著:はやみね かおる 絵:村田 四郎
校長からひとこと
「青い鳥文庫で書いてみないか?」と声を掛けていただき、ぼくは二つの物語を用意しました。一つは“風使い”が登場するSF伝記物(主人公の名前は内藤内人でした)。もう一つが、学生時代からつきあいのある夢水清志郎が主人公の推理小説。どちらも冒頭部分を書き上げ読んでもらった結果、夢水の長編を書くことになりました。最初に考えたのは、遊園地で十人の子どもが消えるというもの。題名は『地獄の遊園地』(とラベルの貼られたフロッピーディスクが残ってます)。しかし、十人を消すのは難しく半分の五人になり、題名も『そして五人がいなくなる』になりました。 (発行日 1994/02/15)
夢水清志郎は名探偵。表札にも名刺にも、ちゃんとそう書いてある。だけど、ものわすれの名人で、自分がごはんを食べたかどうかさえわすれちゃう。おまけに、ものぐさでマイペース。こんな名(迷)探偵が、つぎつぎに子どもを消してしまう怪人「伯爵」事件に挑戦すれば、たちまち謎は解決……するわけはない。笑いがいっぱいの謎解きミステリー。
発売日 | 1994/02/09 |
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価格 | 定価:円(本体780円) |
ISBN-13 | 9784061473928 |
判型 | 新書 |
ページ数 | 276 |
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美琴 @Z5HHR
美琴 @Z5HHR
【この投稿はネタバレを含みます】
続きを見る推理小説独特の不穏な雰囲気を醸しながらも、優しく温かい読後感に包まれます。そして面白い。 探偵というと犯人を特定するイメージだったけれど、“幸せになれるように事件を解決する”名探偵、夢水清志郎に出会い、こんなに優しい名探偵がいるのか、いて欲しいと惹かれました。 教授をはじめ、伯爵、上越警部、登場する大人たちが子供の気持ちを汲み取り、尊重しようとしてくれる存在であること、あとがきの好きな推理小説の条件④からも安心して読むことができました。 “子どもは、いつの時代………幸せでなくちゃいけないんだ(P.203)”、この言葉は子供ながらに心に留めておこうと思ったし、大人になった今の自分の核にもなっています。 私が赤い夢にのめり込むきっかけとなった、出会えて良かったと思う素敵な作品です!
エグコ @i4oab
エグコ @i4oab
【この投稿はネタバレを含みます】
続きを見る私の本好きは、この話から始まりました。幼いながらに(いや、幼いからこそ)、奇妙奇天烈摩訶不思議な夢水清志郎という人に興味が湧いて仕方がなかったのです。まさに虜でした…様々な作品に多くの名探偵がいますが、齢10歳の子どもの短い人生の中で教授ほど大人で優しい名探偵はいなかったのですから、然もありなん。 特にこの話はシリーズの中でも、1番大好きな話です。ミステリーとジュブナイルが合わさった、瑞々しくて温かいお話…「とにかく登場人物紹介までは読んで!」と紹介させていただきます! 長々と申し訳ありませんが、こんな素敵な作品に出会わせて頂き、本当にありがとうございます。
黎井誠(くろいまこと) @f9ySw
黎井誠(くろいまこと) @f9ySw
【この投稿はネタバレを含みます】
続きを見る人生初の推理小説でした。 面白い、この一言に尽きます。 初読当時の自分が何を考えたのか、詳しくは思い出せませんが、あの時から何となく、世界の優しさを感じられるようになったのかなと思います。 この場に「子供向けだから」と侮る大人はいないでしょう。 しかしそれを差し引いたとて、この物語は動悸がするほど面白く、そして温かい。 今にして思うと、推理小説の面白さと児童書としての眼差しをこうも見事に両立させている物語は珍しいですし、それに出会うことが出来る環境に置いてもらえた自分は幸福だなと心から感謝したい気持ちです。 素敵な物語をありがとうございます。