小説家や詩人になりたい 日記や感想文を楽しく書きたい人へ やなせたかしの愛弟子が教える画期的な文章レッスン〔作家・小手鞠るい〕

読む人の心を動かす詩、感想文、小説を書く方法

作家:小手鞠 るい

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日記や感想文を上手に書きたい。詩人や小説家にはどうやってなるの?

そんな「書けない悩みの解決法」を詩人で作家の小手鞠るいさんが教えてくれます。小手鞠さんはアンパンマンのやなせたかし先生に20代で詩の才能を認められて、作家になりました。子どもの本でボローニャ国際児童図書賞、小学館児童出版文化賞などを受賞。

感想文の選考委員や大学で小説の書き方を教えた経験を活かして、有名作家の名文から小学生の感想文までを盛り込んだ『日曜日の文芸クラブ』を刊行したばかりの小手鞠るいさんが「画期的な文章上達術」を教えてくれます。

みなさん、こんにちは。

『日曜日の文芸クラブ』を書いた小手鞠るいと申します。

ニューヨーク州の森の仕事部屋で、毎日、何かを書いています。何かって、なんでしょう。詩を書く日もあれば、小説を書く日もあるし、童話を書く日もあります。なんにも書かない日はありません。書く仕事を休んでいる日でも、旅先でも、メールや手紙やカードや日記は書いていますし、ノートに小説のアイディアを書いている日もあります。きょうはこうして、コクリコのエッセイを書いています。

とにかく、書くことが三度のごはんと同じくらい好きなので、書いてさえいれば、幸せな気持ちになることができます。お得な性格でしょ? でも、そうではない人もたくさんいるようです。書くのが苦手、書くのが嫌い、うまく書けない、どうすれば、すらすら書けるようになるの? 読者の方から、よくそんな質問が届きます。わたしは、質問に回答を書くのも大好き。

じゃあ、さっそく書いてみましょう。読んでいるうちに、あなたが「すらすら書けそう!」っていう気持ちになってくれたら、それはわたしの無上の喜びです。

詩ってどうすれば書ける?

Q.1 詩を書いてみたいけれど、何をどう書いていいのかわからないし、どういうのが良い詩か実はわかっていないので、書いてみても、それがよく書けたのかどうかもわかりません。

A.1 書いてみたい、というその気持ちがとっても大事です。すでにそこから、あなたの詩が始まっています。あなたはなぜ、何を見て、聞いて、あるいはどんな体験をして「詩を書いてみたい」と思ったのでしょう。1行目に、あなたが見たものを(=何を)書いてみてください。短い言葉でいい。とにかく〈ぱっと〉書いてみてください。たとえばこんなふうに……。

道ばたで 倒れている たんぽぽの花
なぜか 目を離すことができない


すると、このあとには、こんな言葉が浮かんでくるでしょう。

なぜだろう
なぜだろう


この問いかけに対して、ぱっと心に浮かんできた答えを書いてみます。「どう書けばいいのだろう」と深く考え込まないで、ただ、浮かんできた言葉を、浮かんでくるままに。

立ち止まって しゃがんで 見つめた
踏みつけられた葉っぱ
折れ曲がった茎
それでも顔を上げ
太陽に向かって ほほえんでいる

たんぽぽの花に わたしはなりたい
踏まれても負けない 起き上がって咲く
強いたんぽぽに わたしはなりたい


これが良い詩かどうか、よく書けているかどうかなんて、わたしにもわかりません。でも、この詩を読んでくれた誰かが「ああ、いいな、たくましくて強い、たんぽぽのような生き方がしたい」と思ってくれたとしたら、これは良い詩に違いありません。

見たものをぱっと言葉にする。なぜ心を惹かれたのか? と自分に問いかけて、ぱっと答えを書く。これも詩作のひとつの方法です。だまされたと思って、書いてみて! キーワードは〈ぱっと〉です。ちなみに、上の詩には続きがあります。

なぜだろう
なぜだろう

弱いままでいいよ あなたはあなたのままで
無理して 強くならなくていい
たんぽぽは 別れ際に そう言って
わたしを見送ってくれた

感想文が苦手な人への画期的なアドバイス

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