「イヤイヤ期」の癇癪に大切なのは「思いを受けとめること」「行動の枠を示すこと」発達心理学者が解説

#3 言葉で表現できるようになると「イヤ」は減る

〈『子どものこころの発達がよくわかる本』より〉
すべての画像を見る(全7枚)

「こころの発達は、からだの発達と深く関係している」と、著書『子どものこころの発達がよくわかる本』で語っている、青山学院大学教育人間科学部心理学科教授・坂上裕子(さかがみ ひろこ)先生。坂上先生に「言葉の発達」についてうかがう本連載。

最終回になる今回は、「イヤイヤ期」とも重なる1歳半ごろからの発達についておうかがいします。“言葉”がうまく出てこない時期のイヤイヤ期は、子どもが伝えたいことがわからず大変な時期。子どもの発達段階を知って、その思いや受けとめ方を考えてみましょう。

〈Photo by iStock〉

だんだんと自分が何者かわかるようになる

──前回まで、“言葉”を覚えてやりとりするまでの段階までおうかがいしましたが、今回はちょうどその時期にも重なる「イヤイヤ期」について、教えていただければと思います。「養育者泣かせの時期」とも呼ばれるこの時期には、こころとからだがどのような発達段階にあるのでしょうか。

坂上裕子先生(以下坂上先生):1歳半ごろになると、イメージする力が育ち、子どもは他者の目を意識し、自分が外側からどう見えのるかを思い描くようになります。名前や見かけ、やりたいことの違いなどを通して、自分と他者との違いをはっきりと認識するようになります。「自己意識の芽生え」と呼ばれるものです。

──他者と自分の違いがわかるようになるんですね。

次のページへ イヤイヤ期はこうして起こる
23 件