本当に気になる育児の悩み「2歳の子どもの言葉が遅いのが気になる」

子育てお悩みランキング12を多角的に検証! 第2回 高祖 常子先生/井澗知美先生

げんき編集部

げんきの子育てお悩みランキングトップ12を多角的に検証!

WEBげんきで過去に掲載した「子育てQ&A」のPV数トップ12にランキングした“ママ・パパが本当に気になっているお悩み”に、専門家2名が改めて詳細に回答します。

悩みの多い育児の中でも、“本当に気になっている悩み”を12に絞り、それぞれを多角的に詳細に検証していくシリーズ連載です。
今回のお悩み

「2歳の子どもの言葉が遅いのが気になる。言葉が遅い子の特徴や対応は?」
子育てアドバイザー&キャリアコンサルタントの高祖常子先生と、大正大学心理社会学部 臨床心理学科教授で、公認心理師・臨床心理士の井澗知美先生がお答えします。

まずは、子育てアドバイザー&キャリアコンサルタントの高祖常子先生の回答からご紹介します。
高祖常子先生

きょうだいでも言葉の発達速度は違うもの

言葉の発達は個人差が大きいものです。同じお母さんから生まれたきょうだいでも違います。ですから、「全く言葉が出ない」ということではなく、なにかしら言っているようでしたら、はっきりとした言葉になるのがちょっとくらい遅くても大丈夫だと思います。

見極めるポイントは、こちらの言っていることが伝わっているかどうか。「こっちにおいで」とか、「ゴミをポイしてきてね」などと話しかけてみて、それがちゃんと伝わっていれば、様子を見てもいいのではないでしょうか。

障害や病気を心配される方もいらっしゃると思いますが、1歳半健診でなにか指摘されたということでもなければ、あまり気にされる必要はないのではと思います。

もちろん気になる方は、小児科や保健所などの相談窓口に行ってみるのも1つの方法でしょう。そうすれば、「こんなふうに語りかけたらいいですよ」など、発語のヒントももらえるでしょう。
こちらが言っていることが伝わっているかの確認を

興味を持ったことについて言葉を投げかけよう

言葉の発達を促す対応策としては、よく言われることですが、親や兄弟が話しかけてあげることが大切です。テレビやYouTubeでも言葉を学べると思われるかもしれませんが、それは対話ではなく一方的な刺激に過ぎません。

例えば一緒にお散歩をしていて、何か指をさしていたら、「何を指さししているのかな。わんちゃんがいたんだね」と話しかけたり、「気持ちよさそうにお散歩しているね」などと伝えることからはじめてみてください。

子どもが興味を持ったことに親も一緒に興味を持ち、それについての言葉をたくさん投げかけてあげましょう。

それから、子育て支援センターなど、子ども同士で触れ合える場所に行くのも発語を促すポイントです。「子どもは人の中で育てる」とよく言われますが、本当にそのとおりです。

お家ではママとパパが言う言葉しか聞けませんが、いろんな人が言葉を話すのを聞くと、「あ、こういう悲しいときにこういう言葉を使うんだ」などと、表情や行動も含めてキャッチすることができますから。

感染症がご心配な方もいらっしゃると思いますが、子育て支援センターなどでもいろいろな配慮をしてくださっているので、ぜひ怖がらずに出かけてみていただけたらと思います。家にこもってばかりだとママも煮詰まってしまいますから、たまには外に出て、気晴らしをしてくださいね。
子ども同士で触れ合える場所に行くのも発語を促すポイント

言葉を省略しない意識を持って

また、子どもの前で言葉を使うときに、注意すべきポイントもあります。それは、なるべく省略しないことです。これはある保育園のエピソードなんですが、そこでは、毎日やかんでお茶を入れていたそうです。

でもあるとき「やかん」と先生が言ったら、子どもたちはその言葉を知らなかったそうなんです。たぶん、「お茶を入れましょう」みたいな言い方をしていたんですよね。そうすると子どもたちは、「あれはお茶を入れるものだ」ということは分かるけど、やかんという言葉は分かりませんよね。

加えて、子どもが集中して遊んでいる時とき、邪魔をしてまでたくさん喋りかけなくてもいいのですが、生活のさまざまな場面で、「おはよう」「ありがとう」などの挨拶も含めて、大人がたくさんの言葉を使っていくことが大切だと思います。

なぜなら、子どもは家族という一番小さな集団から社会性を学んでいくものだからです。普段、家族のなかで「おはよう」「ありがとう」と言っていないのに、外でだけで強要されても、子どもはその言葉を使わないし、使えないですよね。

日常生活のなかで言葉をたくさん使ううちに、だんだん慣れていくものなんです。
子どもは家族という一番小さな集団から社会性を学ぶ

間違えていても否定しない

それと、言葉を覚えていく過程では、『となりのトトロ』のメイちゃんが「トウモコロシ」と言っていたみたいに、言い間違えることも当然あります。でもそれを強く指摘したり、否定しないでください。

言い間違いに気が付いたら、「トウモロコシ黄色いね、粒いっぱいあるね。おいしいね」など、親が感じたことを言葉にして、そのなかに正しい言葉も織り交ぜる……といった形で、さりげなく伝えるのがおすすめです。

どうぞ楽しいコミュニケーションのなかで、ポジティブに言葉を育んでいってあげてくださいね。
親子で楽しくポジティブに言葉を育んで
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