
「ソラタとヒナタ」絵本化の裏側〈前編〉物語の枠を超えて思い続けた作者の気持ちが、新たな物語へ
絵本『ソラタとヒナタ はじめてのたんじょうび』 (2/2) 1ページ目に戻る
2026.05.27
イラストレーター・版画家:くま あやこ
物語の枠を超えた思いが、新しい物語へと
夏至のあと、絵本の相談のなかで、心の奥でむくむくしていた「夏至とヒナタの誕生日と灯、池や小川などの水に揺れる光、森に住む他の動物たちや虫たちが描けたらいいな」という思いをお話ししましたら、かんのさんから、もし私の作絵の絵本がまだこれからだったら、新しく物語を書いてくださるとおっしゃっていただきました。
それからなんと3日後に、絵本『ソラタとヒナタ はじめてのたんじょうび』の原稿を送ってくださったのです! 物語には、かんのさんのあたたかくて、優しい気持ちがあふれた、美しい世界が広がっていて、とても感激しました!
※今回、この記事を書かせていただくにあたって、かんのさんに絵本のきっかけなどを書いてもいいですかとご連絡をしましたら、とてもあたたかくて素敵なお返事をいただきました。かんのさんよりご承諾をいただきましたので、一部を転載いたします。
かんのゆうこさんより
「わたしがあの物話を書いたきっかけは、くまちゃんが毎年夏至の日になるといつもX上でヒナタのお誕生日をお祝いしてくれていることを知って、本当に感動したの。
ずっとヒナタのことを大切に思い続けてくれていたくまちゃんに喜んでもらえるような物語を書けたらいいのになあ……と思っていたら、あるときふいにアイデアが降ってきて、それを物語にしてみた……という感じで出来上がった物語でした。
ヒナタをずっと大切に思い続けてくれていたくまちゃんの温かい思いがなければ、きっとわたしの中で生まれなかった物語。くまちゃんへのプレゼントみたいな物語だから、くまちゃんが喜んでくれてほんとうにうれしかったです。」
かんのさんの、心のこもった素敵なプレゼントとメッセージがとても嬉しいです! 本当にありがとうございます。
絵本『ソラタとヒナタ』の絵ができるまで
これから、かんのさんの物語を絵にしていく過程について、お話ししたいと思います。
童話から絵本になって、絵の制作で変わったことは?
絵本になって、本の大きさが倍くらいになり、文章も縦書きから横書きになったので、ページをめくる方向も物語の進む方向も逆に変わりました。
童話はカラーとモノクロのページが混ざっていたので、表紙は銅版画に手彩色、本文のカラーページは紙版画に手彩色、モノクロは黒いペンと絵の具と分けていましたが、絵本ではすべてカラーページなので、すべて紙版画に手彩色で制作することにしました。
本の判型や紙の種類なども新たに、担当編集者のFさんとデザイナーの脇田さんが提案してくださって、ラフのまえから少しずつ一緒に相談していきました。
ラフ(構成)をつくるうえで、こだわったことは?
ラフの制作で、はじめに考えたのが、「夏至」の一日の物語なので、時間とともに変わっていく光や色、家の中と外の光、夜の闇の色、物語の流れで変わっていく様子を大まかにイメージしました。
夏至の変わりゆく風景のイメージを書き起こしたもの。写真提供:くまあやこ
真っ暗闇の光も体感したくて、6月のホタルの時期に、里山のある大きな公園が夜遅くまで園内を開放していたので、小さな用心棒ネロを連れて、真っ暗闇とホタル、森の様子を見に行きました。
夕方から夜になっていく空、夜の闇の色、真っ暗闇に光るホタルの光、森の空気やにおい、光の粒子を感じることができて、色を考えるときの参考になりました。
くまあやこさんの愛犬・ネロ 写真提供:くまあやこ
原画の制作のまえに、夜の色をいくつか版画で試作したりしました。
原画の制作前に、夜の色をいくつか試作したもの。写真提供:くまあやこ
それから、6月の植物たち、森にすむ生きものたちをいろいろスケッチしながら、1枚の絵として情景を大まかに考えてから、ラフを描いていきました。
スケッチをしながら、描いた絵本のラフ。写真提供:くまあやこ
そのほか、日本やほかの国でどんなふうに夏至の日を過ごしているのか調べてみましたら、世界のいろいろなところで「夏至祭」が行われているんですね。キャンドルナイトやたき火をしたり。
お祭りのシーンでは、世界の「夏至祭」の様子や日本の夏の盆踊りなどを参考に、こんなお店があったら楽しいかなと想像しながら、夏至のお祭りを描きました。(かんのさんの童話でお馴染みのあの子も遊びに来ていたりするかも?)
『ソラタとヒナタ はじめてのたんじょうび』
かんのゆうこさんの大人気童話シリーズ「ソラタとヒナタ」が、完全オリジナルストーリーで絵本になりました。優しいくまのソラタが、天涯孤独で愛情も誕生日も知らないきつねのヒナタのはじめての誕生日をお祝いします。
絵を描くのは、同シリーズの挿絵をご担当され、本記事で制作エピソードをお話しいただいたくまあやこさん。こだわりのたくさんつまった優しく、色鮮やかな絵とともに、心あたたまる友情の物語をお楽しみください。
また2026年10月14日より、本作の原画展を開催予定です。詳細は、記事末尾よりご覧ください。

童話シリーズ「ソラタとヒナタ」



『ソラタとヒナタ はじめてのたんじょうび』原画展
神保町にあるこどもの本専門店「ブックハウスカフェ」ディスプレイウィンドウにて絵本『ソラタとヒナタ はじめてのたんじょうび』の原画を展示させていただきます。ぜひご覧いただけましたら嬉しいです!
近くなりましたら、在廊予定などの詳しい情報を、くまあやこさんのSNS(Instagram:@kumaayako)にてお知らせいたします。
『ソラタとヒナタ はじめてのたんじょうび』原画展
2026年10月14日(水)~10月31日(土)
こどもの本専門店「ブックハウスカフェ」ディスプレイウィンドウ
\記事のつづきも公開中/

かんの ゆうこ
東京都生まれ。東京女学館短期大学文科卒業。児童書に「はりねずみのルーチカ」シリーズ、(絵・北見葉胡)、 「ソラタとヒナタ」シリーズ(絵・くまあやこ)、『白うさぎと天の音 雅楽のおはなし』(絵・東儀秀樹)(以上、講談社)、 『とびらの向こうに』(絵・みやこしあきこ/岩崎書店)など。 絵本に、『はるねこ』(絵・松成真理子)、『はこちゃん』(絵・江頭路子)、プラネタリウム番組にもなった 「星うさぎと月のふね」(絵・田中鮎子)(以上、講談社)などがある。令和6年度、小学校教科書『ひろがることば小学国語二上』(教育出版)に、絵本『はるねこ』(絵・松成真理子/講談社)が掲載される。
東京都生まれ。東京女学館短期大学文科卒業。児童書に「はりねずみのルーチカ」シリーズ、(絵・北見葉胡)、 「ソラタとヒナタ」シリーズ(絵・くまあやこ)、『白うさぎと天の音 雅楽のおはなし』(絵・東儀秀樹)(以上、講談社)、 『とびらの向こうに』(絵・みやこしあきこ/岩崎書店)など。 絵本に、『はるねこ』(絵・松成真理子)、『はこちゃん』(絵・江頭路子)、プラネタリウム番組にもなった 「星うさぎと月のふね」(絵・田中鮎子)(以上、講談社)などがある。令和6年度、小学校教科書『ひろがることば小学国語二上』(教育出版)に、絵本『はるねこ』(絵・松成真理子/講談社)が掲載される。

































くま あやこ
神奈川県生まれ。イラストレーター・版画家。中央大学ドイツ文学専攻卒業。装画挿絵作品に 『はるがいったら』(著・飛鳥井千砂/集英社) 、『海と山のピアノ』(著・いしいしんじ/新潮社)、「ねこの町、犬の村」シリーズ(作・小手鞠るい/講談社)、 「ソラタとヒナタ」シリーズ(作・かんのゆうこ/講談社)など。絵本に『マンゴーの絵本(そだててあそぼう)』(編・米本仁巳/農村漁村文化協会)、『きみといっしょに』(作・石垣十/タリーズコーヒージャパン)、『狐忠信』(文・中村壱太郎/くもん出版)など。愛犬:ネロ。 ☆Instagram:@kumaayako
神奈川県生まれ。イラストレーター・版画家。中央大学ドイツ文学専攻卒業。装画挿絵作品に 『はるがいったら』(著・飛鳥井千砂/集英社) 、『海と山のピアノ』(著・いしいしんじ/新潮社)、「ねこの町、犬の村」シリーズ(作・小手鞠るい/講談社)、 「ソラタとヒナタ」シリーズ(作・かんのゆうこ/講談社)など。絵本に『マンゴーの絵本(そだててあそぼう)』(編・米本仁巳/農村漁村文化協会)、『きみといっしょに』(作・石垣十/タリーズコーヒージャパン)、『狐忠信』(文・中村壱太郎/くもん出版)など。愛犬:ネロ。 ☆Instagram:@kumaayako