子どもの姿勢が気になるけれど、何度注意しても直らない。前回(#3)では、姿勢を改善するために、子ども自身ができること4つを理学療法士・武田純一先生に教わりました。
今回は、子どもが良い姿勢をより長く維持するために、靴やサポートグッズの選び方など、親としてできることをうかがいます。
大人もシャンと背筋がのびるような、姿勢についてのお話です。(全4回中4回目。#1、#2、#3を読む)
本当に子どもに合っている? アイテムを見直そう
子どもの意識を姿勢に向かせるとともに、親として改善できることがあります。それは、普段から使っている子どものアイテムを見直すこと。
武田先生が、姿勢が悪い子や、痛みを抱えている子たちと接してきて気づいたのは、しっかりサイズが合った靴を履いている子が少ないということ。正しい姿勢をとれるように、サイズの合った靴選びは重要です。
「靴を選ぶ際には、三段階のチェックポイントがあります。
まず一段階は『かかと部分が硬く、しっかりしているか』。外側からかかと部分をかるくつぶしてみましょう。かかとがホールドされて月型芯(つきがたしん=靴のかかと部にある月形の補強芯)が入っており、靴底のクッションにしっかりと厚みがあることが大事です。
人間はかかとから着地して歩くので、全体重がのるかかとがグラつくと、そこから体勢が崩れてしまう。かかとをまっすぐ保てる靴であることが第一条件です」(武田先生)
さらに『靴の前3分の1が曲がるか』も、チェック。こちらも外から触って確認してみて。かるくねじったりして、ぐにゃりと曲がったり潰れてしまう靴も、不安定な作りなのでNGです。
二段階としては「足の固定力がある構造か」を確認しましょう。足首をしっかりと固定するためには、靴ひもタイプの靴がベストですが、折り返しの2本ベルト靴なども良いと言います。
「スリッポンタイプは脱ぎ履きがしやすいですが、足の固定力を考えると心もとないですね。良い靴で歩くことは、足全体を使って歩行できるということなので、浮き指の防止にもつながります」(武田先生)
さらには、子どもの成長はとっても早いので、こまめな靴のサイズチェックも必要です。これが三段階です。4歳までは3ヵ月おき、10歳までは半年おきにサイズを確認するのが推奨です。
「サイズの確認は専門店などでしてもらうのがよいですが、家庭でする場合には、子どもを立たせた状態で行いましょう。靴を履いて測るのではなく、インソールを外してその上に立たせます。
つま先がインソールのなかに収まり、余裕が1センチ弱あるのがベストな状態。座った状態でぴったりだと、立つとつま先が詰まって痛くなるので、立たせて確認することが大事です」(武田先生)
サイズ調節といえば、テーブルと椅子の高さもこまめに確認してほしいと言います。
「身体の成長に合っていない椅子と机を使い続けている子どもは少なくありません。良い座り姿勢は、座った時に、『肘』が90度になるもの。椅子は足置きつきのもの、なおかつ成長に応じて座面や足置きの高さが調節できるものがベストです。
子どもたちはすぐに成長するので、気がつくとサイズが合っていない、ということがよくあります」(武田先生)
カバンは詰め方と背負い方に工夫を
通学や習い事で使っているカバンも、見直しが必要な場合もあります。
「肩掛けタイプは、左右差を助長させてしまう可能性があるので、あまり良くありません。長時間重い荷物を持つ場合は特に肩掛けを避けた方が良いでしょう。
カバンの種類で言えば、リュックがもっとも好ましいです。カバン自体が軽い素材のものがいいですね」(武田先生)
リュックは、背負い方や物の詰め方にポイントがあります。
「みなさん、一番下に重い物を入れがちですよね。でも、荷物は、下から、軽い物、その上に重い物を詰めるのが正解。荷物の重みにより、身体の重心が下に下がってしまうと姿勢が歪む原因になります。
背中の高い位置、肩甲骨のあたりに重心があると安定します。ショルダーストラップもきちんと締めて調整し、だらんと下で背負わないようにしましょう」(武田先生)
普段使いのカバンも、使い方を見直すことで、正しい姿勢がとれるようになるのです。