子どもを「ご褒美で釣る」のはなぜダメなのか? 発達心理学者が回答

こんなときどうする? 子育てQ&A#95 子どもを「ものでつる」のって、いけないの?

教育学博士:渡辺 弥生

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公共の場で騒いだら「静かにできたら○○を買ってあげるよ」、おむつはずしが進まないときには「トイレに座ったら○○をあげるよ」……。

子育ての中では、子どもをものでつりたくなる場面は少なくありませんね。

発達心理学の専門家・渡辺弥生教授が子育ての悩みに答えます。

「子どもを『ものでつる』のって、いけないの?」(3歳・女の子)

子どもを「ものでつる」のって、いけないの?  写真/Adobe Stock

「ごほうび」でやる気を誘うのも一つの方法

「ものでつる方法っていけないのかな?」と疑問に思っているママパパも多いでしょう。

そもそも「ものでつる」という言葉の印象がよくありませんが、1~3歳では、基本的にOKだといえます。

とくに3歳ぐらいまでは、行動と結果(成果)をイメージできません。

目に見える形や、イメージしやすい言葉で目標を作ってあげるのは、わかりやすい方法ともいえます。

実際に、小学校低学年くらいまでの子どもにとって、ごほうびがあるというのは、目標を明確にし、やる気をわかせるものなのです。
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注意したいことと、工夫したいこと

では注意したい点はなんでしょう?

◆まず頻度です。

なにかにつけてものを与えて解決するのは、動物の餌付けとかわりませんね。

できるだけ育児のプランをもって、「これに関してだけは」と決めておくといいでしょう。

◆発達的にできないことは、ごほうびで誘っても無意味です。

たとえば公共の場で静かにできるのも短い時間だけ。

おもちゃなどを持参して対策しておくことが欠かせません。

そして達成できたあとに「がんばったね」とごほうびをあげると学びにつながりますね。

◆トイレ嫌いや食べ物の好き嫌いなどには、以前の嫌な経験が関係していることがあります。

ごほうび効果で行動できたときには、よい雰囲気を作ったり、たっぷりほめたりして、嫌なイメージをプラスにかえてあげましょう。

◆ごほうびの内容も、単純に「お菓子」「おもちゃ」ではなく、親子で楽しめるものにするのもおすすめ。

たとえば、絵本を読む、折り紙、公園でのボール遊び、お弁当を持って散歩にいくなどのイベント型。

そのほか、夕食のおかずに好きな料理を作ってあげるとか、おやつを少し豪華にするような方法もあります。

ごほうびの頻度や内容を考えたり、前もって対策を工夫することで、子どもが楽しく目標を持て、ママパパの育児が少しでも楽になるといいですね。

文/宇野智子 写真/Adobe Stock
※この記事は幼児誌「げんき」に掲載された記事を再構成したものです。
わたなべ やよい

渡辺 弥生

教育学博士(発達心理学、発達臨床心理学)

大阪府生まれ。1983年筑波大学卒業。同大学大学院博士課程心理学研究科で学んだ後、筑波大学、静岡大学、途中ハーバード大学客員研究員を経て、法政大学文学部心理学科教授。同大学大学院ライフスキル教育研究所所長兼務。教育学博士。専門は、発達心理学、発達臨床心理学。主な著書に『まんがでわかる発達心理学』、『11歳の身の上相談』(講談社)、『親子のためのソーシャルスキル』(サイエンス社)など。

大阪府生まれ。1983年筑波大学卒業。同大学大学院博士課程心理学研究科で学んだ後、筑波大学、静岡大学、途中ハーバード大学客員研究員を経て、法政大学文学部心理学科教授。同大学大学院ライフスキル教育研究所所長兼務。教育学博士。専門は、発達心理学、発達臨床心理学。主な著書に『まんがでわかる発達心理学』、『11歳の身の上相談』(講談社)、『親子のためのソーシャルスキル』(サイエンス社)など。

げんきへんしゅうぶ

げんき編集部

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