子どもがコロナ陽性!? 「情報・備蓄・ママ不在も想定」で第7波に備える防災プロの助言

新型コロナ第7波の今、パパママ、子どもたちが知っておきたいこと #4~コロナ陽性への備え~

国際災害レスキューナース:辻 直美

発熱しても病院にすぐかかれない今、家に必要なものとは?   写真:アフロ

感染拡大が続く新型コロナ第7波。いつ誰がかかってもおかしくないからこそ、しっかり備えをしておきたい。でも、何をどれぐらい、用意しておけばいい……?

『新型コロナ✕防災マニュアル』(扶桑社)の著者で、国際災害レスキューナースの辻直美(つじ・なおみ)さんに聞きました。

※これまで(#1#2#3)を読む

明日、コロナ陽性になっても困らないための3つの準備

新型コロナウイルス第7波の勢いはなかなか止まりません。発熱外来や救急医療のひっ迫が続く中、日本感染症学会など4学会は2022年8月2日、「重症化のリスクが低く、症状が軽い場合は医療機関の受診を避けて」と緊急声明を発表しました。

緊急声明の背景には、発熱外来に受診希望者が殺到。診察枠がすぐ埋まってしまい、希望しても必ずしも、受診できるわけではないという厳しい現状があります。

「“いつ誰がコロナ陽性になってもおかしくない”というのは、これまでの流行期にも言えたことですが、第7波ではいよいよ現実、かつ身近になっています。私たちはすでにコロナ大流行の渦中にいます。

『明日の今頃は、高熱やのどの痛みに苦しんでいるかもしれない』『症状は軽くても、家族全員が家から一歩も出られない状況になるかもしれない』というシチュエーションを想像し、そうなっても困らないよう、備えておきましょう」と、国際災害レスキューナースの辻直美(つじ・なおみ)さん。

突然のコロナ陽性にも慌てず、対処するためには

(1)    情報収集(住んでいる地域の新型コロナ対応を知ること)
(2)    備蓄(2週間分の食料や常備薬)
(3)    家族間の情報共有(“ママしか知らない”からの卒業)

が大切だと、辻さんはアドバイスします。

「感染予防の基本となる『手洗い・うがいを徹底する』、『“三密”を避ける』、『こまめに換気する』の重要性は今も変わりません。一方で、新型コロナ陽性になったときの対応は刻一刻と変わっています。

また、自治体によっても対応は異なります。古い情報や不確かな情報にとらわれることなく、『今、自分たちが暮らす地域ではどうなのか?』を調べ、把握しておきましょう。

情報源としておすすめなのは、お住まいの県や市区町村の公式サイトです。多くの自治体が、陽性と診断された方や同居の方に向けた情報を発信しています」(辻さん)

例えば、宮城県仙台市の場合、新型コロナウイルス感染症特設ページの中に、「陽性と診断された方へ」という項目があり、「陽性判明から療養解除までの流れ」が紹介されています。

その中には療養期間中の健康観察の方法、体調悪化時の連絡先、一般医薬品の販売サイト一覧、家庭ごみの捨て方、自宅療養者への支援物品配送サービスなど、さまざまな情報が掲載されていました。

「大量にある情報の中から、知っておくべき情報を選び、目を通すのは骨がおれる作業です。自治体の公式サイトは必ずしも見やすいとは言えません。だからこそ、余裕があるときにチェックしておくことが大切。

『明日、家族が(自分が)陽性になったら……?』という観点で、シミュレーションしながら読んでみましょう」(辻さん)

また、厚生労働省が提供する、新型コロナウイルス接触確認アプリ「COCOA」も情報源のひとつ。スマートフォンの近接通信機能(ブルートゥース)を利用し、陽性者と1メートル以内、15分以上接触した可能性がある場合、通知を受けることができるアプリです。

「濃厚接触の可能性がある相手は、知り合いとは限りません。例えば、ママ友と一緒に行ったカフェの隣の席にいたお客さんが、実は陽性者だったということもありうるわけです。そんなとき、COCOAをインストールしていなければ、自分がリスクにさらされていることに気づくこともできません。

『濃厚接触の疑いが分かるだけで役に立たない』ではなく、『濃厚接触の疑いが分かれば、家族や周囲にうつさずにすむよう、次の手を打てる』と頭を切り替えてみましょう。

①必ずインストールする、②最新バージョンにアップデートする、という2点を徹底してください」(辻さん)

本記事の担当ライターが受け取ったCOCOAの通知画面。通知を受け取った時点では無症状だったものの、念のため受けたPCR検査で新型コロナ陽性が判明。約2週間の療養生活を送った。

防災のプロが推奨 食べたら補充の「ローリングストック」

「新型コロナ第7波では、いつ誰が陽性になってもおかしくない状態が続いています。最低でも2週間分の水や食料はストックし、急な自宅療養に備えましょう」と辻さん。

といっても、防災食品や5年保存水のような特別なものを用意する必要はないと言います。

「普段食べているものをちょっと多めに買っておけば十分です。

お米やパスタ、インスタント麺、缶詰などのストックはもちろん、冷凍庫も立派な備蓄庫です。買ったものはため込むのではなく、消費期限が近いものから食べていきます。なくなったらその都度補充。

このようにして、ストック量が14日分を下回らないようにする方法は『ローリングストック』と呼ばれ、地震や水害などの災害に備えるうえでも、普段から心掛けておきたいことです」(辻さん)

記録的な猛暑となっている今夏。辻さんおすすめの備蓄は「麦茶やスポーツドリンクのペットボトルを凍らせておくこと」です。

「冷凍庫に凍らせた麦茶やスポーツドリンクのペットボトルがあれば、保冷剤や氷のう代わりになります。熱が出て、急いで体を冷やしたいときに使えるのはもちろん、外出時に持っていくなど普段から使えます。

手の平や首筋を冷やすと、猛暑でも過ごしやすくなりますし、溶けたらおいしく飲めるのも便利(笑)。うちでは必ず、複数本を凍らせておいて、1本飲んだら次の1本を冷凍するようにしています」(辻さん)

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