉、雨粒の歌うような言葉。そんなイメージを意識しながら、軽くニュアンスを変えて読むと臨場感が出ます。

どしゃぶりの雨にうたれる男の子。イマジネーションが無限に広がる重要なシーンです。読み聞かせを聞いている子どもたちから「気持ちよさそう」という声が聞こえてきます。子どもたちの反応を見ながら、じっくりと絵を見せてあげてください。

最後は、楽しかった雨との、会話の終わりを惜しむようにやさしく。

お風呂で傘をさすラストシーンは、いつも読み聞かせを聞いている、子どもたちから笑い声がもれてきます。

絵本のエピローグです。どしゃぶりの雨を存分に楽しんだ、気持ちの良い夏の午後の余韻を感じるように、ゆっくりとページをめくります。

赤い傘をさすお母さんが、雨と遊ぶ男の子を迎えにきました。裏表紙が語る、もう1つの物語も、子どもたちにしっかりと見せてあげてください。

裏表紙『どしゃぶり』より

次の雨の日は、雨とどんなお話しようかな?

子どもたちをそんな気持ちにさせてあげるように、心をこめて読んであげてください。季節の恵みを感じる、読み聞かせにおすすめの一冊です。

●今回読んだ本

『どしゃぶり』
文:おーなり由子 絵:はたこうしろう

●プラス1冊

おててをテーマにこちょこちょと赤ちゃんをこちょがして遊ぶ絵本です。

『こちょこちょさん』
文:おーなり由子 絵:はたこうしろう

本とあそぼう 全国訪問おはなし隊

たくさんの絵本を積んだ2台のキャラバンカーで各都道府県を巡回し、幼稚園、保育所、小学校や図書館、書店などを訪問している、「本とあそぼう...

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