【鍋炊きごはん】「MOTTAINAI」 台所から未来の子どもを支えるごはん

もったいない・つづけられる・伝統食! #1【米】「ご飯の炊き方とアレンジ2品」

ライター・料理家:越野 美樹

ご飯は炊き方次第でぐんと美味しくなる! 左:辛くないチーズタッカルビどんぶり 真ん中上:土鍋炊きご飯 右: 炊き込みピラフ 写真:越野美樹

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「食べたいものは自分で作る!」をモットーに、料理家・越野美樹さんが「日本の伝統食材」を使ったレシピを提案する連載(全7回)。

ロハス、エシカル、SDGsなどのオシャレな横文字ではなく、毎日のベタでリアルな生活の中から生まれた身近な知恵……。       

小さい子がいて忙しくても、ゆるく続けられる台所仕事の「MOTTAINAI」を、具体的な実践方法を交えてお伝えします。

初回のテーマは、「お米」。

炊飯器よりも早く炊ける鍋炊きご飯と、そのアレンジをご紹介します。 思わず一緒に作りたくなる「お手伝いポイント」も載せていますので、親子で一緒に楽しんでくださいね。

もったいない! ご飯を美味しくいただくコツ

我が家では玄米を自宅で精米しています。白米のほか、分づき米にすることも。  撮影:越野美樹

私が小さい頃、母の実家でご飯を残すと、農家のおじさんによく「もったいない」と言われました。      

娘が話せるようになったばかりの頃、ご飯粒を残す周りの人に毎日「もったいない」と言う姿を見て、小さい頃に言われた事を思い出し、ハッとさせられたことがあります。      

小さい頃、ご飯があまり好きでなかった私は、家ではお茶碗に少しだけよそってもらって食べていましたが、農家のおばあちゃんの家に行くとご飯が大盛り!    

全部食べるのが至難の業だったのです。    

「ご飯なんて味がないし、何が美味しいのかわからない」と思っていました。    

娘がお腹にいた頃、ご飯をしっかり食べないと母乳が出にくいと聞いたことをきっかけに、ご飯をたくさん食べようと思っても、やっぱり大人になっても美味しいとは思えない。  

ある時、京都の和食店でかまど炊きご飯をいただき、「なんて美味しいのでしょう!」と驚きました。    

甘みがあって、ふっくら炊けた、ピカピカのご飯。    

家でかまどを使うのは無理ですが、調べてみるとお鍋で炊くと美味しく炊けることがわかりました。    

炊飯器にセットすれば勝手に炊いてくれるのと違って、わざわざ鍋で炊くなんて……となかなか気が進みませんでしたが、ご飯を美味しく食べたい一心で土鍋を買って炊いてみたところ、やっぱり美味しい。    

そんな土鍋炊きの美味しいご飯で育った娘は、小さい頃、ご飯が大好きでした。    

中学生の娘が、2歳くらいの頃だったでしょうか。    

お茶碗や土鍋にご飯粒が残っていると、「もったいない!」と言って怒り、土鍋にくっついたご飯を一生懸命食べていました。    

お百姓さんが丹精込めて、大切に育ててくれたお米。    

やっぱり美味しく炊いて、大切に食べたいなと思わされたのです。

美味しいご飯の炊き方5ステップ

土鍋で炊くとふっくらツヤツヤ! 炊き立ての美味しさを味わっていただきたいです。 写真:越野美樹

お鍋でご飯を炊くと、特に炊き立てのご飯のお味は最高です。  

また、実は炊飯器よりも短い時間で炊けます。    

キャンプなどで経験がある方もいらっしゃると思いますが、ご飯を火で炊くとき、どんな方法でも炊くことはできます。    

ですが、量り方、研ぎ方、浸水、火加減、蒸らし・ほぐしなどを研究すると、ご飯がもっと美味しく炊けますよ。

① 量り方

お米のカップを使って、正確に計量しましょう。一度山盛りにしてから指を使ってすり切るのがおすすめです。

お米も水も、しっかり量ると、きっちり美味しく炊けます。 写真:越野美樹

② 研ぎ方

・研ぎはじめの水をよく吸うと言われていますので、できれば浄水を使って研ぎましょう。

・お米の精米技術は上がっていて、お米のぬか臭さはそんなに残りませんし、天日乾燥ではなく機械乾燥がほとんどでお米が割れやすいことから、力を入れて研がず、優しくかき混ぜる程度で大丈夫。

・ザルに入れるとお米が傷つきやすく、ボウルだけだとぬか臭さがとれません。

・ボウルに水を入れたら、分量の米を一気に入れ、即座に10回くらいかき混ぜ、ザルにあげて水気を手早く切ります。 この作業はモタモタしていてはいけません。なぜなら、特に最初の水はぬかを多く含むので、ぬか臭さがお米に戻ってしまうからです。ザルでお米の水気を切っている間にまたボウルに水を入れ……と同じように2、3回繰り返し、濁りがなくなったらザルにあげて水気をしっかり切ります。

ぬかの匂いがつかないように手早く、傷づかないよう丁寧に! 写真:越野美樹

③ 浸水

・土鍋に研いだお米と、お米の1.2倍程度の水を入れます。2合なら430ml、3合なら540ml程度です。お水の量は一度1.2倍で試していただき、お米の品種や収穫からの時間、湿度などによってお好みのかたさになるよう調整してください。

・20分浸水すればなんとか炊けますが、白米なら1時間以上浸水させるとふっくら炊けます。

④ 火加減

・お鍋の中が「初めチョロチョロ中パッパ」になるようにしましょう。最初は中火にかけると土鍋の中が少しずつ温まります。ステンレスやホーローなどの厚手の鍋を使う場合は、少し弱めの火加減にして、10分程度で沸騰するようにすると、甘みがあってふっくらとしたご飯が炊けます。

・しっかり確実に沸騰させます。お鍋の中の音を確認し、蒸気がしっかりふくのを確認したあと、1分ほど中火を保ってから、弱火にします。

・一番弱い火にかけてから、10分炊きます。余分な水分が残っていることがあるので、最後に5〜10秒ほど強火にしてから火を止めます。

⑤ 蒸らし・ほぐし

フタをしたまま10分蒸らしたら炊き上がり!

砂の中に埋まっているかにが作る空気穴に似ている「かに穴」があいたら、美味しく炊けた証拠です。 写真:越野美樹

・フタを開けたら、しゃもじで底から持ち上げ、縦に切るようにして全体をほぐしましょう。

・食べるまでに時間がかかる時は、土鍋とフタの間に布巾をはさみましょう。おひつにうつすと、さらに美味しく食べられます。

残りご飯を美味しく活用する方法

我が家では、3合用の漆塗りのおひつを使っています。友人に毎年のように塗り直していただけるおかげで、もう10年以上は使っています。 写真:越野美樹

おひつがない場合、陶器の器に入れ、ご飯の粗熱がとれてからラップをすると冷めても美味しくいただけます。    

我が家では、気温が高くなる夏場以外は、朝炊いたご飯をおひつに入れて常温で置いておきます。    

炊いたご飯を低温で保存すると老化してしまい、生のお米のような状態に戻ってしまうからです。    

冷めたご飯はチャーハンにする、おじやにするなど、再び火を入れると美味しく食べられます。

また、とろみのあるあんかけなどの熱々のお料理をのせたり、親子丼などの丼ものにしたり、お刺身や野菜・ドレッシングを加えてライスサラダにしたり、ライスコロッケにしたり、焼きおにぎりやライスバーガー・ドリア・ライスピザなどのご飯を焼くお料理もおすすめ。

ご飯を小判型に丸めて焼いて甘辛ダレをつけた五平餅や、ライスプディング、俵形に握ってきな粉と砂糖をまぶしたおはぎ風、ご飯入りお好み焼きなど、簡単な素朴おやつも作れます。

レンジでチン! もいいですが、子どもと一緒に残りご飯を美味しく食べる工夫も楽しんでみてくださいね。    

今回は、残りご飯に合うお料理と、洋風炊き込みご飯をご紹介しますね。

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