スマホ育児はダメ? 子どもへの影響は? 発達心理学の専門家が答えます

こんなときどうする?子育てQ&A#9「スマホ育児、子どもへの影響は?」

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今では生活に欠かせなくなった、スマホ(スマートフォン)やタブレットなどのスマートデバイス。大人にとってはとても便利なものですが、お子さんへの与え方について、親御さんたちは気になるところでしょう。

発達心理学の専門家・渡辺弥生教授が子育ての悩みに答えます。

「スマホを見たがるようになりました。悪い影響があるのか、気になります」(2歳・女の子)

スマホの影響は? 写真/Adobe Stock

肉体的にも心理的にも、影響があるかもしれません

1~3歳の子どもの目は未発達なので、スマホのようにきわめて近い距離でものを長時間見続けると、斜視になる可能性があるなどといわれています。

また、1日4時間以上スマホなどを見る子は、好奇心が育ちにくいという研究発表も。

いずれもまだ研究段階ですが、肉体的にも心理的にも、影響がないとはいいきれないですね。

子どもがスマホに興味を持つのは、もしかしたら親御さんがいつもスマホを見ているからかもしれません。親が楽しそうに見ているものを、子どもが見たがるのは当然のこと。

親御さん自身がスマホと少し距離をおけるようになれば、子どもの反応も変わるかもしれませんね。

「買い物中など静かにしてほしいとき、ついスマホを渡してしまいます。なにかほかにいい方法はないでしょうか?」(2歳半・女の子)

スマホ以外に方法はある? 写真/Adobe Stock

ごく限られた時間ならばスマホを見せてもいいのでは?

日常的に、外遊びやお友だちと関わる時間をちゃんともてているのであれば、買い物中などごく限られた時間、スマホを見せるのはそんなに悪いことではないと思います。

ただ、買い物はものの名前を覚えたり季節を感じたり、子どもにとって良い学びの場です。

「静かにさせなきゃ」と思わずに、「大きなお芋だね」など、会話をしながらコミュニケーションを楽しむ時間にできるといいですね。

「いつもタブレットで動画を見たがります。取りあげると、かんしゃくを起こします」(2歳半・男の子)

タブレットばかり見ているけど大丈夫? 写真/Adobe Stock

大事な学びは、バーチャルでは身につきません

動画を見せることは悪いことではありませんが、その分、ほかの子どもと遊ぶ、自然を感じる、手や指を使って遊ぶなどの時間が少なくなることが問題です。

人間にとって大事ながまんする力、人を思いやる心、あきらめない強さなどは、人との関わり合いや自身の経験からしか身につきません。

動画は、見たくない場面は画面をオフにすればすぐに目の前から消えます。でも、人間や自然相手ではそうはいきません。だからこそイヤな思いもする、こらえなきゃならないときもある、でもその分大きな喜びも経験できます。

大人になるまでに学ばなければならない社会性や、感情をコントロールする力などは、バーチャルでは決して身につかないのです。

手放せないものとなったスマートデバイス。便利なものにはメリットもあるがデメリットもある、と親御さんが忘れずに、子育てに上手に取り入れられるといいですね。

文/久世恵美 写真/Adobe Stock
※この記事は幼児誌「げんき」に掲載された記事を再構成したものです。
わたなべ やよい

渡辺 弥生

教育学博士(発達心理学、発達臨床心理学)

大阪府生まれ。1983年筑波大学卒業。同大学大学院博士課程心理学研究科で学んだ後、筑波大学、静岡大学、途中ハーバード大学客員研究員を経...

げんきへんしゅうぶ

げんき編集部

幼児雑誌「げんき」「NHKのおかあさんといっしょ」「いないいないばあっ!」と、幼児向けの絵本を刊行している講談社げんき編集部のサイトで...