子どもができる「正しい姿勢」トレーニング 食事・勉強・スマホ・ゲーム

理学療法士・武田純一先生「親子の姿勢教室」#3〜悪い姿勢の改善方法〜

理学療法士:武田 純一

体幹を鍛えるトレーニングをする!

身体全体の機能を使う良い姿勢は、長時間続けていると疲れがでてしまいます。そこで、子どもの悪い姿勢パターンとしてもっとも多い「背中ぐちゃ」の子たちに効果的なトレーニングがあります。

「まずは、座った状態で両手を伸ばしてタオルを持ち、水平に引いて、肩甲骨を寄せるように動かす『プル』という動き。

そして、そのまま肩の後ろへ腕を回していく『エクステ』という動きの2パターンを繰り返します。座ったまま、タオル一枚で試せるのでぜひ実践してみてください」(武田先生)

「プル」は、まず椅子に座った状態で両手にタオルを持ち、肩の高さで腕を伸ばします
次にタオルをまっすぐ身体に引き寄せ胸につけます。これが「プル」の動き。一秒一拍のペースで、この動きを10回繰り返します。
タオルを背中に回し、上下させるのが「エクステ」。肩甲骨がグッと寄るイメージで!
写真:遠藤るりこ

凝り固まった肩を動かし、身体をほぐすこのトレーニング。それぞれ1日10回ずつ繰り返すだけで、肩の可動域がグッと広がります。

「タオルを持つときに、肘が下がってはダメ。顎(あご)は上がらず、目線はまっすぐがポイントです。勉強やゲームの合間のブレイクタイムに、親子で実践してみてください」(武田先生)

プルの引き寄せの際に、肘が下がるのはNG! 
写真:遠藤るりこ

参考:平成25 年度 東京都教職員研修センター 子供の体幹を鍛える研究~正しい姿勢のもたらす教育的効果の検証~ 指導資料

とにかく外遊びで身体を使おう

良い姿勢のためにできることのラストは、なんと、とにかく外でよく遊ぶこと!

「現代の子の姿勢が悪くなったと言われるのは、ゲームやスマホの使用によるスクリーンタイムが増えたことも一因ですが、やはり前提に『体力が低下し、身体を支える筋力などが低下している』ということもあると思います」(武田先生)

スポーツ庁の調査の2020年度の調査(※1)によると、前回の東京オリンピック開催時(1964年度)の子どもと、現代(2020年度)の子どもたちの体力や運動能力を比較した結果、「体格はよくなっているが、体力は低下している」という結果が報告されています。
※1=スポーツ庁 令和元年度全国体力・運動能力、運動習慣等調査結果の概要について

「良い姿勢のために『もっと外でたくさん遊ぼう!』と言うと、子どもたちはビックリします。外遊びは成長過程の子どもの身体にとって、大事な要素がたくさん詰まっている。

走ることをはじめ、遊具を登ったり、ぶら下がったり、果ては転ぶことですら、身体全体を使うという面でとっても良いことなんですよ」(武田先生)

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