悪い姿勢がもたらす子どもの不調とは
武田先生の「親子姿勢教室」に足を運ぶ親子は、未就学児から小学生までさまざま。「うちの子は姿勢が悪い」と感じている親が多いと言います。
一方で、子ども本人はほとんどが姿勢に関して無自覚です。ただ、「姿勢が悪い子どもたちは、じつはいろいろな不調を感じていることが多い」と武田先生は指摘します。
「大前提として、すべての痛みや不調の原因が姿勢にあるわけではないですが、悪い姿勢を続けていると引き起こされる不調は数多くあるのです。
圧倒的に多いのが、猫背状態の子。こういった子どもたちはよく、頭痛や肩こりを訴えます。
子どもの頭は、重いボウリングの球だと思ってください。ボウリングの球を上にして、まっすぐ下から支えている分には手首にはストレスがかかりませんが、前後に傾斜させて持つと、途端に手首への負担を感じるようになります。
それと同じで、頭が前に突き出た姿勢をとっていると、首の骨が圧迫されて頭が痛くなったり、首の筋肉に負担がかかり、肩こりが引き起こされたりします」(武田先生)
頭が前に出ていると、自然と上を向き顎(あご)が開くので、口が開いた「お口ポカン」状態になりがちだといいます。
「常に口が開いていると口腔内が乾きやすく、食活動に影響をきたしたり、口呼吸によるウイルス感染で風邪をひきやすかったり、唾液の分泌が減って虫歯になりやすかったりなどの影響が出ます。集中力が低下する、なんてことも言われていますね」(武田先生)
また、子どもたちからの身体の痛みで訴えが多いのが、膝痛(ひざつう)です。
「膝が痛い、と子どもが訴えても、親は『成長痛だからすぐに治るよ』と軽く見がちです。もちろん、成長の過程で身体に痛みが出るということはあります。でも、悪い姿勢はオスグッド病という一種の成長痛を助長させている可能性があります。
ひどいオスグット病の場合、悪い姿勢によって体重が後ろにかかり、身体が倒れないように、膝が前に出る。すると、太ももの筋肉が張った状態で、硬くなって力が入ったまま立っていることになる。
その先にある腱が骨を引っ張ってしまうので、この歪んだ状態を続けていると、果ては成長軟骨の剥離が生じてしまうかもしれない。そのままスポーツを続けたりしていると、身体の不調は慢性的なものになっていきます」(武田先生)