「泣く」「カートに乗らない」子どもと行く買い物で必要な覚悟と準備

発達心理学の専門家が育児に役立つアドバイスをおくる、こんなときどうする?「子育てQ&A」買い物編

教育学博士:渡辺 弥生

日々いろいろなことで奮闘しているママパパたちに、発達心理学の専門家が、育児に役立つアドバイスをおくるコーナー「子育てQ&A」。今回はこれまでご紹介してきた中から、「子どもとの買い物」に関する悩みへの対応策をまとめてご紹介します。
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みなさんから寄せられた、「買い物」に関するお悩み
「カートにじっと乗ってくれない」(3歳・男の子)
「なんでも手に取って、買う予定がなかったものまで購入することに」(3歳・女の子)
「『ほしい!』『買って!』とひっくりかえって大泣きする」(1歳・女の子)
「スーパーなどで『買って~!』と床に寝転がって泣く」(2歳・男の子)
「お店で『買って~!』とダダをこねます」(3歳・女の子)

1~3歳にはよくあること。予測して行動を

店頭には子どもの興味をひくものがいっぱい。1~3歳なら、「自分のものにしたい」という気持ちになるのはしかたがないことでしょう。欲求の表現が強い子だと激しくほしがりますが、それはその子が悪いのでも、ママパパの育て方のせいでもありません。うまく思いを伝えられない時期の「表現の強弱」の違いだけ。

前もって「こういう状況になる可能性はある」と覚悟して対応法を考えておくと、いざというときに役立つでしょう。
スムーズに買い物ができないお年頃
写真/Adobe Stock

興味をひきそうな場所に近づかない

この時期は、欲しがるものがあるところには近づかないのが一番です。ただ、スーパーなど避けられない場所もあります。そういうときは、子どもを乗せるカートがある店を選びましょう。

子どもはなにかを持っているだけで意外と満足するので、ヨーグルトなどおやつになるものを持たせておくのも方法です。そのうえで、お菓子売り場などは通らないようにして、ささっと買い物をすませましょう。

また、「約束したのに守れない」と嘆くことがあるかもしれませんね。でも、1~3歳では、約束の意味を理解できません。約束しても期待するのは禁物。もし、ダダコネをしなかったときには「約束が守れてえらかったね」とほめてあげましょう。その積み重ねで「約束を守る大切さ」を学んでいくことができます。

「買わない」といったら、泣かれても譲らない

いったん「買わない」と判断したら、それを貫くことが大切です。大泣きされたら、抱きかかえてでもその場から離れ、人目の少ない場所で泣きやむのを待ちましょう。ママパパが子どもの泣き声に負けないほど大きな声で怒ってしまうのは火に油を注ぐようなもの。

泣きやんだら「ほしかったね」と、子どもの気持ちに共感し、「今日はお金がないから買えないのよ」などと理由を説明することが大事です。場合によっては、「今度、来たときに買ってあげるね」などと条件をつけてもいいでしょう。

これを繰り返すうちに徐々に「ママパパがダメだと言ったときは買ってもらえない」ということを理解していきます。大泣きに根負けして渋々買ってあげると、ゴネ得を学んでしまう可能性もあります。

ママパパにストレスにならない方法を選んで

毎回店内で親子の大声バトルになっては、いつまでも悩みは解決しませんね。もし、ママパパが「買ったほうが気が楽」だと思うのなら、無理に拒絶する必要はありません。

そのせいで「わがままな子になるのでは」と心配する人もいますが、少し成長すれば教育によってガマンの力を培う方法はたくさんあります。
買い物がストレスにならないように

育児中の買い物対応策

まだ「約束」という言葉の理解も、ガマンをすることもできない年齢です。無防備なまま買い物へいけば、親子の店内バトルになる可能性は大。前もって覚悟して、対策をたてておくことが必要です。

子どもは、教えられなければ何歳になっても覚えられないことが多いのです。買い物にしても、「ダメダメありき」ではなく、「1個だけね。約束ね」「これおいしそうだから1個買おうね。あとはダメよ」などと話せば、今はわからなくても、ルールやガマンを覚える機会になります。
【子連れでの買い物を極力避ける】
・ネットスーパーを利用する
・生協などの宅配サービスを利用する
・休日や夜間、パパに子どもをみてもらっている間に買い物をする

【子連れでいくときは覚悟と準備を】
・レジで並ぶ時間を短縮するためにも、混雑している時間帯を避ける
・空腹だと欲しいものが増えるので、お腹を満たしてから出かける
・1個だけは買ってあげることにし、ママが選んだものから選択させる
・食材や、今日のメニューについてなどを語りかけながら、買い物に参加している気分にさせる
買い物は、子どもの学習の場でもあると考えて対応していけるといいですね。

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わたなべ やよい

渡辺 弥生

教育学博士(発達心理学、発達臨床心理学)

大阪府生まれ。1983年筑波大学卒業。同大学大学院博士課程心理学研究科で学んだ後、筑波大学、静岡大学、途中ハーバード大学客員研究員を経て、法政大学文学部心理学科教授。同大学大学院ライフスキル教育研究所所長兼務。教育学博士。専門は、発達心理学、発達臨床心理学。主な著書に『まんがでわかる発達心理学』、『11歳の身の上相談』(講談社)、『親子のためのソーシャルスキル』(サイエンス社)など。

大阪府生まれ。1983年筑波大学卒業。同大学大学院博士課程心理学研究科で学んだ後、筑波大学、静岡大学、途中ハーバード大学客員研究員を経て、法政大学文学部心理学科教授。同大学大学院ライフスキル教育研究所所長兼務。教育学博士。専門は、発達心理学、発達臨床心理学。主な著書に『まんがでわかる発達心理学』、『11歳の身の上相談』(講談社)、『親子のためのソーシャルスキル』(サイエンス社)など。

げんきへんしゅうぶ

げんき編集部

幼児雑誌「げんき」「NHKのおかあさんといっしょ」「いないいないばあっ!」と、幼児向けの絵本を刊行している講談社げんき編集部のサイトです。1・2・3歳のお子さんがいるパパ・ママを中心に、おもしろくて役に立つ子育てや絵本の情報が満載! Instagram : genki_magazine Twitter : @kodanshagenki LINE : @genki

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