子どもを静かにさせたいとき スマホを見せてもいい?

臨床心理士・帆足暁子さん「デジタル時代の子育て」#2 “スマホ育児”のOKとNG

臨床心理士:帆足 暁子

スマホを使うときの注意点

パパやママの体調が悪いときなど、どうしてもスマホの力を借りたいときは、次の3つのポイントを守りましょう。

【どうしてもスマホを見せるときの3つのポイント】
①親も一緒に、30分以内で。
②「実体験につなげられるもの」を見る。
③子どもに主導権を渡さない。

①親も一緒に、30分以内で
コミュニケーション不足にならないように、会話をしながら親子で一緒に見ましょう。脳科学では「デジタルは脳を非常に疲弊させる」とされていて、理想的な使用時間は15分以内です。現実的には、15分以内を原則としつつ、親がコミュニケーションをとりながら一緒に見るのであれば30分くらいは許容範囲でしょう。

②「実体験につなげられるもの」を見る
できるだけ「実体験につなげられるもの」を見るのがおすすめです。人間は五感で脳に刺激を与えますが、デジタルコンテンツには触覚・嗅覚・味覚がありません。ですから、ママの好きな料理動画を見て「今日一緒にこれを作ってみようか」と相談したり、魚や植物が育つ教育系動画を見ながら、「今度この魚を釣りに行こう」「この花はおばあちゃんの家に咲いていて、いいにおいがしたよね」などと話したりして、動画と実体験をつなげてみてください。子どもの知的好奇心を刺激できますし、子どもがスマホやデジタルコンテンツの賢い利用方法を学ぶ練習にもなりますよ。

③子どもに主導権を渡さない
スマホを見るときに、子どもに操作させないことも大切です。自分で操作できるようになると、スマホの魅力が増してしまいますし、「自分でできるから、もう大人はいらない」と思ってしまうリスクがあります。子どもにはスマホを触らせず、見せる内容や時間も親が決めます。そうすると子どもも親に「見せて」とお願いするしかなく、親子関係が逆転することも防げます。

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スマホがなかった時代、子どもに静かにしてほしいときは、抱っこして揺らしたり、顔に息をふっと吹きかけて遊んだり、絵本や折り紙、シール、小型のおもちゃなど、子どもが夢中になれるものを用意して乗り切っていました。また、「静かにできたらごほうびだよ」とお菓子を少しだけあげるのもメジャーな作戦でした。

時代は変わっても子どもの発達段階は変わりませんから、こうしたアナログな方法は今でも有効です。スマホは手軽なのでファーストチョイスにしがちですが、「最終手段」と考えて、アナログな方法もぜひ試してみてくださいね。

取材・文 片桐はな

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ほあし あきこ

帆足 暁子

臨床心理士

公認心理師、臨床心理士。一般社団法人『親と子どもの臨床支援センター』代表理事。専門は乳幼児発達臨床心理学、保育臨床、子育て相談、子どものメンタルヘルス。『ほあしこどもクリニック』副院長として約20年、子育て相談や心の相談で子どもや親と向き合ってきた実績がある。 【主な著書】 『0.1.2.歳児 愛着関係をはぐくむ保育』(学研プラス)

公認心理師、臨床心理士。一般社団法人『親と子どもの臨床支援センター』代表理事。専門は乳幼児発達臨床心理学、保育臨床、子育て相談、子どものメンタルヘルス。『ほあしこどもクリニック』副院長として約20年、子育て相談や心の相談で子どもや親と向き合ってきた実績がある。 【主な著書】 『0.1.2.歳児 愛着関係をはぐくむ保育』(学研プラス)