「コンドームの使い方」を高校生全員に教える 離島の産婦人科医の「性教育」の中身とは?

産婦人科医・小徳羅漢先生に聞く、本当に役に立つ「性教育」 #1 ~奄美大島の高校での取り組み編~

産婦人科医・総合診療医:小徳 羅漢

小徳羅漢先生(以下、小徳先生):産婦人科医として診療する中で、どうすることもできない悲惨な状況の患者さんに数多く遭遇してきました。妊娠と同時に子宮頸がんが分かって、赤ちゃんを選ぶのか子宮を選ぶのかというを厳しい選択を迫られた女性もいます。あるいは、近親者にレイプされて妊娠してしまった未成年の少女に、中絶手術をしなければならない非常に痛ましいケースもありました。

産婦人科は本来ならば、妊娠が分かって皆に祝福される嬉しい場所です。ところが彼女たちにとっては、産婦人科はつらい場所でしかないのです。

一方で、こうした痛ましいケースの中には、性に関する正しい知識さえ身につけていれば防ぐことができたと思われるケースも多くあります。

例えば、ピルやコンドームを正しく使っていたら望まない妊娠を防ぐことができますし、HPVワクチンを接種していれば子宮頸がんのリスクを減らすことができます。

産婦人科医として目の前の患者さんを救おうと思えば思うほど、より根っこにある、性に関する正しい知識を伝えなければならない、と思うようになっていったのです。

オンライン取材中の小徳羅漢先生。
すべての画像を見る(全7枚)
次のページへ 学生の梅毒患者が相次いで受診
33 件