幼児期 スポーツの習い事は「水泳が最強」 出口戦略・難易度・続けやすさ

スポーツジャーナリスト・生島淳さん「幼児期のスポーツ」#1 幼児期のスポーツの始め方

スポーツジャーナリスト:生島 淳

スポーツジャーナリスト・生島淳さんがスポーツの習い事にスイミングを推す、その理由とは。  写真:アフロ

スポーツ庁が2021年12月に発表した、小学5年と中学2年の令和3年度全国体力テストの結果では、握力や反復横跳びなど、実技8種の体力合計点の低下が目立つというものでした。

特に男子は小・中ともに平成20年度の調査開始以降で最低に。

新型コロナウイルスの影響による一斉休校や、外出自粛などから、運動時間が減少したことが背景にあるとみられています。

まだまだ感染対策に気を付けながらの生活が続きますが、そんなコロナ禍でも親子一緒に、スポーツを親しむきっかけを作ってみませんか?

そこで、スポーツジャーナリストの生島淳さんに、親子のスポーツ入門についてのヒントをお伺いしました。

スポーツを始めるとなると、“運動の得意な子になってほしい”、”人間性を磨いてほしい”、”プロのスポーツ選手になってほしい”など、幼児期から子どもにスポーツを習わせたいお母さん、お父さんも多いと思います。

でも、いざ始めるには、一体何のスポーツから始めればいいのでしょうか。

第1回は、スポーツの習い事の始め時と選び方、そして生島さんが幼児期に推す「スイミング」についてです。

(全3回連載の1回目)

幼児期は興味を持ったスポーツなら何でもOK

新しい年を迎え、今年は何か子どもに習い事を始めさせたいと思う親御さんも多いと思います。

日本では昔から、“芸事は6歳の6月6日から始めるのがいい”という言い習わしがあります。

これは、世阿弥が『風姿花伝』にも書いていること。数え年7歳になる前に、ということなので、満年齢で考えると小学校入学前がその時期に当たりますね。

しかし、私はスポーツジャーナリストとして、多くのアスリートに取材をして、話を聞いてきましたが、必ずしも、幼児期に始めたから競技に有利だった、という印象的な選手は特にいません。

幼児期は、ひとつの競技を突き詰めるより、まずは体を動かすことを目的に、スポーツの習い事を選ぶのがいいと思っています。

選び方は、お子さんが興味を持ったものなら何でもOK。
ひとつにこだわらず、球技や武道、ダンスなどいろいろなスポーツを広く体験させるということでもいいと思います。その中から、親子の希望にあったものを選んでみてもいいでしょう。

というのも、実は、子どもの運動能力が高まる“ゴールデンエイジ”と呼ばれる時期があるからなのです。

小学校中学年から訪れるスポーツ成長期「ゴールデンエイジ」とは?

“ゴールデンエイジ”は、小学校中学年から高学年にかけて訪れます。そのため、子どものスポーツの育成にかかわる指導者も、高度な技術をぐんぐん吸収できるこの時期を意識した指導をするんです。

もし、野球やサッカーなど、一つの競技を極めたいのなら、このゴールデンエイジ期を迎える前に、ある程度の競技経験を積んでいたほうがいいでしょう。ただ、それでも小学校入学前に入門しておけば十分です。

また別の言い方をすれば、特定の競技を本格的に始めさせるのは、小学校3~4年生からでも決して遅くはないということです。

グラフは、子どもの成長について示した「スキャモンの成長曲線」。  資料提供:平成25年度文部科学省委託事業女性アスリートの育成・支援プロジェクト国立スポーツ科学センター「成長期女性アスリート指導者のためハンドブック」(2014年3月)より

スキャモン成長曲線を見ると、運動やリズム感にかかわる「神経型」の発達は6歳で80%、12歳ではほぼ100%の成長するのがわかります。

“プレゴールデンエイジ”と呼ばれる、3~8歳の頃は、多種多様な動きを習得することができます。そして、12歳までゴールデンエイジ期は続き、スポーツの高度な技術もすぐに習得できる貴重な時期と言われています。

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