「ボロボロでも一緒にいたい」人形を研究する早大准教授が「ぬいぐるみを愛でる」のは未来志向な行為だと断言する理由

写真集『ずっと、だいすき。ぬいぐるみ専門病院から帰ってきた家族たち』第5回

ライター:山口 真央

「焦げも思い出」ぬいぐるみと持ち主の不思議な関係

『ずっと、だいすき。ぬいぐるみ専門病院からかえってきた家族たち』(講談社)より、菊地浩平さん(左)と、杜の都なつみクリニックの箱崎先生(右)。
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箱崎 以前から菊地先生の研究や活動が気になっていました。人形やぬいぐるみなどをテーマに、大学の授業をされていますよね。

菊地 僕はぬいぐるみや着ぐるみなど、広義で人形と関係するものを研究しています。学生たちに人気の授業は「人形参観」。学生に自分の人形やぬいぐるみを連れてきてもらって、思い出や日常を聞くことで、人と人形の関わりを紐解いていきます。

箱崎 楽しそうな授業です!

菊地 ある学生が持ってきたのは、一部が焦げているぬいぐるみです。小さいときに雨でぬいぐるみを濡らして、乾かそうと石油ストーブの上に置いたら、熱で化学繊維が焦げてしまったそうです。

親御さんからは「捨てなさい」と言われましたが、その学生は10年以上経っても、焦げたままぬいぐるみを持ち続けていました。傷や汚れを、ぬいぐるみとの思い出の一部だと考えているのでしょう。

ぬいぐるみを愛することは「明日をポジティブに生きること」

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