子どもの習い事いつから始める? 早期教育の効果と注意を発達心理学の専門家が解説
発達心理学の専門家が育児に役立つアドバイスをおくる、こんなときどうする?「子育てQ&A」習い事編
2023.10.02
教育学博士:渡辺 弥生
みなさんから寄せられた、「習い事」「早期教育」に関するお悩み
「いつ始めるのがベスト?」(2歳・女の子)
「どんな効果が期待できる?」(3歳・男の子)
「嫌がる習い事はやめさせるべき?」(3歳・男の子)
「ひらがなや数字を覚えるのはいつごろ? 教えたほうがいい?」(3歳・女の子)
「早期教育」「習い事」のメリット
早期教育は、子どもに「やる気があることが大前提」。いろいろな説がありますが、大きく分けると二つの考え方があります。
もう一つは、機能が伸びているときに教えることが効果的だということ。発達が進む時期は興味も出てくるので、能力の獲得が早いという考えです。たとえばハサミの使い方一つとっても、指を動かす機能が伸び始めた時期に始めると、使えるのが早くなります。
ただし、デメリットもあります。
期待をかけすぎたり、ほかの子と比べたり、嫌がるのに無理に習わせ続けたりすると、練習を嫌いにさせる可能性もあります。1~3歳は、興味が「ある・ない」がはっきりしています。「興味があるようだし、経験の一つとしてやらせてみようかな」というくらいの気持ちで始めて、様子を見ながら進めるのがベストでしょう。
始めるタイミングは、やはり早いほうがいい?
「○歳になったから教える」ということでもなく、「できないから教える必要はない」と考えることも違います。
少し早いと思っても、その子の好きなことややりがたることを、遊びや体験に結びつけてあげるのがベストな教え方といえるのです。たとえば、手先を使い始めたとか、数字に興味を見せ始めたから「遊びに取り入れてみよう」というような対応です。
もし、「失うものはあっても才能を育てたい」などという強い気持ちがあれば別ですが、発達の旬をとらえて子どもの意欲にあわせて始めるほうが上達しやすいでしょう。
ひらがなや数字に興味を示さない子もいる
それは、今は文字以外のことに興味をひかれている時期だからです。さまざまなことを吸収しながら成長しているので心配ありません。
文字を覚えた時期の早い遅いは、その後の学力とはほとんど関連しません。あとからでも十分に間に合うのです。
「おもしろそう!」「やりたい」という動機があるときに、子どもの吸収力は一気に高まります。興味がないものに対しては、親がいくらがんばって教えても効果はありません。むしろ勉強嫌いになってしまう可能性だってあります。
興味を育てていきたいのであれば、ひらがなや数字を遊びに取り入れて話題にしていくのもいいでしょう。
くれぐれも無理強いをしたり、教え込もうとしないことを忘れずに。子どもが家庭で文字を楽しく覚えていくための開始のタイミングや方法を知っておくのは悪いことではないと思います。
習い事を始めるときのポイント
【効果的な習い事の選択法】
①やりたがるものを選ぶ
子どもがやりたがるか、やっていて楽しそうにしているかを選択基準にしましょう。
②遊びの一部として楽しませる
子どもの能力は、自由な時間のなかで自発的に活動しながら伸びていきます。習い事に比重がかかって自由な遊び時間が減るのはマイナスです。遊びの一部と考えて楽しませてあげたいものです。
③嫌がるときは休止する選択も
子どもが嫌がるときは、その習い事を本当に嫌いになる前にいったんやめるという選択も必要です。
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げんき編集部
幼児雑誌「げんき」「NHKのおかあさんといっしょ」「いないいないばあっ!」と、幼児向けの絵本を刊行している講談社げんき編集部のサイトです。1・2・3歳のお子さんがいるパパ・ママを中心に、おもしろくて役に立つ子育てや絵本の情報が満載! Instagram : genki_magazine Twitter : @kodanshagenki LINE : @genki
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渡辺 弥生
大阪府生まれ。1983年筑波大学卒業。同大学大学院博士課程心理学研究科で学んだ後、筑波大学、静岡大学、途中ハーバード大学客員研究員を経て、法政大学文学部心理学科教授。同大学大学院ライフスキル教育研究所所長兼務。教育学博士。専門は、発達心理学、発達臨床心理学。主な著書に『まんがでわかる発達心理学』、『11歳の身の上相談』(講談社)、『親子のためのソーシャルスキル』(サイエンス社)など。
大阪府生まれ。1983年筑波大学卒業。同大学大学院博士課程心理学研究科で学んだ後、筑波大学、静岡大学、途中ハーバード大学客員研究員を経て、法政大学文学部心理学科教授。同大学大学院ライフスキル教育研究所所長兼務。教育学博士。専門は、発達心理学、発達臨床心理学。主な著書に『まんがでわかる発達心理学』、『11歳の身の上相談』(講談社)、『親子のためのソーシャルスキル』(サイエンス社)など。