「子どもにとって大切なのは、お手伝いより、勉強より、まずは “片づけ”と“身支度”です」と言い切る整理収納アドバイザーのカール友波さん。
片づけと身支度が勉強より大事という、その真意をお聞きすると、「お片づけ、身支度を通して、子どもに自立をしてほしいということです。片づけ、身支度ができれば、勉強やお手伝いも自然とできるようになるからです。片づけや身支度は、自分自身のこと。子どもであっても自分でできないと困りますよね。生活の基本中の基本です。だから、勉強より、お手伝いよりもっと大切だということなんです」
カールさんは、『子どもがどんどん整理整頓したくなる!お片づけ帖』の著者で、お片づけプレゼンターの肩書きで、企業や学校の講座、セミナーなどでも活躍中です。
片づけや身支度が子どもの自立を促すという方法をさらに詳しくお聞きしました。全7回にわたって紹介していきます。今回はその第4回です。
※特に、1年生から低学年の子どもを対象にしています。
“おもちゃの衣替え”をする
「夏から秋に季節が変わり、衣替えをするように、“おもちゃの衣替え”をしてもいいんですよ」とカール友波さんは言います。
“おもちゃの衣替え”とは、あまり聞きなれない言葉ですが、どういうことなのでしょうか?
「子ども部屋やリビングのおもちゃコーナーにおもちゃがあふれて、片づかない……と嘆いていらっしゃるお母さん、多いと思います。子どもにねだられて、ついつい買ってしまったおもちゃ、誕生日やクリスマスなどのプレゼント、おじいちゃんおばあちゃんに買ってもらった、外出先や外食時に何気なくもらってしまったおもちゃ……おもちゃは気がつけば増えています」
確かに、積極的に買い与えたつもりはなくても、知らないうちに増えているのがおもちゃではないでしょうか。
「あふれるほどあっても、子どもはどんなおもちゃがあるか把握できず、十分に遊ぶことができません。おもちゃは“モノ”。やはり、適正な数に整理され、きちんと置いてあると子どもが遊びやすいということです」
半分は出して、残りは収納
「いきなり、数を減らすために捨てると、うっかり子どものお気に入りのモノまで捨ててしまうかもしれないので、まず、数を半分にします。半分は出して、半分は収納にしまいます。10個あったおもちゃが5個になるわけですから、子どももお気に入りが見つけやすいのです」
そして、収納した半分のおもちゃは、定期的に表に出ているおもちゃと入れ替えます。
「入れ替えるタイミングで、よく遊んでいるおもちゃを残し、あまり遊んでいないモノは処分すると、徐々におもちゃが選抜されていきますよね」
子どもと一緒に“おもちゃのオーディション”
「『10個程度のおもちゃならいいけれど……』というお母さんの声が聞こえてきそうですが、確かに数えれば、10個や20個ではきかないお宅がほとんどではないでしょうか。そんな時は、お子さんと遊び感覚で“おもちゃのオーディション”をしてみてください」
つまり、てっとり早く、おもちゃの「いる、いらない」をやるということです。
ぬいぐるみが10個あったとします。10個のぬいぐるみを並べて、『〇〇ちゃん、どの子と一緒に遊びたい?』とオーディションをするというのです。
「少し残酷だと思われるかもしれませんが、ただただ窮屈なおもちゃ箱に入っているだけ、ほったらかしにされているぬいぐるみのほうがかわいそうです。『一緒に遊ぶぬいぐるみさんを決めたら、残りのぬいぐるみさんとはバイバイするね』と。
きっと、子どもの心はチクリと痛むはずです。でも、このチクリも大切です。自分が大事にしないから、ぬいぐるみさんとバイバイしなければいけないと子どもは思うでしょう。
『おうちに来てもらう時は、しっかり考えて来てもらおうね。お母さんも〇〇ちゃんとよく考えるね』。そのひと言で子どもも少し救われて、無理に買ってほしいとねだるようなことはなくなるかもしれません。
新しいおもちゃがほしいなら、“卒業”するモノは処分
「子どもの成長に伴い、遊ばなくなるおもちゃも存在します。年齢が上がるにつれて、前に遊んでいたおもちゃで遊ばなくなれば、そのおもちゃは“卒業”しているわけですから、それはお母さんが少しずつ処分することも必要です」
年齢に合わせて「新しいおもちゃがほしい!」と言ったらどうすればいいでしょうか?
安易に買ってしまうと、せっかく減らしたおもちゃが、また増えてしまいます。
「もし年齢に合わせて新しいおもちゃが欲しくなったら、『新しいのを買う代わりに、〇〇ちゃんがもう遊ばないと思うおもちゃを選んで、“一緒に遊んでくれてありがとう!”とお別れを言ってバイバイしたら、欲しいおもちゃに来てもらおう!』と言うのはどうでしょう」
その際、1個の新しいおもちゃに対して、できれば処分するおもちゃを3つ以上、子どもに選ばせるのがいいと言います。
「知らず知らずのうちに増えているおもちゃは、そのくらいの比率でちょうどよくなります」
仲良く遊んだおもちゃを処分する、つらい作業のようですが、「何が今の自分に必要か」の選択をさせることは、子どもの成長につながるいい機会かもしれません。
カール友波(かーる となみ) プロフィール
お片づけプレゼンター
キャッチフレーズは「か~るく、明るく、お片づけ!!」
深刻にならず、世間の常識・お片づけの常識にしばられず、その人らしい楽しい生き方を楽しめる、肩ひじはらないお片づけをご提案している。
整理収納アドバイザー1級、整理収納教育士認定講師(子どもの片づけ教育)、時短家事コーディネーター®Basic認定講師、発達支援教育士認定講師(発達障害・グレーゾーンのお子さんの身支度とお金の教育)。
著書は『子どもがどんどん整理整頓したくなる!お片づけ帖』(永岡書店)、『「片づけなさい!」と言わずに家族が勝手に片づけるすごい方法』(PHP研究所)がある。
https://www.karl-3.jp/
構成:時政美由紀
時政 美由紀
1965年兵庫県生まれ。立命館大学産業社会学部卒業後、出版社勤務を経て、2010年、編集・出版企画 ㈱マッチボックスを設立。出版社時代から現在に至るまで企画・編集した書籍・ムックは300冊以上。女性のライフスタイル全般、料理、子育てなどの実用書を中心に活動。2018~2021年、茨城新聞「論壇」にて連載。自著に『50歳から結婚してみませんか?』(朝日新聞出版)。
1965年兵庫県生まれ。立命館大学産業社会学部卒業後、出版社勤務を経て、2010年、編集・出版企画 ㈱マッチボックスを設立。出版社時代から現在に至るまで企画・編集した書籍・ムックは300冊以上。女性のライフスタイル全般、料理、子育てなどの実用書を中心に活動。2018~2021年、茨城新聞「論壇」にて連載。自著に『50歳から結婚してみませんか?』(朝日新聞出版)。
カール 友波
キャッチフレーズは「か~るく、明るく、お片づけ!!」 深刻にならず、世間の常識・お片づけの常識にしばられず、その人らしい楽しい生き方を楽しめる、肩ひじはらないお片づけをご提案している。 整理収納アドバイザー1級、整理収納教育士認定講師(子どもの片づけ教育)、時短家事コーディネーター®Basic認定講師、発達支援教育士認定講師(発達障害・グレーゾーンのお子さんの身支度とお金の教育)。 著書は『子どもがどんどん整理整頓したくなる!お片づけ帖』(永岡書店)、『「片づけなさい!」と言わずに家族が勝手に片づけるすごい方法』(PHP研究所)がある。 https://www.karl-3.jp/
キャッチフレーズは「か~るく、明るく、お片づけ!!」 深刻にならず、世間の常識・お片づけの常識にしばられず、その人らしい楽しい生き方を楽しめる、肩ひじはらないお片づけをご提案している。 整理収納アドバイザー1級、整理収納教育士認定講師(子どもの片づけ教育)、時短家事コーディネーター®Basic認定講師、発達支援教育士認定講師(発達障害・グレーゾーンのお子さんの身支度とお金の教育)。 著書は『子どもがどんどん整理整頓したくなる!お片づけ帖』(永岡書店)、『「片づけなさい!」と言わずに家族が勝手に片づけるすごい方法』(PHP研究所)がある。 https://www.karl-3.jp/